FC2ブログ

【『ガラスの仮面』全巻】 2020.01.07 (Tue)

ガラスの仮面第17巻≪復活の泥まんじゅう≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第17巻 ≪華やかな迷路(5)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【亜弓の復讐劇】

 亜弓、「卑劣なヒロイン」 乙部のりえへの宣戦布告。(「北島マヤのためにも…思い知らせてあげる…!」
 そして舞台 『カーミラの肖像』 初日。亜弓、脇の悪役にすぎない 「吸血鬼カーミラ」 を、悲劇のヒロインとして演じあげる。のりえ演じる主人公マリアではなく、亜弓のカーミラに引き込まれる観客。のりえは、亜弓そしてマヤとの才能の差に打ちのめされる (「完全な敗北…!」)。


 『カーミラの肖像』 は、レ・ファニュというアイルランドの作家の小説 (吸血鬼ものの元祖だとか) を新たに翻案したもの。悪は徹底して懲らしめる作者に力量がありすぎるため、思わずのりえに同情する声もあるようだが、これにて 「乙部のりえ事件」 は決着。
 ・・・ちなみに美内先生の公式サイトによると、のりえはこのあとニューヨークに渡り、苦学しながら演技の勉強を続けているのだそうだ。マヤや亜弓とまた共演したいとも。「登場人物を不幸にしたくない」という美内先生らしいフォロー。

 (演出無視の演技はコッチへ置いといて、)みごとマヤのかたきを討った亜弓、卑怯な手をきらう高潔な性格もクローズアップされ、株が急上昇。父・姫川監督とのやりとりもいい (「ひとつわしの娘の役をやってもらえんかね、亜弓」)。
 さぁ、あとは当のマヤ次第・・・!



 【マヤと真澄の初キッス!】

 マヤ、民話劇の仕事でも失敗し、ついに芝居をやめる決意。責任を感じてマヤを追う真澄、雨に打たれて倒れたマヤに愛の告白! そして薬を口移しで! (「そうとも! 今こそ認めよう…! おれはお前を愛している! マヤ…!」
 真澄と芝居から逃げ、見知らぬ町の保育園で働き出したマヤに、真澄は最後の舞台を用意する・・・。


 マヤと真澄の初キッス!! 寝てる時でいいのか!?
 四面楚歌のマヤをたったひとり支える真澄。マヤの 「運命の人」 は桜小路でも里美茂でもまだ見ぬ男性キャラでもなく、速水真澄なのだな、とこの辺りから印象づけられた。
 真澄から 「取柄のない平凡な少女」 に戻ってしまうことを問い詰められたマヤの「白目」が哀しい。



 【復活の「泥まんじゅう」】

 ・・・マヤ最後の舞台は亜弓主演の 『夜叉姫物語』。 端役の 「物乞いの娘トキ」 役。
 ここでもいやがらせを受け、マヤが食べるまんじゅうが泥団子にすりかえられていた。逃げも隠れもできない舞台の上。その時、捨てかけていた芝居への情熱と本能がよみがえる!
 とりつかれたように泥団子をむさぼり食うマヤ。 「ああ うめえ。おら こんなうめえものくったことねえ」
 「おらあ、トキだ!」


 王道の熱血ドラマに弱い身としては、筆舌に尽くしがたい感動・・・ただただ感動。 『ガラスの仮面』 最大の名場面を挙げるなら、迷わずこれに投票します・・・。
 この壮絶な復活劇を最後に、長かった≪華やかな迷路≫の章は終了、次章≪100万の虹≫がカラーでスタート。(文庫版の第10巻ラスト)


 亜弓からの力強いエール (「まってるわよ」) と、いつになくやさしい真澄の笑顔。そして厳しくも愛のある月影の叱咤・・・。「つきかげ」の仲間との誤解も解けて再び帰る家を得たマヤは、ほがらかに再起を決意する。


 ページをめくればドーンと真澄のキラキラ笑顔( どき )。こういうプロの職人演出にもしびれる。

 
20:26  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.12.14 (Sat)

ガラスの仮面第16巻≪北島マヤ芸能界失脚≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第16巻 ≪華やかな迷路(4)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【乙部のりえの陰謀】

 母の死を知り悲嘆にくれるマヤ・・・。母を軟禁していた真澄は罪悪感にかられ (「おれが殺した…!」)、乙部のりえはついにマヤ潰しの牙をむく (「チャンス到来…!」)。
 のりえから母の死の遠因が真澄にあることを知り (「速水真澄に殺されたとよ…!」) 自暴自棄になったマヤ、行きずりの暴走族と夜を明かし、主演舞台 『シャングリラ』 の初日公演をすっぽかしてしまう。
 すべてはのりえの策略どおり。スキャンダルにまみれたマヤはあっという間に仕事を失い、『シャングリラ』 の主役も大河ドラマ 『天の輝き』 の沙都子役も、のりえに奪われてしまう (のりえ 「チャンスとは自分でつくるものよ!!」)。
 北島マヤ、芸能界失脚・・・。


 マヤが母の死を知るシーン。ガラスが割れるような効果線が入っているのだが、ご丁寧に 「ビシッ」 の擬音つき。ひざを落とせば 「ガクン」、役になりきれば 「キリッ」 と、当時の 『花とゆめ』 読者に向けてとても分かりやすく描かれている (つくづく、「がーん」 を発明した 『巨人の星』 的)。また、マヤが暴走族と共にするシーンでは、スカーフで鼻をかまれた男のコミカルな表情。「のめりこみ」 型ではない、ベテラン作家の冷静さが分かる。
 ――物語があまりに急転直下すぎるので、こういう所に目を向けないとツライです・・・。

 本巻中、2回のカラー原稿 (骨壷を抱くマヤと、のりえの快進撃の回)。マヤの不幸に反比例するかのように作品の人気は絶頂に。



 【砕けた仮面】

 マヤ、里美茂サイドから絶交を申し渡される。
 真澄の後ろ盾で舞台 『黄金の実』 の少女マージの役を得るが、共演者や観客の冷ややかな目。「母を犠牲にした」 という心ない観客の一言で、マヤの演技の仮面が砕け散ってしまう。
 「演技できなかった…!」「女優失格…!」「演劇をやめる…?」


 マヤ、里美茂への恋わずらい (13巻) に続き、ふたたび演技ができなくなる! いじめより何より、この「平凡な少女」の最大の武器にしてよりどころあった 「演技」 を失うというのが一番つらい。
 その一方で月影、マヤを冷たく突き放しながら、傍らの青木麗たちに2度もやさしい笑顔。「マヤを信じている」 「あの子に賭けている」 というのは、「心配するな」という 「月影=作者」 から 「麗たち=読者」 へのメッセージでもあるのだろう。
 それにしても月影&マヤ、この師弟は本当にハートがタフだ。この高度成長世代の雑草魂、現代もやしっ子にはとうてい真似できん (コミックス初版は'80年8月と、まさに時代のキワ)。



 【亜弓の怒り】

 乙部のりえの陰謀を知った亜弓、唯一のライバル・北島マヤを陥れた 「ひきょうなヒロイン」 への怒り。 (「ゆるせない…!」
 のりえ主演の舞台 『カーミラの肖像』 の脇役を自ら買って出る亜弓。マヤに代わっての復讐劇の幕が開く・・・!


 亜弓、カチューシャで大人っぽく (いつからかは未確認)。
 『ガラかめ』 の代名詞になったキャラクターの 「白目」 描写。前15巻のマヤ母を契機に、本格的な 「白目」 量産体制に! この怒れる亜弓の 「白目」 も超・強烈だ。(そもそもガラかめ初の 「白目」 は第4巻、劇中劇 『灰の城』 での亜弓だった。)
 もっとも嫌う「父の七光り」を使ってまで役を得た亜弓。自分のためではなく人のためというのが彼女らしくてかっこいい。本エピソードは亜弓の人気が急上昇するきっかけにもなった。

 
10:06  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(1)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.11.25 (Mon)

ガラスの仮面第15巻≪母の死≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第15巻 ≪華やかな迷路(3)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【マヤと里美の初恋宣言!】

 マヤ、TV大河ドラマ 『天の輝き』 田沼沙都子役でお茶の間の人気者に。初主演映画 『白いジャングル』 も大ヒット。
 そして青春スター里美茂が、堂々と愛の告白!(「好きです…ぼくは彼女が好きです」)。さわやかカップルの誕生に沸く世間をよそに、海辺でのささやかなデートを楽しむマヤと里美・・・。真澄、そんなふたりの「初恋宣言」 に、思わずグラスを握りつぶす。(「嫉妬しているのか? おれともあろうものが…!」

 幸せの一方で、桜小路優がマヤに別れを告げる。最後の抱擁。(後のGF麻生舞がチラッと初登場。)
 また大都芸能の方針により、“つきかげ”メンバーとは距離を置くことに。旧友たちとの友情にヒビが。
 そして謎の田舎娘・乙部のりえの素性が、熊本の天才美少女・田代鈴子であることが判明。マヤの衣装をまとい、妖しく笑うのりえ (「そう…わたしは田沼沙都子…!」)。


 ポッと出のライバルのいやがらせだけならともかく、今度は桜小路~つきかげメンバー~母ハルと、これまでマヤと物語を支えてきた身内とのあつれきが噴出。さらには乙部のりえの不気味な影・・・。幸不幸の波が大きすぎてドラマチックな反面、心身にこたえる。



 ≪今週の“紫のバラのひと”≫
 映画 『白いジャングル』 の完成試写会場に紫のバラ (「いつもあなたをみています」)。
 真澄、何食わぬ顔でその紫のバラを1本抜き取り、「大都芸能の未来のスター」 マヤを祝福。




 【母の死】

 結核を患い、地方で療養生活を送るマヤの母・北島春。「感動の母娘再会」 の機をうかがう真澄によって軟禁状態に置かれていたが、娘の活躍を知り病院を抜け出してしまう。ひと目マヤに会わんと病身にムチを打つ母。ようやくたどりついた町の映画館で、マヤの声を聞きながら息絶えるのだった・・・。


 「マヤ…!」
 見えぬ目でさまよう、やつれきったマヤ母の 「白目」 は壮絶の極み。この 「白目」 演出は連載当時から衝撃的だったのだろう、以後あらゆる場面で 「白目」 が多用(乱用)されるようになるが、このマヤ母の白目を超える白目はないと思う。もともと作者はホラー漫画がお得意だそうで、こういう迫力の描写はお手のものなのだろう。
 ・・・が!その直後に見せるマヤ母のコミカルな表情が拍子抜け (「活発で、きりり…?」)。作家自身がシリアスに耐えきれずギャグに走るのは、インテリ手塚治虫とそのチルドレンに多く見られる傾向。美内すずえ先生が当時おいくつかは知らないが、物語にのめりこむ若い作家ではなく冷静なベテランなのだな、と察することができた。
 とにもかくにも、悲しすぎて読んでいられません。

 
20:43  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.11.06 (Wed)

ガラスの仮面第14巻≪「鬼千匹」の芸能界≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第14巻 ≪華やかな迷路(2)≫
 本巻から1980年代へ(コミックス発売日)。

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【スターへの階段】

 共演の里美茂に恋をしたマヤと、恋をしたことがないと見抜かれた亜弓…。
 亜弓は 「間 進(はざますすむ)」 という無名役者に接近して恋の表現を盗んでいくが、マヤはまるっきり演技ができなくなってしまう。


 もてあそばれた間進くんの立場、他人事には思えません。あぁ罪な亜弓さま…。(次15巻ではベテラン俳優・田口剣に接近。あぁ亜弓さま…。)
 ちなみに 「間進」 という名前は、当時絶頂を極めた吉本新喜劇の二枚看板 「間寛平」 と 「木村進」 からきてるんだろう。美内先生は大阪の人だから。


 大都芸能社による怒涛のマヤ売り出し計画。水城がマヤの正マネージャーに (「あなたはスターになるのよ!」)。マヤと里美の恋を知った真澄の 「白目」。
 真澄、北島母娘の 「感動の再会」 を演出するため、地方で療養中のマヤ母を軟禁状態に置く。
 こうしてマヤ、たちまちお茶の間の人気者になり、里美ともさらに親密に。天性の明るさと向上心で、恋わずらいもうまく乗り越えるのだが…。

 野暮ったい女優の卵・乙部のりえ登場。甲斐甲斐しくマヤの世話を焼いたり、意地悪なライバルにマヤのすごさを教えたりする。


 ぼくは2割くらい、「乙部のりえ」 の正体は亜弓だと思っていました。あとの4割は絶体絶命のマヤを救ってくれる正義の実力者か。…甘かった、はずかしいわ!



 【いじめの日々】
 以下、マヤを恨む人リスト。傍若無人な大都芸能のやり方だと、恨まれて当然? それでも元気と笑顔を貫こうとするマヤがけなげでけなげで…。話はハードだが、マヤの不屈の明るさでかなり救われた。

 ≪里美茂親衛隊
 里美と交際するマヤへの嫉妬。
 (次15巻) マヤに集団で暴行を加えるが・・・
 ・・・真澄に撃退される。(やっつける真澄のポーズがカッコよすぎて笑える。)

 ≪吉川みどり (下積み女優)≫
 マヤ売り出しのあおりを受け、大河ドラマ 『天の輝き』 の出番を削られる。
 マヤの衣装のエリにカミソリを入れるが・・・
 ・・・マヤの気高い演技力と、素の無邪気な笑顔に感服 (「不思議な子…負けたわ…」)。

 ≪巴万里 (アイドル歌手) とそのファンクラブ≫
 映画 『白いジャングル』 の初主役をマヤに奪われる。
 ファンが大都芸能の車を破壊し、マヤに抗議文。お手玉の糸を抜く。(バケツは違う)
 ・・・万里、マヤの素直さ (「あたし、お芝居が好き…」) と、お手玉が破れてもミカンでやり抜く舞台度胸に感服 (「あの子なら許せる」)。万里に叱られてファンクラブも謝罪。

 ≪山崎竜子 (大女優)≫
 長年つとめた 「日向電機」 のCMをマヤに奪われる。
 (次15巻) マヤの演技を酷評しようとするが・・・
 ・・・真澄から別の大きなCM出演に誘われてコロッと機嫌を直す。


 しかしまだまだ、「マヤのポスターを破損」 「パイにガラス片(文庫版8巻ラスト)」 「船のマストのネジが抜かれ、あわや転落」 「人力車の踏み板が外れる」 「くしに接着剤」 「タオルにコショウ」 「バケツが落ちて水びたし」・・・
 ・・・「いったい誰のしわざなの…?」

 
22:54  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.10.17 (Thu)

ガラスの仮面第13巻≪華やかな芸能界へ≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第13巻 ≪華やかな迷路(1)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【アカデミー芸術祭、受賞!】

 アカデミー芸術祭・助演女優賞は… 『奇跡の人』 ヘレン・ケラー役の北島マヤに!
 月影、マヤと亜弓のふたりを幻の名作劇 『紅天女』 の主演候補として公式に発表。


 マヤの受賞でひとつのクライマックスを迎え、つづいて本作最大のキーワード 『紅天女』 が胎動のきざし。マヤも物語も…そして亜弓も、次の大きな段階へ成長していくのだろう。



 【大河ドラマ出演】

 マヤ、月影の後押しで宿敵・速水真澄の 「大都芸能」 入り。テレビ大河ドラマ 『天の輝き』 (作者オリジナル)の令嬢 「田沼沙都子」 役に大抜擢される。勝手が違うテレビドラマ撮影に戸惑いながらも役を作り上げていく。
 共演の人気青春スター里美茂が登場! マヤ、気さくな里美に恋心を募らせる (里美 「半分かじりかけだけど、あの子のならいいや」)。それがもとで里美親衛隊に妬まれたり演技が出来なくなったりと、波乱の予感。


 急転直下の展開で読者をやきもきさせた≪華やかな迷路≫の章がスタート。
 恋におちたマヤ、ついに演技ができなくなる! …これまでどんなイジメや試練にも無邪気な本能で乗り越えてきたが、頼みのアイデンティティ(=演技)が揺らぐとは! いつかはその日が来ると分かっていながらショックだった。(娘の思春期…まさに思春期を迎えた父親の気持ち!?…バカな、おれともあろうものが!)
 次14巻からライバルたちのいやがらせが本格化するが、むしろこの「演技ができない」ほうにハラハラさせられた (さらに16巻からは、別の理由で演技ができなくなる!)。
 そして、マヤの高い演技力にも冷淡なテレビマンの一言 「まだ若いのに生意気だねえ」 もグサッときた。もはやマヤひとりを中心に動く物語世界ではないのだ。せめぎあう思春期と大人社会の活断層が、これでもかとばかり描かれていく。



 ≪今週の「紫のバラのひと」≫
 マヤと真澄、受賞パーティでダンス。もののはずみで抱きついた瞬間、長野の別荘での感触(10巻)がよみがえる。(マヤ「あの夏のときの…まさか…?」 真澄「ラブシーンはまだ早いよ、チビちゃん」
 水城秘書、独断で「紫のバラ」をマヤに贈る。口論の末、思わず水城に手をあげる真澄。(「あの子を愛してらっしゃるのね」 「愛しているだと…? 11も年下のあの小さな少女を…」


 ・・・水城秘書の独断のおかげで、「紫のバラのひと」 の正体を伏せたい真澄のアリバイが成立。



 【マヤと亜弓の「恋」】

 一方の亜弓もテレビドラマに進出(オリジナル作 『虹の記憶』 聖子役)。『紅天女』 両候補のTVドラマ競演が世間の話題に。しかし亜弓は、共演者から 「まだ恋をしたことがない」 ことを見抜かれてしまう。
 マヤ「恋してる…?」 亜弓「恋してない…!」


 亜弓、お姫様ロールから大人びたウェーブ・ヘアに。
 巻末、マヤと亜弓の「恋」を並行させ、マヤ「恋してる…?」 亜弓「恋してない…!」 でしめる演出が実にニクイ。完全無欠と思われた亜弓の意外な弱点、そしてふたりがいかに「恋」を芸の肥やしにしていくのか、とても印象的なラストだった。
 恋・・・その果てに紅天女の恋が待っている…! ホッホッホホホ…!(第15巻、月影先生ふう)

 
07:29  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(1)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.09.28 (Sat)

ガラスの仮面第12巻≪マヤ版 『奇跡の人』≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第12巻 ≪炎のエチュード(3)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【マヤ版『奇跡の人』】

 大喝采のうちに終わった亜弓版ヘレン・ケラーに続き、マヤ主演による 『奇跡の人』 開演。
 サリバン役の姫川歌子をも本気にさせるマヤ迫真の演技。予想もつかない舞台上での格闘劇に惹きつけられる観衆。公演は亜弓派とマヤ派に分かれるほどの大成功を収める。
 歌子、カーテンコールでマヤにキス。これに激しく嫉妬する娘の亜弓 (文庫版第7巻ラスト)。

 マヤと亜弓、そろってアカデミー芸術祭・助演女優賞候補にノミネート。そして授賞式の日…。


 正統派の亜弓版ヘレンに対して、マヤ版は 「けれん、ニッチ(すき間)」 な感があるが、'70年代小劇場ブーム(つかこうへい、野田秀樹、鴻上尚史…)の当時は、独創的で斬新なマヤ版のほうが受けたのかもしれない。本作の若い読者ならなおさらだろう。そのことは次13巻、芸術祭授賞式での亜弓がいみじくも言い当てている (「完璧なヘレン」「新鮮なヘレン」)。

 めずらしい亜弓のチャイナ服姿。御用達の紅茶 「クイーン・メリー」 初登場。(トワイニング社の紅茶葉缶ブランド 「クイーンマリー」 は、ティーバッグ紅茶がもっぱらだった戦後日本では庶民のあこがれだった缶入り茶葉の銘柄。当時の少女マンガではあちこちで「上流家庭の御用達」として用いられてイメージ付けられたそうだ。今はもう製造終了らしいが、コラボキャンペーンで復刻したら喜ばれそう。)



 【番外編・たい焼き対決!】
 (前11巻)亜弓版ヘレンに背を向け、ロビーで「たい焼き」をほおばるマヤ。セーターの羊マークは、雑誌掲載された昭和54年正月がひつじ年だから。たい焼きは速水真澄の生い立ち話(第34巻)にも出てくる。
 そしてマヤ版ヘレンの本巻では、亜弓がロビーでたい焼きを…。前11巻の稽古場での「大福もち」といい、亜弓ぽくないおやつのチョイスが逆にぐっとくる (後の『ふたりの王女』編での自炊サンドイッチはかえってガッカリした。片手鍋ラーメンをすするところを見てみたい…)。

 ふたりが持ち込んだ「たい焼き」は、どちらも大きな紙袋に山盛りの量。見た目で確認できる数はマヤ5個、亜弓7個(うちふたつは両手に!)。ひとつを真澄にふるまったマヤに対し(PM5:55)、亜弓は第2幕が始まってもまだ食べている(PM6:30)。「マヤ早食い説」も考えられるだろうが、公式記録としては亜弓の勝ち!



 ≪今週の「紫のバラのひと」≫
 『奇跡の人』開演前、ロビーに特大の「紫のバラ」の花輪。「あなたを見ています」
 終演後、客席から「紫のバラ」が投げこまれる。


 真澄、マヤをからかったり、芸能界の礼儀を厳しく教え諭した(前11巻)かと思えば、倒れてきたオブジェからマヤをかばったり、悪徳スカウトを追い払ったり、演劇に打ちこむマヤに 「うらやましい」 とつぶやいたり(前11巻)…。マヤ、そんな真澄の二面性にそろそろ戸惑い始める。

 
17:02  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.09.08 (Sun)

ガラスの仮面第11巻≪亜弓版 『奇跡の人』≫

美内すずえ 『ガラスの仮面』 第11巻 ≪炎のエチュード(2)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【マヤと亜弓のWキャスト!】

 『奇跡の人』 ヘレン・ケラー役の最終テスト。耳の聞こえないヘレンになりきって、突然の非常ベルにも動じないマヤと亜弓に軍配。サリバン役・姫川歌子の決断で、マヤと亜弓のWキャストに決定。


 「自分を忘れて別人物になりきる」マヤと、「理性的に演技を貫く」亜弓の資質の違いが初めて語られる。マヤを前にして 「どうしようもない不安感」 に駆られる亜弓。彼女が人間的な弱さを見せるのはほぼ初めてで、マヤに並ぶ「ガラかめW主役」として深い人間性を帯びていくのと同時に、後の重要なテーマ 「天才型のマヤ」「努力型の亜弓」 の対比につながっていく。
 一方、逆転で敗れてそれっきりの金谷英美。 「このまま捨てるにはおしい素材だ」 ←作者にそっくり言い返したい。
 (文庫版第6巻おわり)



 【稽古~それぞれの「奇跡の瞬間」】

 稽古場。母娘の情を捨てて迫真の演技をぶつけあう姫川歌子と亜弓。一方、マヤの演技は荒削りで型破りながら、歌子をして 「この子の演技にひきずられる」 と怖れさせる。

 物語のハイライト 「Water!」 の演技を研究するふたり。亜弓は洗濯機での感電で、マヤは顔にぶつかった水ヨーヨーの破裂で、ヘレン・ケラー 「奇跡の瞬間」の表現を獲得する。


  大福もち!


 ≪今週の真澄さま≫
 記者会見の場で敵意をあらわにするマヤに、芸能界の礼儀をきびしく教え諭す。

 ≪今週の桜小路くん≫
 久々登場。マヤとの再会でどぎまぎするふたり。絵には作者の愛情がこめられているようだ(竹宮惠子っぽい)。この頃になると絵に力を入れる場面と力を抜く場面を、のらりくらりと描き分けている。





 【亜弓版 『奇跡の人』】

 いよいよ 『奇跡の人』(ウィリアム・ギブスン原作) 開演。まずは亜弓版。

 あらすじ・・・目、耳、声に障がいを持つ「三重苦」の少女ヘレン・ケラー。その家庭教師としてアニー・サリバンが赴任する。サリバンは指文字や学問を教えるかたわら、野放図に育ったヘレンに厳しいしつけをほどこす。長く苦しい格闘の末、ヘレンは手に「水」がふれた瞬間、「water」 の言葉を発するのだった。


 鼻血のアクシデントも美しく見せる亜弓の舞台センス! これぞ正統派ヘレン・ケラー! 単純に 『奇跡の人』 マンガとして大いに感動した。連載も3年目に入り、マンガ演出の脂がのりにのっている。すべての劇中劇の中でも1、2の「My 亜弓ベスト」。

 なお、本作や映画などで語られているヘレンとサリバンの壮絶な格闘劇は、ほとんど大げさに脚色したものらしい。また本来 「奇跡の人 (The Miracle Worker)」 とは、奇跡を働きかけたサリバンのほうを指すのだそうだ。

 …次12巻はマヤ版 『奇跡の人』 開演。そしてもうひとつの対決?「たい焼き大食い決定戦」を!

 
22:19  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑