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【『ガラスの仮面』全巻】 2019.06.18 (Tue)

ガラスの仮面第7巻≪舞台あらし≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第7巻 ≪舞台あらし(1)≫
 ・・・引き続きマヤの栄進座出演(『おんな河』たず役)と、亜弓の『王様とこじき』公演。マヤは天性の無邪気さで年配客を、亜弓はアドリブを交えた多彩な演技で子供たちの心をそれぞれ虜にしていく(第6巻)。
ガラスの仮面~マヤ(白目・光)
「元の絵はこの記事…!」

 【栄進座出演】

 マヤ、背負った赤子人形の首がもげるというライバルのいやがらせも、何食わぬ笑顔でみごとに切り抜けてみせる。あたたかい喝采に包まれる舞台。しかし座長・原田菊子の厳しい目は、マヤが主役の演技を食ってしまう 「舞台あらし」 であることを見抜くのだった。(原田「あの子…こわい子ね…」 月影「まあね…」
 以後、栄進座から音沙汰はなく、アルバイトで赴いた大学の演劇サークルからも才能を妬まれてお払い箱になってしまう(園児を相手に即興ひとり芝居の『白雪姫』)。


 共演者を食ってしまう「舞台荒らし」…。マヤの才能が向かうところ敵なしだからこそ、重大な欠陥となることが明らかに。その理詰めの展開にやられた。巧い、巧すぎる!



 【『嵐が丘』 公演】

 マヤ、夏江梨子主演の舞台 『嵐が丘(E・ブロンテ作)』 の審査テストに参加。東洋劇場会長の肝いりで、本命候補の絵島由紀らを差し置いて主人公キャサリンの少女時代役に大抜擢される。
 はじめは地味で不器用ながら、またたく間に役柄をつかんだマヤ迫真の表現力に、共演の「ヒースクリフ」役の真島良は演技を越えて心を奪われていく。


 仕事をなくして失意のマヤ、いかにもマンガ的な楽観思考であっけなく立ち直り(「マスターのおじさん!カフェ・オーレおかわり!」)、再び快進撃。 芝居をすれば天才的、相手役に惚れられ、BFの桜小路にはやきもちを焼かれ…と公私に充実。 少女の夢を盛りこむ読者サービスに抜かりはない。
 そんなマヤの性格を「単細胞」「お調子者」と笑う意見もあるが、だからこそ読者は楽しく安心して読み続けていられる。バブル崩壊後の作品だとだんだん先鋭化して、ここまで広く大衆の支持は得られないだろう。

 (追記…まさかその『ガラかめ』自身が、バブル崩壊後の内向的なヘリクツ物語になるとは・・・!)


今週の月影先生…病院のテレビで亜弓の演技に食い入る。もしかして亜弓も 「紅天女」 後継者
            に・・・?
今週の桜小路くん…劇中の「ヒースクリフ」にやきもち。亜弓~月影に次ぐ通算3度目くらいの
             「白目」(今はまだ1巻に1白目くらいのペース)
今週のマヤ母…久々登場するも、血を吐く。
今週の「紫のバラのひと」・・・月影の病室に毎日のように紫のバラを贈っている、と青木麗の談。


 
23:54  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.05.30 (Thu)

ガラスの仮面第6巻≪プロの世界へ≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第6巻 「あした草 (2)」
 劇団を失った月影の負担を減らそうと、独力でさまざまな演劇のオーディションに挑戦するマヤ。一方、すでに『紅天女』の主演を目標に定め、演技の幅を広げようと試みる亜弓。ふたりはそれぞれ広いプロの世界へと巣立っていく…。

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)
「あたらしいTOP絵…こわい絵!」

 【映画初出演】

 マヤの映画初出演は、アイドル田淵エミ主演の 『白い青春譜』。足が不自由な「ただの通行人」役を死にもの狂いで演じるマヤの熱意に、周囲は圧倒される。
 「思い出したわ…あの子よ」 「姫川亜弓と互角にたたかい…一人舞台で一般投票第1位という経歴の持ち主だ」 「甘かった…はずかしいわ」 「アップ…こんなに大きく…名前もないチョイ役なのに」


 端役もいとわず 「あしたへの第一歩、あしたへのレッスン」 と演技に打ち込むマヤの情熱と根性。ひと昔前の定番メッセージではあるが、今の時代だからこそかえって心を打たれた。
 ここまで 「他にとりえがない平凡な子」 ぶりが強調されているが、マヤの演技力は向かうところ敵なし。失格処分、劇団崩壊、ライバルのいやがらせなどの試練に見舞われても、人生やアイデンティティ(つまり演技)の危機にまでは踏み込んでおらず、若年層向けのヒロイン成長記として安心して読める (当時の読者はハラハラだったでしょうが…)。文句なしに面白い。


今週の月影先生・・・『紅天女』権の譲渡を迫る真澄に激昂して昏倒。
             (途中、第4巻の亜弓(劇中劇『灰の城』)以来2つめの「白目」。)
今週の「紫のバラのひと」・・・倒れた月影の入院費負担。


 マヤたち、先に『ジーナ…』を妨害した元劇団員からオンディーヌの陰謀を聞かされ、真澄への怒りを新たに…。その直後の「紫のバラ」。 読者が真澄をひどい人間だと思わないのも、こういうマメさがあってこそ。ほんとうの「紫のバラ」の贈り先は、作中のヒロインではなく読者その人たちなのだろう。



 【商業演劇の世界へ】

 前後して、中学の演劇部 『古城の愛』 での女王役(…地味な端役が続くので読者サービスか…)を経てプロの商業演劇の世界へ。原田菊子ひきいる栄進座 『おんな河』 の子守「たず」役。
 原田の言葉を借りて、マヤが『紅天女』候補であることが明示される。

 一方、スター街道まっしぐらの亜弓は 『王様とこじき (マーク・トウェイン作)』の舞台に主演。体を張った「道化役」や「汚れ役」で新境地を開拓。役作りのために、実際に街頭で物乞いをするほどの凄まじさ。


 亜弓の貴重なショートヘア姿。 マヤに負けじと亜弓の役作りも壮絶を極めていく (「いいえ 負けたくない マヤ…あの子にだけは…!」)。この頃はまだ「あたしには天性の才能がある」 と 「亜弓=天才型、マヤ=努力型」 の図式で語られており、亜弓も(作者も)また、試行錯誤の只中にいるのが分かる。
 …しかし美人は何やっても絵になるなあ。(ブラックデビル!)

 
22:55  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.05.13 (Mon)

ガラスの仮面第5巻≪伝説のひとり芝居『ジーナ』≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第5巻 ≪あした草(1)≫

マヤ(白目)

 【『ジーナと5つの青いつぼ』】

 全国大会。劇団つきかげの演目 『ジーナと5つの青いつぼ』(作者オリジナル)は、オンディーヌ小野寺とマヤに嫉妬する劇団員の策略で、マヤ以外の役者がすべて出演不能になる事態に・・・。それでもマヤは、ずば抜けた舞台度胸で驚異の即興ひとり芝居をやってのける。アクシデントを感じさせない斬新なマヤの舞台は、みごと一般投票で1位を獲得。
 しかし審査では失格処分となり、スポンサーを失った劇団つきかげは崩壊。麗やさやかたち生え抜きの仲間とともに、古アパートからの再出発を図る。


 即興のひとり芝居をやってのけたマヤ。その天才を象徴する伝説的エピソードとして、以後しばしば作中で語られる。
  旅人から謎のつぼを預かったばかりに、騒動に巻き込まれる少女の1日を描いた 『ジーナと5つの青いつぼ』 は、作者のオリジナル作品。 アイディアのもとは戦前の名作映画 『丹下左膳余話・百萬両の壺』 か。作者は落語や時代劇など「オヤジ系芸能」 がお好きらしいから。

 物語が詳細に出来上がっているところをみると、別の企画からの転用なのだろう。何かの話で聞いたが、作者のネタ帳には数百単位の企画がストックされているのだとか(未確認情報)。本編と劇中劇、その尽きぬ創作力に脱帽した。
 できればセリフの「活字」頼みではなく もっと「マンガ」技法内で表現してほしかった…が、それも美内すずえ先生が美内すずえたるゆえんでしょうか (マンガ技術の至らなさは、ご本人も若手のころコンプレックスだったらしい)。



 【映画オーディション】

 あらためて始まる稽古の日々。月影、『紅天女』 は「梅の木の化身」であることを明かす。
 真澄と小野寺、桜小路を使ってマヤをオンディーヌに引き抜こうとするが、マヤはその手に乗らず。

 マヤ、アイドル映画・田淵エミ主演 『白い青春譜』の脇役オーディションに挑戦。いったん落選するも「なぜか心ひかれてならん」 ものが審査員の目に留まり、入院中の足が不自由な子というチョイ役をもらう。(文庫版第3巻も終わり)

 
 月影の忠実な付き人・源造さんの名前が出るのは初めて?(初登場は連載第2話)。なお「小林」という姓は'97年TVドラマ化(安達祐実主演)の際の公認。

 マヤ、「演技力はありそうだが」(審査員)、まだまだ多くの人に才能を認められるほどではない。それでも端役にすら全精力を傾ける熱心さは、甘ったれたアイドル田淵エミとの対比で周囲を驚かせていく。


 ≪今週の「紫のバラのひと」≫
 『リア王』 劇場前で偶然マヤを見かけた真澄、子供に託してチケットと紫のバラを贈る。


 真澄の有能な秘書・水城冴子初登場。 「冴子」 という名は同じくTVドラマ化の際の公認。

 
00:09  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.04.21 (Sun)

ガラスの仮面第4巻≪たけくらべ競演≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第4巻 「春の嵐」

マヤ(白目)

 【たけくらべ競演】

 全日本演劇コンクール東京予選。マヤの 「劇団つきかげ」 と亜弓の 「劇団オンディーヌ」 が、同じ演目 『たけくらべ』(樋口一葉)で激突。凛とした正統派のヒロイン美登利を演じた亜弓に対し、マヤは活発で感情豊かな新しいヒロイン像で対抗、両劇団は同点1位で全国大会出場が決定。


 子供から大人へ、揺れ動く思春期の恋や友情の機微を描く 『たけくらべ』…、実は初体験です (あと7~8巻の『嵐が丘』も)。
 年を追うごとに劇中劇の描写がくどくなっていくが、初期は物語を適度に はしょっていて読みやすい。今回も亜弓版とマヤ版で、それぞれの個性を際立たせつつ巧くバランスを取っており、『たけくらべ』の見せ所がとてもよく伝わった。
 また、ここへきてマヤと亜弓のライバル関係が明確に。以後、ふたりの動向が並行して描かれることが多くなり、「亜弓メイン」で進む回も増えていく。(…作者自身、この『たけくらべ』で 悪役だけではない亜弓の魅力に気付いたらしい。「亜弓 is not 悪役」は初めから計算ずくだと思っていたので意外だった。)


 ≪今週の「紫のバラのひと」≫
 上演前後の楽屋にそれぞれメッセージを。「あなたをみています あなたのファンより」
 真澄、初めてマヤを 「おチビちゃん」 と呼ぶ。




 【初「白目」!~全日本演劇コンクール本戦】

 全国大会。のちに良き仲間となる「劇団一角獣」との出会い。彼らの演目 『運命』(作者オリジナル)。
 続くオンディーヌの亜弓は、『灰の城』 (オリジナル)で没落華族を力演。
 マヤの活躍をよく思わないつきかげ劇団員と、それにつけこむオンディーヌ理事長・小野寺の策略がひたひたと…。


 『ガラかめ』 の代名詞になった、キャラクターの 「白目」 描写。そんな本作初の 「白目」 は、役作りの減量で 「圧倒されるほどの威厳」 を身につけた亜弓の演技で。(追記…『アメトーーク!ガラスの仮面芸人』 調べによると、49巻までに約1300白目あるそうだ。)
 比較的「悪役」があいまいだった本作に、小野寺一(はじめ)が台頭…しかけて尻すぼみ。全編を通してのイヤミな皮肉屋程度におさまっている。本作にもようやく人間の「悪意」が芽生えはじめるが、それもマヤの才能を際立たせるお膳立てにすぎなかった…。しかしそこが痛快。だからやめられない!

 
18:27  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.04.04 (Thu)

≪ガラスの仮面レビュー≫もくじ

  美内すずえ 『ガラスの仮面』 コミックス版レビュー
 (※リンク先はヤフーブログへ。ただし2019年いっぱいでサービス終了するため、順次このFC2ブログに再投稿していきます。その間、両ブログ間での記事公開に混乱や不具合がありますがご容赦ください。)

  ごあいさつ
  ガラスの仮面500巻≪四月の馬鹿~エイプリル・フール~≫レビュー
  『ガラスの仮面』幻の名場面を発掘~エイプリル・フール番外編


  第1巻 ≪千の仮面を持つ少女≫
  第2巻 ≪劇団つきかげ≫
  第3巻 ≪紫のバラのひと≫
  第4巻 ≪『たけくらべ』競演≫
  第5巻 ≪伝説のひとり芝居『ジーナ』≫

  第6巻 ≪プロの世界へ≫
  第7巻 ≪舞台あらし≫
  第8巻 ≪『嵐が丘』『石の微笑』≫
  第9巻 ≪人形の涙~マヤと亜弓初共演≫

  第10巻 ≪『奇跡の人』オーディション≫
  第11巻 ≪亜弓版 『奇跡の人』≫
  第12巻 ≪マヤ版 『奇跡の人』≫

  第13巻 ≪華やかな芸能界へ≫
  第14巻 ≪「鬼千匹」の芸能界≫
  第15巻 ≪母の死≫
  第16巻 ≪北島マヤ芸能界失脚≫
  第17巻 ≪復活の泥まんじゅう≫

  第18巻 ≪『女海賊ビアンカ』≫
  第19巻 ≪『通り雨』≫
  第20巻 ≪聖唐人登場~姫川亜弓物語≫
  第21巻 ≪『真夏の夜の夢』1≫
  第22巻 ≪『真夏の夜の夢』2≫

  第23巻 ≪伝説のオーディション 『毒』≫
  第24巻 ≪アルディスとオリゲルドの仮面≫
  第25巻 ≪『ふたりの王女』開演!≫
  第26巻 ≪『ふたりの王女』1≫
  第27巻 ≪『ふたりの王女』2≫

  第28巻 ≪「狼少女ジェーン」≫
  第29巻 ≪マヤと真澄と桜小路≫
  第30巻 ≪鷹宮紫織登場≫
  第31巻 ≪マヤの山ごもり≫
  第32巻 ≪『忘れられた荒野』 嵐の初日≫
  第33巻 ≪最優秀賞と「紫のバラ」の正体≫

  第34巻≪速水真澄物語≫
  第35巻≪「紅天女」のふるさとへ≫
  第36巻≪4つのエチュード≫
  第37巻≪マヤと真澄の一夜≫
  第38巻≪月影千草物語≫
  第39巻≪亜弓の挫折~吊り橋事件≫
  第40巻 ≪まるまる『紅天女』≫
  第41巻 ≪マヤと亜弓のケンカ≫

  第42巻 ≪携帯電話≫
  第43巻≪「いつまでも待たせないで!」≫
  第44巻≪≫~~ひとまずレビューおしまい。
  ・・・


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(オリジナル投稿2014.4.2)
23:02  |  『ガラスの仮面』全巻  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.04.03 (Wed)

ガラスの仮面第3巻≪紫のバラのひと≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第3巻 「風の中を行く」

速水真澄
「おれともあろうものが・・・!」
(旧Yahoo!アバター)
 【紫のバラのひと】

 『若草物語』公演の後半。高熱で意識朦朧のマヤ、重病のベスを熱演。
 これに心打たれた真澄、匿名で「紫のバラ」を贈ってマヤをねぎらう (「早く元気なベスになってください。あなたのファンより」)。生まれて初めて得たファンに感無量のマヤ (「ありがとう、紫のバラのひと」)。


 マヤの情熱と才能に惹かれた速水真澄が、匿名の足長おじさん 「紫のバラのひと」 としてマヤを支援。その一方で、冷酷な月影つぶしの一面をマヤに見られてしまう (「この少女にだけは…きかれたくなかった…!」)。 以後、真澄としては憎まれ、「紫のバラのひと」としては慕われ…と、どちらもマヤの芝居への原動力として正反対の方向から影響を与えていく。キャラ作りが巧い。

 なお作者によれば、このころ「マヤの父親は離縁ではなくすでに故人」という設定が決まったらしい。マヤが「紫のバラのひと」はどこかにいる実父ではないかと誤解するのを防ぐためだという。いわく、「ろくな死に方をしていない」そうだ。
 (※追記…すでに第1話の時点で、マヤ母が 「ねぇ、天国のお父さん」 と語りかけていました。)



 ≪今週の月影先生≫
 『紅天女』 の上演権を奪おうとする真澄の陰謀により公演は酷評され、スポンサー青柳との関係も悪化。劇団員にも動揺が走る。
 怒りの月影、心臓の病に倒れる (初!)。




 【月影流・熱血スパルタ教育】

 真澄と大都芸能の容赦ない攻撃にさらされる≪劇団つきかげ≫。存続を賭けた演劇コンクール東京予選では、マヤが 『たけくらべ』(樋口一葉作)主役に大抜擢されるが、真澄の≪劇団オンディーヌ≫も同じ『たけくらべ』をぶつけてくる。
 マヤ、想いを寄せる桜小路とは敵味方となり、同じヒロイン「美登利」役をつとめる亜弓の完璧な演技に打ちのめされるが、月影との雪夜の猛特訓で、自分なりの「美登利」像を完成させる。


 マヤ、重病のベスを演じるため一晩中雨に打たれたかと思えば(2巻)、月影もマヤにバケツの水をぶっかけたり、バシバシどついたり、小屋に監禁したりと、この師弟は無茶のし放題。
 しかし'76年当時は「熱血スポ根」世界がまだ力を持っていた時代(…実はすでに時代遅れだったが(「シラケ世代」用語参照を)、その「少し古い」加減が作品に風格をもたらす効果に…)、大衆少女マンガの話法としてはこれもアリ。

 マヤの主役大抜擢を、劇団員みんなで温かく祝福。トントン拍子でとても安心して読める。
 それに比べて 『巨人の星('66~71)』 などは、「栄光の絶頂が転落への第一歩」話法が強烈すぎて、物語としてとても不安定(飛雄馬の魔球が完成した時点で、花形満はその弱点を見抜いている!)。'70年代、上り坂の女社会と 下り坂の男社会の差とも取れるかも??



 ≪今週の真澄さま≫
 自身の少年時代を簡単に回顧。 第34巻 で詳細に語られる、冷徹な帝王学を叩きこまれた養子であることがほのめかされている。


 
23:37  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.03.16 (Sat)

ガラスの仮面第2巻≪劇団つきかげ≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第2巻 「炎の階段」

マヤ(白目)
(工事中。扉イラスト大募集!)

 コミックス表紙はマヤと亜弓。巻頭のあらすじにも「対照的な二人だが深い因縁で生きる運命」 とあり、すでに宿命のライバルとして位置づけられている。作者によれば、連載開始時には最終回のプロットもすべて出来上がっていたらしい (「…だったら早よ描け」 とは、ファンの誰もが思ったことだろう)。


 【初対決!マヤvs.亜弓】

 ≪劇団つきがけ≫での稽古がスタート。マヤ、初心者向けのCクラスで四苦八苦しながらも、ふと見せる「本能的な演技のカン」で周囲を驚かせる。(釘を踏んだ演技、笑う演技・・・)
 うわさを聞いてやってきた姫川亜弓、「はい、いいえ、ありがとう、すみません」 だけの演技練習に横やり。無理難題を吹っかけてマヤを追い詰めるが、マヤの機転で返り討ちにあう。


 マヤと亜弓、初の直接対決! 亜弓の目つきや言い草が意地悪っぽいので、当時の読者から悪役と思われても仕方ないか。
 メガネにパーマ頭、狂言回し役の研究生「やよい」は、作者のマネージャーやよいさんがモデルか (第24巻末の取材ルポに登場)。

 ほか、月影がマヤ母からの手紙を焼き捨てる。――このあたり、月影は「母」というより「父」に近い。まさに女・星一徹! 徹底した「甘えの退路」や「暗い過去」との決別、スターになるのも大変だなあ…。
 校内暴力に家庭内暴力と、ちょうど親子間の世代ギャップが頂点に達したこの「断絶の時代」、後にマヤ母がたどる哀れな末路には、子供の才能に無理解な旧世代への怒りが込められているのかもしれない (作者も子供のころ、大好きな手塚マンガを禁止されたらしい)。



 【桜小路くん、いい人だな…】

 公園の売店でアルバイトを始めたマヤの前に、桜小路優が再登場! (マヤ 「桜小路くん、やさしくていい人だな…」、桜小路 「すなおで…なんだか…好きになりそうだな…」
 亜弓母子共演の舞台 『白ばら夫人』 (作者オリジナル)で初デート。(「こら!ひとさじよこせ」

 桜小路家にてピアノのレッスン (「こらこら…ぼくはきびしいんだぞ」「なんか親鳥の気分だな」)。
 こうして急接近するふたりだが、桜小路の母と妹からは疎まれる。


 骨太ドラマの合間合間に、一服の清涼剤のように現れる桜小路くん! この頃は本当に「親切で」「やさしくてさわやかであかるくて」 かっこいい。
 思わず背中がかゆくなる迷ゼリフ集の中でも、「こら!ひとさじよこせ」 は最高にウケた。



 【ベス役をかけて】

 ≪劇団つきかげ≫旗揚げ公演の演目は 『若草物語 (オールコット作)』。マヤ、三女ベス役に大抜擢。適役をうばわれた水無月さやか、ベス役の適性テストを持ちかけて逆転勝利をもくろむ。
 家に閉じこもり、作中のベスと同じ生活を送るマヤ。適役テストはベスの魂が乗り移ったマヤに軍配。


 ベス役をマヤに奪われたさやかだが、「ああ、嫉妬はよそう」 と出来た性格。
 普通のマンガならライバルの卑劣な妨害で話を盛り上げるところだが、亜弓にしろさやかにしろ、憎たらしい悪役にしていない。どちらもマヤの才能を認めたうえで、正々堂々と挑戦している (連載当時の読者には亜弓が悪役に映ったようだが)。 悪質なヤジやいやがらせは、ほとんどがその場限りの「その他大勢」によるものばかり。
 これは「登場人物を不幸にしたくない」という作者の人柄だろうし、少年マンガと違って「女の悪役」は陰湿になりがちなのに配慮してのことか。

 当時の若い読者は本作を「不幸の連続」と感じたようだが、今読めば作者の絶妙な手綱さばきが分かる。つまり 「障害」はあっても「挫折」はない。主人公が明るく安定して成長する骨太感は、長期連載の秘訣と言えるかも。この傾向はマヤが芸能界入りする10数巻(連載3年)あたりまで続く。


 死の淵にあるベスの演技ができず、月影から「できそこないのベス」 と罵られるマヤ。夜通し雨に打たれてまでベスの心をつかもうとする。
 そして演劇界注目の開演の日。マヤは高熱を押して舞台に立つのだが…。


 病人を演じるため本当に病気になる…というのはムチャクチャな話だが、「熱血スポ根マンガ」だからそれもありなのだ!
 次巻もスゴイぞ!
 
 
16:40  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑