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【『ガラスの仮面』全巻】 2008.07.01 (Tue)

『ガラスの仮面』全巻レビュー

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名作少女マンガ 『ガラスの仮面』 が、今2008年夏 『別冊花とゆめ』 誌で連載再開だとか。

作・美内すずえ。 ひとりの平凡な少女が、「女優」 として開花していくさまを描いた成長物語。

この10年はほとんど休止状態だったそうですが、かれこれ1976年から続く大河長編ロマンです。


よくできた人物設定、骨太のストーリーに王道の演出、読者を別世界へいざなう劇中劇の多彩さ・・・。

数年前に最新42巻が出た時、なんとなく薦められてなんとなく読んだところ、一発でハマってしまいました。

古本屋で42冊ぜんぶ大人買いしました。


そして今回、本棚から引っ張り出してきての再読真っ最中、というわけです。

さすがにオンタイムの少女読者ではないので、「ヒロイン北島マヤと速水真澄はくっつくのか!?」

といった熱い話題はできませんが、美内すずえ先生の職人的演出の巧さを生意気に書いていきます。

更新は不定期、長いしマニアックだし独断と偏見なので、お好きな方だけどうぞ。


・・・それにしても、30年も昔の少女マンガに夢中になるのはなぜだ!?

どうかしてるぞ、おれともあろうものが!


 2019年追記・・・もともとは前身のYahoo!ブログに投稿していた記事シリーズ。このたびFC2ブログに再投稿していきます。


 
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【『ガラスの仮面』全巻】 2008.07.02 (Wed)

≪ガラスの仮面レビュー≫もくじ

  美内すずえ 『ガラスの仮面』 コミックス版レビュー

  ごあいさつ
  ガラスの仮面500巻≪四月の馬鹿~エイプリル・フール~≫
  『ガラスの仮面』幻の名場面を発掘~エイプリル・フール番外編

  第1巻 ≪千の仮面を持つ少女≫
  第2巻 ≪劇団つきかげ≫
  第3巻 ≪紫のバラのひと≫
  第4巻 ≪『たけくらべ』競演≫
  第5巻 ≪伝説のひとり芝居『ジーナ』≫

  第6巻 ≪プロの世界へ≫
  第7巻 ≪舞台あらし≫
  第8巻 ≪『嵐が丘』『石の微笑』≫
  第9巻 ≪人形の涙~マヤと亜弓初共演≫

  第10巻 ≪『奇跡の人』オーディション≫
  第11巻 ≪亜弓版 『奇跡の人』≫
  第12巻 ≪マヤ版 『奇跡の人』≫

  第13巻 ≪華やかな芸能界へ≫
  第14巻 ≪「鬼千匹」の芸能界≫
  第15巻 ≪母の死≫
  第16巻 ≪北島マヤ芸能界失脚≫
  第17巻 ≪復活の泥まんじゅう≫

  第18巻 ≪『女海賊ビアンカ』≫
  第19巻 ≪『通り雨』≫
  第20巻 ≪聖唐人登場~姫川亜弓物語≫
  第21巻 ≪『真夏の夜の夢』1≫
  第22巻 ≪『真夏の夜の夢』2≫

  第23巻 ≪伝説のオーディション 『毒』≫
  第24巻 ≪アルディスとオリゲルドの仮面≫
  第25巻 ≪『ふたりの王女』開演!≫
  第26巻 ≪『ふたりの王女』1≫
  第27巻 ≪『ふたりの王女』2≫

  第28巻 ≪「狼少女ジェーン」≫
  第29巻 ≪マヤと真澄と桜小路≫
  第30巻 ≪鷹宮紫織登場≫
  第31巻 ≪マヤの山ごもり≫
  第32巻 ≪『忘れられた荒野』 嵐の初日≫
  第33巻 ≪最優秀賞と「紫のバラ」の正体≫

  第34巻≪速水真澄物語≫
  第35巻≪「紅天女」のふるさとへ≫
  第36巻≪4つのエチュード≫
  第37巻≪マヤと真澄の一夜≫
  第38巻≪月影千草物語≫
  第39巻≪亜弓の挫折~吊り橋事件≫
  第40巻 ≪まるまる『紅天女』≫
  第41巻 ≪マヤと亜弓のケンカ≫

  第42巻 ≪携帯電話≫
  第43巻≪「いつまでも待たせないで!」≫
  第44巻≪≫~~ひとまずレビューおしまい。
  ・・・
 
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(旧Yahoo!投稿2014.4.2~)
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【『ガラスの仮面』全巻】 2009.04.01 (Wed)

『ガラスの仮面』幻の名場面を発掘(APrilfool通信)

 

 『ガラスの仮面』 幻の名場面を発掘 (APrilfool通信)
 2009/4/1 04:01

 30年以上に渡って連載中の名作少女マンガ 『ガラスの仮面』 の単行本未収録部分の生原稿が、イギリスの大手オークション会社クリスティーズに出品されることが決まり、話題を呼んでいる。

 『ガラスの仮面』 は、平凡な少女が女優としての才能に目覚めていく美内すずえ作の少女マンガ。1976年から 『花とゆめ』 誌(白水社)に不定期連載中で、時代を越えて幅広い層からの支持を集めている。

 今回出品される内容は、ヒロインの北島マヤが舞台劇 『8時だヨ!全員集合』 に出演する回。
 「志村けん」 役か 「加藤茶」 役かをめぐってライバルの姫川亜弓と熾烈な競争を繰り広げるシーンや、「いかりや長介」 役の師・月影千草から壮絶なしごきを受けるシーンなど計12ページ。

 同作品のファンで、自身のブログに全巻レビューを連載している冷血漢の仕事虫nacchann0904さんは、「大変貴重な掘り出し物だ。特に (人気キャラクターである) 速水真澄が 「高木ブー」 の代役として舞台に立つシーンは、長いあいだ幻の名場面とされてきた。単行本化の際の補筆・改作が多い 『ガラかめ』 の葬られた歴史を、またひとつ塗り替えるものになるだろう」 と興奮気味に話す。

 一方、作者の美内すずえ氏と出版元の白水社は、「詳細を把握していないのでコメントは差し控えたい」 としている。

 オークションは来年4月1日エイプリル・フールの予定。
 





未収録の一部(写真提供・大都芸能)

 
 
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【『ガラスの仮面』全巻】 2014.04.01 (Tue)

ガラスの仮面500巻≪四月の馬鹿≫レビュー

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第500巻 ≪四月の馬鹿―エイプリル・フール―≫
 発売延期に延期を重ね、第49巻からちょうど100年後の 2112年9月3日 に光子コミックス配信。

速水真澄
(ヤフーアバター)

  【サイボーグ月影千草】

  一度は絶命しながら、遺伝子サイボーグ技術でよみがえった月影千草。不死身の体を得た彼女の脳裏に、「『紅天女』 はだれにも渡さない・・・!」 という野心が芽ばえはじめる。


 「わたしの名前は 『紅天女』・・・!」
  「科学」 の力を借りて 「神話」 と一体化していくサイボーグ月影。「オーホホホ・・・!」 と笑う最強の紅天女に戦慄を禁じえない。そして裏で糸を引く、鷹通グループ総帥・鷹宮紫織の影・・・!



  【亜弓の秘策】

 北島マヤ姫川亜弓、ふたりの紅天女候補に対して日に日に冷淡になる月影。マヤは師の豹変にショックを受けるが、その野心に気付いた亜弓はあせりを隠せない。このままでは自分の存在意義が失われてしまう・・・。そんな折、ある雑誌の広告が亜弓の目に留まる。
 「すごーくおもしろいんだ! すごーくゆかいなんだ! でも、どんなお話かは、正月号のお楽しみ!」


 狂いだす歴史の歯車。そのとき亜弓が見つけた雑誌の広告・・・。今後どんな展開につながるんだろう??
 なお、作中に登場する 「マツシバ・ロボット工場」 は、トーキョー・シティに実在する大手ロボット・メーカー。ネコ型の子守りロボットやタイムマシンを製造しているそうだ。



  【速水真澄、還暦】

 速水真澄が還暦を迎え、大都芸能で盛大なパーティが催される。
 聖唐人は、先に糖尿と骨粗しょう症と便秘で亡くなった水木秘書のためにも、マヤとの愛を成就するよう重ねて真澄にうったえる。
 真澄 「愛しているだと・・・? 相手は11も年下の49だぞ・・・。おれともあろうものが・・・!」


 通算147回目の「おれともあろうものが・・・!」。および8722回目の「白目」。(筆者調べ)
 還暦でも若々しい真澄。 一方、すっかり薄くなった聖唐人の頭髪が、時の流れを感じさせる。


 ・・・連載中断・発売中止がもはや恒例となった 『ガラかめ』。前巻から100年待たされたことで、またしてもファンの賛否両論で紛々。

 ちなみにすっかり出番がなくなった桜小路優。『別冊ヤング花とゆめ増刊号ふろく』 (2112年春)の雑誌連載時では 「初孫が生まれてそれなりに幸せにやっている」 そうだが、コミックスでは削除されて無かったことにされている。
 
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【『ガラスの仮面』全巻】 2019.03.04 (Mon)

ガラスの仮面第1巻≪千の仮面を持つ少女≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 単行本コミックス第1巻 ≪千の仮面を持つ少女≫

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 【第1話~北島マヤ登場】

 横浜の小さな食堂で、住みこみ店員の母と暮らす13歳の少女・北島マヤ「けっして美少女ではなく、成績もよくはない一見平凡な少女」 であったが、テレビドラマや演劇にかけては人一倍の関心と情熱を持っていた。
 大好きなお芝居に熱中するあまり、店の手伝いがおろそかになることもしばしば。しかし一度聞いただけのセリフを丸暗記し、チケットを手に入れるためなら極寒の海に飛び込む・・・そんなマヤの情熱と秘めた才能に、かつての大女優・月影千草は女優としての限りない可能性を見出すのだった。


 記念すべき第1話の初試練が「年越しそば120件配達」とは、えらく庶民的。また「疲労・憔悴」を表す目元のタテ線は、今では 『ちびまる子ちゃん』 のようなギャグ表現でしかないので思わずたじろいだ。でも月影の顔の傷やマヤの鬼気迫る表情とあわせて、そういう時代がかったところに独特の迫力があり、何かエライことが始まりそうな予感をさせた。


 【第2話~「おそろしい子!」】

 来たる学校祭で、マヤのクラスは演劇 『国一番の花嫁』(作者オリジナル)を上演することに。マヤ、「笑われ者のビビ」役に決まって落胆するが、月影に励まされて一念発起、夜を徹して役作りに没頭する。


 マヤの公私に大きな影響をもたらす速水真澄と、宿命のライバル姫川亜弓が初登場(&小野寺も)。涼しげな瞳や閉じたまつ毛の筆使いに艶気がある。
 マヤの計り知れぬ才能に興奮した“黒夫人”月影千草の名ゼリフ、「おそろしい子!(オーホホホホホ)」。 こまかなポーズまで丸暗記している、と判断できる貴女もおそろしい。

 貧乏な現実を突きつけられても、そこまでひっ迫したものを感じない。'70年代半ばになると日本も豊かになり、「貧乏」という設定はほとんど形だけのものになっていく。(さらに'80年代に入ると「金持ち」亜弓の方がリアリティのある存在になっていくのもそのため)
 学級会で自分を推薦され、初めて人からほめられたと喜ぶマヤがいじらしい。そして、女優の血に目覚めるラストに感動。われながら王道の演出に弱い。

 ちなみに、役決めの場面で名前が出る「和田慎二」は実在の漫画家 (他の名前は関係者?)。その代表作『スケバン刑事』は'76年1月5日号で『ガラスの仮面』と同時スタートし、ともに『花とゆめ』誌の黄金時代を支えた。


 【第3話~ビビの仮面】

 稽古で時折り光る演技を見せながら、「笑われ者ビビ」の役作りに悩むマヤ。月影はマヤに「ビビの仮面」をかぶるつもりで演じるよう助言する(第2話)。
 上演の日。母は娘の道化役を恥じて見に来てくれない。その時「笑われ者」の気持ちをつかんだマヤは、一世一代の感動的な名演を見せ、大喝采を浴びる。先生には叱られたが、ついにマヤの心に火がついた。(「やりたい! お芝居をやりたい!」


 演出を無視したマヤの演技は後の「舞台あらし」の片鱗・・・とも言えなくもないが、少年少女向けマンガはそうやってはみ出すくらいがちょうどいい。それに、のちに何でもかんでも「白目」演技で片付けてしまうことを思えば、マヤの表情・・・というより作者のマンガ表現のじつに力強いこと!
 最初の1、2、3話は何度読んでも感動する。


 【第4話~劇団オンディーヌと『紅天女』】

 速水真澄の≪大都芸能≫が手がけ、「天才少女」 姫川亜弓も所属する≪劇団オンディーヌ≫。お金がなくて入団できないマヤだったが、即興で 「逃げた小鳥を追うパントマイム」 を演じさせられることに・・・。


 マヤの初恋の人・桜小路優が初登場 (マヤ「マヤのことかばってくれたり、親切でいい人なんだな・・・」)。一方の真澄は、番犬に襲われたマヤの血が服についてどこかうれしそう (「北島マヤといったな・・・」)。 同年代の美少年と地位ある年上の男性、両方から同時に好かれるというのは、女の子にはたまらんだろう。

 本作最大のキーワード、幻の名作劇 『紅天女』 について簡単に語られる。上演権を持つ月影千草は自身を継ぐ演者を育てようとしていること、その上演権を狙う真澄が月影を追い詰めようとしていることなど。


 【第5話~逃げた小鳥のパントマイム】

 逃げた小鳥を追うパントマイム。荒削りながら堂々かつリアルに表現してみせるマヤ。その才能に気づいた亜弓もまた、返礼代わりに見事な演技を見せつける。マヤと亜弓、お互い強烈な印象を植えつけあう。


 宿命のライバル姫川亜弓。主人公と正反対の「お金持ち」「名門のサラブレッド」「天才」なライバルは、初登場時は傲慢で横柄な悪役キャラになりがちだが、亜弓はしっかりマヤの才能を見抜いて一応の礼を尽くしている。連載前にちゃんと物語とキャラクターを練り上げた証拠だろう (もっとも当時の読者には、亜弓が典型的な悪役に見えたそうだ)。
 追記・・・当の作者も 「亜弓=悪役」 とみなしていたが、第4巻 『たけくらべ』 あたりで亜弓の魅力に気付き方向転換したのだとか。へぇ~、そうだったのか・・・。


 【第6話~「劇団つきかげ」始動】

 「いいえ! あたし…あたし、女優になります!」
 家出したマヤ、新たに発足した≪劇団つきかげ≫の特待生として月影に弟子入り。
 真澄による「月影つぶし」の予感やマヤ母の乱入(月影に熱湯をぶっかける!)を経て、月影はマヤに女優として生きる道を教え諭す (「あなたは千の仮面をもっている」)。


 青木麗水無月さやから、≪劇団つきかげ≫の良き仲間が初登場。
 劇団のバックについているという青柳ナントカ。あまり気持ちの入った設定ではないなと思っていたら、案の定フェードアウトしていった。劇団運営はお金がかかりますよ、ってことだけか。
 
21:01  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.03.16 (Sat)

ガラスの仮面第2巻≪劇団つきかげ≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第2巻 「炎の階段」

マヤ(白目)
(工事中。扉イラスト大募集!)

 コミックス表紙はマヤと亜弓。巻頭のあらすじにも「対照的な二人だが深い因縁で生きる運命」 とあり、すでに宿命のライバルとして位置づけられている。作者によれば、連載開始時には最終回のプロットもすべて出来上がっていたらしい (「…だったら早よ描け」 とは、ファンの誰もが思ったことだろう)。


 【初対決!マヤvs.亜弓】

 ≪劇団つきがけ≫での稽古がスタート。マヤ、初心者向けのCクラスで四苦八苦しながらも、ふと見せる「本能的な演技のカン」で周囲を驚かせる。(釘を踏んだ演技、笑う演技・・・)
 うわさを聞いてやってきた姫川亜弓、「はい、いいえ、ありがとう、すみません」 だけの演技練習に横やり。無理難題を吹っかけてマヤを追い詰めるが、マヤの機転で返り討ちにあう。


 マヤと亜弓、初の直接対決! 亜弓の目つきや言い草が意地悪っぽいので、当時の読者から悪役と思われても仕方ないか。
 メガネにパーマ頭、狂言回し役の研究生「やよい」は、作者のマネージャーやよいさんがモデルか (第24巻末の取材ルポに登場)。

 ほか、月影がマヤ母からの手紙を焼き捨てる。――このあたり、月影は「母」というより「父」に近い。まさに女・星一徹! 徹底した「甘えの退路」や「暗い過去」との決別、スターになるのも大変だなあ…。
 校内暴力に家庭内暴力と、ちょうど「戦前vs.戦後」の親子間の世代ギャップが頂点に達したこの「断絶の時代」、後にマヤ母がたどる哀れな末路には、子供の才能に無理解な旧世代への怒りが込められているのかもしれない (作者も子供のころ、大好きな手塚マンガを禁止されたらしい)。



 【桜小路くん、いい人だな…】

 公園の売店でアルバイトを始めたマヤの前に、桜小路優が再登場! (マヤ 「桜小路くん、やさしくていい人だな…」、桜小路 「すなおで…なんだか…好きになりそうだな…」
 亜弓母子共演の舞台 『白ばら夫人』 (作者オリジナル)で初デート。(「こら!ひとさじよこせ」

 桜小路家にてピアノのレッスン (「こらこら…ぼくはきびしいんだぞ」「なんか親鳥の気分だな」)。
 こうして急接近するふたりだが、桜小路の母と妹からは疎まれる。


 骨太ドラマの合間合間に、一服の清涼剤のように現れる桜小路くん! この頃は本当に「親切で」「やさしくてさわやかであかるくて」 かっこいい。
 思わず背中がかゆくなる迷ゼリフ集の中でも、「こら!ひとさじよこせ」 は最高にウケた。



 【ベス役をかけて】

 ≪劇団つきかげ≫旗揚げ公演の演目は 『若草物語 (オールコット作)』。マヤ、三女ベス役に大抜擢。適役をうばわれた水無月さやか、ベス役の適性テストを持ちかけて逆転勝利をもくろむ。
 家に閉じこもり、作中のベスと同じ生活を送るマヤ。適役テストはベスの魂が乗り移ったマヤに軍配。


 ベス役をマヤに奪われたさやかだが、「ああ、嫉妬はよそう」 と出来た性格。
 普通のマンガならライバルの卑劣な妨害で話を盛り上げるところだが、亜弓にしろさやかにしろ、憎たらしい悪役にしていない。どちらもマヤの才能を認めたうえで、正々堂々と挑戦している (連載当時の読者には亜弓が悪役に映ったようだが)。 悪質なヤジやいやがらせは、ほとんどがその場限りの「その他大勢」によるものばかり。
 これは「登場人物を不幸にしたくない」という作者の人柄だろうし、少年マンガと違って「女の悪役」は陰湿になりがちなのに配慮してのことか。

 当時の若い読者は本作を「不幸の連続」と感じたようだが、今読めば作者の絶妙な手綱さばきが分かる。つまり 「障害」はあっても「挫折」はない。主人公が明るく安定して成長する骨太感は、長期連載の秘訣と言えるかも。この傾向はマヤが芸能界入りする10数巻(連載3年)あたりまで続く。


 死の淵にあるベスの演技ができず、月影から「できそこないのベス」 と罵られるマヤ。夜通し雨に打たれてまでベスの心をつかもうとする。
 そして演劇界注目の開演の日。マヤは高熱を押して舞台に立つのだが…。


 病人を演じるため本当に病気になる…というのはムチャクチャな話だが、「熱血スポ根マンガ」だからそれもありなのだ!
 次巻もスゴイぞ!
 
 
16:40  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.04.03 (Wed)

ガラスの仮面第3巻≪紫のバラのひと≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第3巻 「風の中を行く」

速水真澄
「おれともあろうものが・・・!」
(旧Yahoo!アバター)
 【紫のバラのひと】

 『若草物語』公演の後半。高熱で意識朦朧のマヤ、重病のベスを熱演。
 これに心打たれた真澄、匿名で「紫のバラ」を贈ってマヤをねぎらう (「早く元気なベスになってください。あなたのファンより」)。生まれて初めて得たファンに感無量のマヤ (「ありがとう、紫のバラのひと」)。


 マヤの情熱と才能に惹かれた速水真澄が、匿名の足長おじさん 「紫のバラのひと」 としてマヤを支援。その一方で、冷酷な月影つぶしの一面をマヤに見られてしまう (「この少女にだけは…きかれたくなかった…!」)。 以後、真澄としては憎まれ、「紫のバラのひと」としては慕われ…と、どちらもマヤの芝居への原動力として正反対の方向から影響を与えていく。キャラ作りが巧い。

 なお作者によれば、このころ「マヤの父親は離縁ではなくすでに故人」という設定が決まったらしい。マヤが「紫のバラのひと」はどこかにいる実父ではないかと誤解するのを防ぐためだという。いわく、「ろくな死に方をしていない」そうだ。
 (※追記…すでに第1話の時点で、マヤ母が 「ねぇ、天国のお父さん」 と語りかけていました。)



 ≪今週の月影先生≫
 『紅天女』 の上演権を奪おうとする真澄の陰謀により公演は酷評され、スポンサー青柳との関係も悪化。劇団員にも動揺が走る。
 怒りの月影、心臓の病に倒れる (初!)。




 【月影流・熱血スパルタ教育】

 真澄と大都芸能の容赦ない攻撃にさらされる≪劇団つきかげ≫。存続を賭けた演劇コンクール東京予選では、マヤが 『たけくらべ』(樋口一葉作)主役に大抜擢されるが、真澄の≪劇団オンディーヌ≫も同じ『たけくらべ』をぶつけてくる。
 マヤ、想いを寄せる桜小路とは敵味方となり、同じヒロイン「美登利」役をつとめる亜弓の完璧な演技に打ちのめされるが、月影との雪夜の猛特訓で、自分なりの「美登利」像を完成させる。


 マヤ、重病のベスを演じるため一晩中雨に打たれたかと思えば(2巻)、月影もマヤにバケツの水をぶっかけたり、バシバシどついたり、小屋に監禁したりと、この師弟は無茶のし放題。
 しかし'76年当時は「熱血スポ根」世界がまだ力を持っていた時代(…実はすでに時代遅れだったが(「シラケ世代」用語参照を)、その「少し古い」加減が作品に風格をもたらす効果に…)、大衆少女マンガの話法としてはこれもアリ。

 マヤの主役大抜擢を、劇団員みんなで温かく祝福。トントン拍子でとても安心して読める。
 それに比べて 『巨人の星('66~71)』 などは、「栄光の絶頂が転落への第一歩」話法が強烈すぎて、物語としてとても不安定(飛雄馬の魔球が完成した時点で、花形満はその弱点を見抜いている!)。'70年代、上り坂の女社会と 下り坂の男社会の差とも取れるかも??



 ≪今週の真澄さま≫
 自身の少年時代を簡単に回顧。 第34巻 で詳細に語られる、冷徹な帝王学を叩きこまれた養子であることがほのめかされている。


 
23:37  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑