FC2ブログ

【欧州&世界映画】 2007.07.25 (Wed)

『太陽がいっぱい』 の名人芸

12754092174c053341f2f04_import.jpg

映画 『太陽がいっぱい』 を観ました。

地中海のまばゆいばかりの陽光と対比される、主人公の暗くゆがんだ野心の皮肉・・・。

サスペンス映画史上、五指に入るであろう名作中の名作です。


主演のアラン・ドロン、いつ見ても男前ですね~!

共演のモーリス・ロネとマリー・ラフォレも絵になる。


しかし彼ら美男美女が映えるのも、撮影カメラマン アンリ・ドカエによる名人芸のたまもの。

確かにドロンはいいし、ニーノ・ロータの音楽もいい。ルネ・クレマン監督の練達もさすがですが、

名手ドカエのことがもっと語られてもいい。


物語と人間心理を的確に追った、みごとな構図。(終盤、ドロンとラフォレのカットバックが美しい!)

海とシャツの強烈な青と、ヒロインと土壁の暖かい黄色。

この作品に限っては、「悪」 を象徴する色は黒ではなく 「青」 のようです。


ドカエといえば、コクトー&メルヴィルの 『恐るべき子供たち』 にはじまり、

“ヌーベル・バーグ”の傑作群 『死刑台のエレベーター』 『大人は判ってくれない』 『いとこ同志』 も彼。

さらに最高の仕事のひとつと言える 『シベールの日曜日』 などなど、枚挙にいとまなし。

フランス映画の名作にこの人あり。


聞けば「ドカエ」か「ドカ」か、名前すら固定されていないようですが、(ぼくは古くからの慣習に従います。)

何度目か忘れたこの日の 『太陽がいっぱい』、撮影監督アンリ・ドカエの映像美に

改めて酔いしれました。


『太陽がいっぱい (1960仏伊)』

監督/ルネ・クレマン
脚本/ポール・ジュゴフ
原作/パトリシア・ハイスミス
撮影/アンリ・ドカエ
音楽/ニーノ・ロータ

主演/アラン・ドロン、モーリス・ロネ、マリー・ラフォレ

※’60年当時は、若く野心的な映像作家たちが 新しい表現を競い合った“ヌーベル・バーグ”の時代。すでに巨匠のクレマン監督は、まさに匠ならではの巧さ・美しさで存在感を誇示してみせた。



 なお、アンソニー・ミンゲラ監督、マット・デイモン主演でリメイクされた 『リプリー('99米)』 も、なかなかの力作。より原作に近い切り口でまったく別の魅力を引き出していて、二番煎じの負い目を感じさせません。(でも芸のない邦題、何とかならんか。)

 
関連記事
23:58  |  欧州&世界映画  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑