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【『ガラスの仮面』全巻】 2019.09.08 (Sun)

ガラスの仮面第11巻≪亜弓版 『奇跡の人』≫

美内すずえ 『ガラスの仮面』 第11巻 ≪炎のエチュード(2)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【マヤと亜弓のWキャスト!】

 『奇跡の人』 ヘレン・ケラー役の最終テスト。耳の聞こえないヘレンになりきって、突然の非常ベルにも動じないマヤと亜弓に軍配。サリバン役・姫川歌子の決断で、マヤと亜弓のWキャストに決定。


 「自分を忘れて別人物になりきる」マヤと、「理性的に演技を貫く」亜弓の資質の違いが初めて語られる。マヤを前にして 「どうしようもない不安感」 に駆られる亜弓。彼女が人間的な弱さを見せるのはほぼ初めてで、マヤに並ぶ「ガラかめW主役」として深い人間性を帯びていくのと同時に、後の重要なテーマ 「天才型のマヤ」「努力型の亜弓」 の対比につながっていく。
 一方、逆転で敗れてそれっきりの金谷英美。 「このまま捨てるにはおしい素材だ」 ←作者にそっくり言い返したい。
 (文庫版第6巻おわり)



 【稽古~それぞれの「奇跡の瞬間」】

 稽古場。母娘の情を捨てて迫真の演技をぶつけあう姫川歌子と亜弓。一方、マヤの演技は荒削りで型破りながら、歌子をして 「この子の演技にひきずられる」 と怖れさせる。

 物語のハイライト 「Water!」 の演技を研究するふたり。亜弓は洗濯機での感電で、マヤは顔にぶつかった水ヨーヨーの破裂で、ヘレン・ケラー 「奇跡の瞬間」の表現を獲得する。


  大福もち!


 ≪今週の真澄さま≫
 記者会見の場で敵意をあらわにするマヤに、芸能界の礼儀をきびしく教え諭す。

 ≪今週の桜小路くん≫
 久々登場。マヤとの再会でどぎまぎするふたり。絵には作者の愛情がこめられているようだ(竹宮惠子っぽい)。この頃になると絵に力を入れる場面と力を抜く場面を、のらりくらりと描き分けている。





 【亜弓版 『奇跡の人』】

 いよいよ 『奇跡の人』(ウィリアム・ギブスン原作) 開演。まずは亜弓版。

 あらすじ・・・目、耳、声に障がいを持つ「三重苦」の少女ヘレン・ケラー。その家庭教師としてアニー・サリバンが赴任する。サリバンは指文字や学問を教えるかたわら、野放図に育ったヘレンに厳しいしつけをほどこす。長く苦しい格闘の末、ヘレンは手に「水」がふれた瞬間、「water」 の言葉を発するのだった。


 鼻血のアクシデントも美しく見せる亜弓の舞台センス! これぞ正統派ヘレン・ケラー! 単純に 『奇跡の人』 マンガとして大いに感動した。連載も3年目に入り、マンガ演出の脂がのりにのっている。すべての劇中劇の中でも1、2の「My 亜弓ベスト」。

 なお、本作や映画などで語られているヘレンとサリバンの壮絶な格闘劇は、ほとんど大げさに脚色したものらしい。また本来 「奇跡の人 (The Miracle Worker)」 とは、奇跡を働きかけたサリバンのほうを指すのだそうだ。

 …次12巻はマヤ版 『奇跡の人』 開演。そしてもうひとつの対決?「たい焼き大食い決定戦」を!

 
22:19  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.08.20 (Tue)

ガラスの仮面第10巻≪『奇跡の人』オーディション≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第10巻 ≪炎のエチュード(1)≫
 コミックス表紙はマヤと亜弓。髪をかきあげるマヤが悩ましい~。(どうかしてるぞ、おれともあろ…)

ガラスの仮面10巻

 【別荘での特訓】

 来たるオーディションに向け、『奇跡の人』 ヘレン・ケラーの役作りにはげむ候補者たち。亜弓は養護施設に入り、金谷英美は特別チームを組んで綿密な研究を…。そしてマヤは「紫のバラのひと」の計らいで長野の別荘を貸しきることに。管理人夫婦も驚く壮絶な特訓風景。
 目隠しの生活を続けるマヤの前に、真澄が現れる。あこがれの「紫のバラのひと」に思いの丈をぶつけるマヤと、そっと抱きしめ無言で立ち去る真澄。このときマヤへの恋が芽生え始める。 (「どうかしてるぞ速水真澄。相手は10いくつも年下の少女だぞ。おれともあろう者が…!」


 マヤはもちろん亜弓まで、これまでの「熱血スポ根」描写の集大成のような猛特訓シーンの連続。後にインフレ化していく猛特訓描写は、このあたりが実質的なピークか。
 しかしそこは少女マンガ。マヤ、ついに「紫のバラのひと」と対面! 前巻の「真澄の車中に紫バラ事件」から小出し小出しにされて、女の子読者はもうたまらんだろう。そして、マヤに恋した真澄の定番ゼリフ 「おれともあろうものが!」 初登場! もうたまらん。(なお、「どうかしてるぞ」 「~ともあろうものが」 などのセリフは、真島良や夏江梨子ら『嵐が丘』組にその原型あり。)

 …ストーリーの面白さは加速する反面、絵が不安定に。パーティの女性などは顔と体のバランスが合っていない。一部の巨匠漫画家は顔や瞳だけしか描かないという話だが、本作ではどうか (ハードな雑誌連載、それならそれでもいい。悪いわけではない)



 【オーディション本番】

 オーディション本番。 選ぶ側と選ばれる側、母娘の情を捨てて冷たくすれ違う姫川歌子と亜弓。(記者「芸の上では他人だというのか…」 「なんて母子だ…」

 まずは「ヘレンとしておもちゃで遊ぶ演技」の試験。
金谷・・・「全部のおもちゃをつかって遊ぼうというのか」「退屈させない」「舞台ばえするダイナミックな演技」
亜弓・・・ひたすら爪をはじくだけ。飛んできたボールをまともに顔に受ける。
マヤ・・・いきなり寝る。手に触れた台本を破る。本物のヘレンならおもちゃを知らないはず――
     ――「姫川亜弓といいこの少女といい、たしかに非凡だ…」

 「ヘレンとしての食事」
金谷・・・熱いラーメンも手づかみで。
マヤ・・・においをかいで犬食い。
亜弓・・・カレーライスを吐き出す (「からいと思わなかった」)。

 「母を捜すヘレン」
金谷・・・全身を使ったダイナミックな演技。
亜弓・・・逆さに抱いた人形を用いての巧みな心理表現。 
マヤ・・・(次11巻)実母の面影を重ね合わせた、思わず目を引く表情。


 …ここまで亜弓と金谷が断然リード。自分が作者だったら主人公マヤに勝たせるのか、それともライバル亜弓に勝たせるのか、わくわくしながら次巻に思いをはせた。
 マヤの逆転勝利は、果たして…!?

 
21:04  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.08.01 (Thu)

ガラスの仮面第9巻≪人形の涙~マヤと亜弓共演≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第9巻 「舞台あらし(3)」
 「舞台あらし」克服を経て 『奇跡の人』 編へと、橋渡しになる話題が盛りだくさん。
 マヤ、そろそろ一目置かれる存在に。

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【人形の涙】

 「つきかげ ぷらす 一角獣」 公演 『石の微笑』 (作者オリジナル)は、向かいの大劇場の客を奪うほどの大盛況。マヤは過酷な人形役を演じ続けている。
 マヤ、「ヒースクリフ」 真島良を振った罪悪感と、自分から離れていく桜小路さびしさ。さらに母の病と行方不明を知り、動揺のあまり舞台上で涙を見せてしまう (月影「仮面がはずれた…人形の仮面が…!」 青木麗 「(自分を押し殺さなければならない。) ガラスの仮面だな…」)。


 マヤ、初めて舞台上で失敗。月影からは(愛のムチで)謹慎処分を下されて後の破門の遠因となるが、観客からは「目が疲れたんじゃない?」で済んだこともあり、致命傷というほどでもない。むしろ母を想う心がいたましい。

 作中で「ガラスの仮面」という言葉が使われるのは、意外にもこの青木麗の言葉だけ。



 【マヤと亜弓の初共演!】

 行方不明の母を捜して街をさまようマヤ。劇場前で偶然真澄の目に留まり、亜弓も出演する舞台 『夢宴桜』(作者オリジナル) 中の代役に急きょ起用される。不義の子「千絵」役。
 たった45分間でセリフを覚え、役になりきるマヤ (真澄 「並の子じゃありませんよ…」 亜弓 「ばかね あの子がふつうの少女だと思ってるの?」)。しかしその才能に嫉妬した共演者のいやがらせで、間違った台本を渡されていた!

 マヤと亜弓が初共演。セリフも展開も分からない舞台上のマヤを亜弓が好リード。みごと手探りのアドリブでやりとげる。お互いの才能を恐れあうふたり。
 亜弓 「互角だったわ…内容をしっているということで、わたしはただ有利だったにすぎない…!」 マヤ 「あの人には勝てない…!」


 マヤと亜弓が初共演! 「舞台あらし」克服のための「相手に合わせる演技」が、図らずも亜弓を相手にして一応の成果を挙げる。
 ピンチのマヤを助けるため舞台に上がる亜弓がかっこいい! 互いの心理を読み合い勝ち負けを争う「対決」ものは山とあるが、同じ舞台・同じ理想のために技量と感情をぶつけ合うスリルは 『ガラかめ』 ならではの面白さ。あらためて「演劇マンガ」というジャンルの奥深さを思った。

 マヤ、この頃になると「舞台あらし」という異名と併せてそこそこ名の通った存在に。そして相変わらず次の芝居に入ると、それまでの苦悩をコロッと忘れる都合のいい性格(…しかしうらやましく思うのはなぜだ? 10いくつも年下の少女に、このおれとしたことが…!)
 亜弓、明治時代の令嬢役に合わせてロングのストレートヘア。以後「お姫さま縦ロール」が次第にゆるやかになり、少しずつ大人びていく (当時15歳)。



 【高校進学~真澄の車中に「紫のバラ」事件】

 マヤ、「紫のバラのひと」の支援で芸能活動が盛んな 「一ツ星学園」 に入学。初めは目立たないながら、「北島マヤ」の名が挙がると周囲がざわめく。
 演劇部の実力派・金谷英美登場。綿密な研究と迫力ある演技でヘレン役候補に。(「わしゃ鬼婆になったんじゃあ!」

 今週の「紫のバラのひと」・・・
 『夢宴桜』 代役出演のあと、マヤに高校進学の用具一式を贈る (手紙 「あれは代役なのですか? にしてはとても千絵役をつかんでいたと思います」)。
 一ツ星学園を訪問した真澄、教室のマヤに「紫のバラ」を贈る。送り主を追いかけるマヤ、真澄の車中に「紫のバラ」を発見! 真澄、「同乗した女優の花束」とごまかす。


 …そして、水城秘書が 「真澄=紫のバラのひと」 に気付いている! (「また紫のバラでも贈ってはげまされたらどうですか?」
 マヤはまだ気付かんか!? (ついに正体がバレるのかとめちゃくちゃ興奮したけど、まさかこのあと40巻以上も引っ張るとは思わなかった。)



 【『奇跡の人』 始動】

 大都劇場のこけら落とし公演 『奇跡の人』 始動。サリバン先生役は亜弓の母・姫川歌子に、ヘレン・ケラー役はオーディションで選ぶことに。
 月影、あえてマヤに破門を宣告してヘレン役を勝ち取るよう仕向ける。一方の亜弓は、母歌子の七光りを嫌って家を出る。かくしてヘレン役をかけ、少女たちの熾烈なオーディションが始まる…!


 本巻の最終話では、マヤの回想という形で第1話からの経緯がごく簡単に説明される (父は故人と明言)。次の 『奇跡の人』 編に向けての総決算といえよう。

 
23:10  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(1)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.07.13 (Sat)

ガラスの仮面第8巻≪『嵐が丘』『石の微笑』≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第8巻 「舞台あらし(2)」

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【『嵐が丘』 公演】

 『嵐が丘』公演。マヤの「キャサリン」と真島良の「ヒースクリフ」は、迫真の愛の演技で観客を魅了する。いたたまれず席を立つ桜小路 (真澄「最後までみてやれ。あの子が好きなんだろう?」)。
 公演は成功を収めるが、一部は「舞台あらし」マヤの未熟さに気付きはじめる。


 本来の主演・夏江梨子と加川英明ではなく、その子供時代を演じたマヤと真島ばかりが目立つ舞台・・・。これまでマヤ個人の演技だけに焦点を当ててきたが、芝居は共演者との呼吸やバランスが大事であることに触れはじめる (全体の演出に関してはさらに後)。そのまま人間の成長をなぞっているような、作者の巧みな計算がのぞく。
 壮年期と少年期が交錯する 『嵐が丘』 という作品のチョイスもぴったり! 役者たちが置かれた立場の解説は的確で分かりやすいし、何より劇中劇 『嵐が丘』 のマンガ演出が熱くノッていて目が離せなかった。

 役を引きずりマヤに恋してしまう真島に対し、鏡に向かって 「こんにちわ、あたし」 と冷静に我に帰るマヤの笑顔がちょっと憎たらしい(『キャンディ・キャンディ』っぽい)
 愛していても席を立つ桜小路に対し、愛しているからこそ「最後までみていく」 真澄。決定的な「深み」の差を見せつけたなあ! このあと、マヤとの恋を繰り広げる新しい美少年キャラが続々登場することもあって、立場がかぶる桜小路はお話から退いていく。



 【衝撃の「竹ギプス」!】

 新生「劇団つきかげ」の新しい演目は 『石の微笑』(作者オリジナル)。 「劇団一角獣」のメンバーも合流。
 マヤ、自分を殺して相手に合わせる演技を身につけるため、動きも感情もない人形の役を命じられる。竹棒で体じゅうを縛りつけられるマヤ!
 開演した『石の微笑』は大盛況。粗末だが熱気あふれる地下劇場の客席には亜弓の姿も…。


 衝撃の「大女優養成・竹ギプス」シーン! 連載時はカラー原稿の見開き絵。「熱血スポ根」的演出とはいえ、ちょっと怖い…。15の乙女の服を剥ぎとる真澄もヒドイ!? (「いやがってる場合じゃないだろ!」「いやあ!」
 あと、禅寺で修行も。もったいぶって現れたがこれっきりの、マンガチックな和尚は何だったのか (真澄の「爺や」とか??←違った)。

 よき仲間となる 「劇団一角獣」 が再登場。今の「つきかげ」(および『ガラかめ』)にいない男性の脇役端役セミレギュラーを補充。「二の宮恵子」 「田部はじめ」 などの名前は実在の漫画家や演劇人からの連想か。



今週の月影先生・・・いったん危篤に陥るも、マヤの『紅天女』への情熱が伝わって奇跡的に回復。
            もうひとりの『紅天女』候補がいることを告げる。
            また自身の生い立ちを、「尾崎一連」や「速水英介」の名前とともに簡単に回想。
今週の桜小路くん・・・自分より演劇にのめりこんでいくマヤから距離を置きはじめる。
今週のマヤ母・・・結核を患って地方へ転地。亜弓(4巻)、月影(6巻)、桜小路(7巻)につづく
            「白目」。雑誌の記事で偶然マヤの活躍を知る。
今週の“紫のバラの人”・・・中学を卒業したマヤのために、演劇活動が盛んな「一ツ星学園」への
                 進学を手配。その直前、真澄その人は大都芸能入り&生活援助の
                 申し出をフラれている。(「死んでもいや…か」


 この頃より真澄や桜小路の絵から生気がなくなり、線で描いただけの記号的な二枚目顔になっていく。作者は絵より物語志向なのだろう。ハードな雑誌連載に完璧を求めるのは酷なので、それはそれでいいと思う。むしろそういう志向の多様性にこそ、日本のマンガの面白さがある (事実、時間をかけて描き直したものが面白いとは限らないのは、皆さんもよくご存知のはず)

 なお、亜弓の絵にはまだ力がこめられており、つきかげの劇場に現れた亜弓の顔は、以後しばらくコミックス巻頭の人物紹介に用いられている (第6巻『王子とこじき』でバッサリ切った髪は、カールできる程度に伸びている)。

 
18:17  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.06.19 (Wed)

≪ガラスの仮面レビュー≫もくじ

  美内すずえ 『ガラスの仮面』 コミックス版レビュー
 (※リンク先はヤフーブログへ。ただし2019年いっぱいでサービス終了するため、順次このFC2ブログに再投稿していきます。その間、両ブログ間での記事公開に混乱や不具合があります。)

  ごあいさつ
  ガラスの仮面500巻≪四月の馬鹿~エイプリル・フール~≫レビュー
  『ガラスの仮面』幻の名場面を発掘~エイプリル・フール番外編


  第1巻 ≪千の仮面を持つ少女≫
  第2巻 ≪劇団つきかげ≫
  第3巻 ≪紫のバラのひと≫
  第4巻 ≪『たけくらべ』競演≫
  第5巻 ≪伝説のひとり芝居『ジーナ』≫

  第6巻 ≪プロの世界へ≫
  第7巻 ≪舞台あらし≫
  第8巻 ≪『嵐が丘』『石の微笑』≫
  第9巻 ≪人形の涙~マヤと亜弓初共演≫

  第10巻 ≪『奇跡の人』オーディション≫
  第11巻 ≪亜弓版 『奇跡の人』≫
  第12巻 ≪マヤ版 『奇跡の人』≫

  第13巻 ≪華やかな芸能界へ≫
  第14巻 ≪「鬼千匹」の芸能界≫
  第15巻 ≪母の死≫
  第16巻 ≪北島マヤ芸能界失脚≫
  第17巻 ≪復活の泥まんじゅう≫

  第18巻 ≪『女海賊ビアンカ』≫
  第19巻 ≪『通り雨』≫
  第20巻 ≪聖唐人登場~姫川亜弓物語≫
  第21巻 ≪『真夏の夜の夢』1≫
  第22巻 ≪『真夏の夜の夢』2≫

  第23巻 ≪伝説のオーディション 『毒』≫
  第24巻 ≪アルディスとオリゲルドの仮面≫
  第25巻 ≪『ふたりの王女』開演!≫
  第26巻 ≪『ふたりの王女』1≫
  第27巻 ≪『ふたりの王女』2≫

  第28巻 ≪「狼少女ジェーン」≫
  第29巻 ≪マヤと真澄と桜小路≫
  第30巻 ≪鷹宮紫織登場≫
  第31巻 ≪マヤの山ごもり≫
  第32巻 ≪『忘れられた荒野』 嵐の初日≫
  第33巻 ≪最優秀賞と「紫のバラ」の正体≫

  第34巻≪速水真澄物語≫
  第35巻≪「紅天女」のふるさとへ≫
  第36巻≪4つのエチュード≫
  第37巻≪マヤと真澄の一夜≫
  第38巻≪月影千草物語≫
  第39巻≪亜弓の挫折~吊り橋事件≫
  第40巻 ≪まるまる『紅天女』≫
  第41巻 ≪マヤと亜弓のケンカ≫

  第42巻 ≪携帯電話≫
  第43巻≪「いつまでも待たせないで!」≫
  第44巻≪≫~~ひとまずレビューおしまい。
  ・・・


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(旧Yahoo!投稿2014.4.2~)
23:02  |  『ガラスの仮面』全巻  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.06.18 (Tue)

ガラスの仮面第7巻≪舞台あらし≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第7巻 「舞台あらし(1)」
 ・・・引き続きマヤの栄進座出演(『おんな河』たず役)と、亜弓の『王様とこじき』公演。マヤは天性の無邪気さで年配客を、亜弓はアドリブを交えた多彩な演技で子供たちの心をそれぞれ虜にしていく(第6巻)。
ガラスの仮面~マヤ(白目・光)
「元の絵はこの記事…!」

 【栄進座出演】

 マヤ、背負った赤子人形の首がもげるというライバルのいやがらせも、何食わぬ笑顔でみごとに切り抜けてみせる。あたたかい喝采に包まれる劇場。しかし座長・原田菊子の厳しい目は、マヤが主役の演技を食ってしまう 「舞台あらし」 であることを見抜くのだった。(原田「あの子…こわい子ね…」 月影「まあね…」
 以後、栄進座から音沙汰はなく、アルバイトで赴いた大学の演劇サークルからも才能を妬まれてお払い箱になってしまう(園児を相手に即興ひとり芝居の『白雪姫』)。


 共演者を食ってしまう「舞台荒らし」…。マヤの才能が向かうところ敵なしだからこそ、重大な欠陥となることが明らかに。その理詰めの展開にやられた。巧い、巧すぎる!



 【『嵐が丘』 公演】

 マヤ、夏江梨子主演の舞台 『嵐が丘(E・ブロンテ作)』 の審査テストに参加。東洋劇場会長の肝いりで、本命候補の絵島由紀らを差し置いて主人公キャサリンの少女時代役に大抜擢される。
 はじめは地味で不器用ながら、またたく間に役柄をつかんだマヤ迫真の表現力に、共演の「ヒースクリフ」役の真島良は演技を越えて心を奪われていく。


 仕事をなくして失意のマヤ、いかにもマンガ的な楽観思考であっけなく立ち直り(「マスターのおじさん!カフェ・オーレおかわり!」)、再び快進撃。 芝居をすれば天才的、相手役に惚れられ、BFの桜小路にはやきもちを焼かれ…と公私に充実。 少女の夢を盛りこむ読者サービスに抜かりはない。
 そんなマヤの性格を「単細胞」「お調子者」と笑う意見もあるが、だからこそ読者は楽しく安心して読み続けていられる。バブル崩壊後の作品だとだんだん先鋭化して、ここまで広く大衆の支持は得られないだろう。

 (追記…まさかその『ガラかめ』自身が、バブル崩壊後の内向的なヘリクツ物語になるとは・・・!)


今週の月影先生…病院のテレビで亜弓の演技に食い入る。もしかして亜弓も 「紅天女」 後継者
            に・・・?
今週の桜小路くん…劇中の「ヒースクリフ」にやきもち。亜弓~月影に次ぐ通算3度目くらいの
             「白目」(今はまだ1巻に1白目くらいのペース)
今週のマヤ母…久々登場するも、血を吐く。
今週の“紫のバラのひと”・・・月影の病室に毎日のように紫のバラを贈っている、と青木麗の談。


 
23:54  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.05.30 (Thu)

ガラスの仮面第6巻≪プロの世界へ≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第6巻 「あした草 (2)」
 劇団を失った月影の負担を減らそうと、独力でさまざまな演劇のオーディションに挑戦するマヤ。一方、すでに『紅天女』の主演を目標に定め、演技の幅を広げようと試みる亜弓。ふたりはそれぞれ広いプロの世界へと巣立っていく…。

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)
「あたらしいTOP絵…こわい絵!」

 【映画初出演】

 マヤの映画初出演は、アイドル田淵エミ主演の 『白い青春譜』。足が不自由な「ただの通行人」役を死にもの狂いで演じるマヤの熱意に、周囲は圧倒される。
 「思い出したわ…あの子よ」 「姫川亜弓と互角にたたかい…一人舞台で一般投票第1位という経歴の持ち主だ」 「甘かった…はずかしいわ」 「アップ…こんなに大きく…名前もないチョイ役なのに」


 端役もいとわず 「あしたへの第一歩、あしたへのレッスン」 と演技に打ち込むマヤの情熱と根性。ひと昔前の定番メッセージではあるが、今の時代だからこそかえって心を打たれた。
 ここまで 「他にとりえがない平凡な子」 ぶりが強調されているが、マヤの演技力は向かうところ敵なし。失格処分、劇団崩壊、ライバルのいやがらせなどの試練に見舞われても、人生やアイデンティティ(つまり演技)の危機にまでは踏み込んでおらず、若年層向けのヒロイン成長記として安心して読める (当時の読者はハラハラだったでしょうが…)。文句なしに面白い。


今週の月影先生・・・『紅天女』権の譲渡を迫る真澄に激昂して昏倒。
             (途中、第4巻の亜弓(劇中劇『灰の城』)以来2つめの「白目」。)
今週の「紫のバラのひと」・・・倒れた月影の入院費負担。


 マヤたち、先に『ジーナ…』を妨害した元劇団員からオンディーヌの陰謀を聞かされ、真澄への怒りを新たに…。その直後の「紫のバラ」。 読者が真澄をひどい人間だと思わないのも、こういうマメさがあってこそ。ほんとうの「紫のバラ」の贈り先は、作中のヒロインではなく読者その人たちなのだろう。



 【商業演劇の世界へ】

 前後して、中学の演劇部 『古城の愛』 での女王役(…地味な端役が続くので読者サービスか…)を経てプロの商業演劇の世界へ。原田菊子ひきいる栄進座 『おんな河』 の子守「たず」役。
 原田の言葉を借りて、マヤが『紅天女』候補であることが明示される。

 一方、スター街道まっしぐらの亜弓は 『王様とこじき (マーク・トウェイン作)』の舞台に主演。体を張った「道化役」や「汚れ役」で新境地を開拓。役作りのために、実際に街頭で物乞いをするほどの凄まじさ。


 亜弓の貴重なショートヘア姿。 マヤに負けじと亜弓の役作りも壮絶を極めていく (「いいえ 負けたくない マヤ…あの子にだけは…!」)。この頃はまだ「あたしには天性の才能がある」 と 「亜弓=天才型、マヤ=努力型」 の図式で語られており、亜弓も(作者も)また、試行錯誤の只中にいるのが分かる。
 …しかし美人は何やっても絵になるなあ。(ブラックデビル!)

 
22:55  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑