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【『ガラスの仮面』全巻】 2019.11.06 (Wed)

ガラスの仮面第14巻≪「鬼千匹」の芸能界≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第14巻 ≪華やかな迷路(2)≫
 本巻から1980年代へ(コミックス発売日)。

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【スターへの階段】

 共演の里美茂に恋をしたマヤと、恋をしたことがないと見抜かれた亜弓…。
 亜弓は 「間 進(はざますすむ)」 という無名役者に接近して恋の表現を盗んでいくが、マヤはまるっきり演技ができなくなってしまう。


 もてあそばれた間進くんの立場、他人事には思えません。あぁ罪な亜弓さま…。(次15巻ではベテラン俳優・田口剣に接近。あぁ亜弓さま…。)
 ちなみに 「間進」 という名前は、当時絶頂を極めた吉本新喜劇の二枚看板 「間寛平」 と 「木村進」 からきてるんだろう。美内先生は大阪の人だから。


 大都芸能社による怒涛のマヤ売り出し計画。水城がマヤの正マネージャーに (「あなたはスターになるのよ!」)。マヤと里美の恋を知った真澄の 「白目」。
 真澄、北島母娘の 「感動の再会」 を演出するため、地方で療養中のマヤ母を軟禁状態に置く。
 こうしてマヤ、たちまちお茶の間の人気者になり、里美ともさらに親密に。天性の明るさと向上心で、恋わずらいもうまく乗り越えるのだが…。

 野暮ったい女優の卵・乙部のりえ登場。甲斐甲斐しくマヤの世話を焼いたり、意地悪なライバルにマヤのすごさを教えたりする。


 ぼくは2割くらい、「乙部のりえ」 の正体は亜弓だと思っていました。あとの4割は絶体絶命のマヤを救ってくれる正義の実力者か。…甘かった、はずかしいわ!



 【いじめの日々】
 以下、マヤを恨む人リスト。傍若無人な大都芸能のやり方だと、恨まれて当然? それでも元気と笑顔を貫こうとするマヤがけなげでけなげで…。話はハードだが、マヤの不屈の明るさでかなり救われた。

 ≪里美茂親衛隊
 里美と交際するマヤへの嫉妬。
 (次15巻) マヤに集団で暴行を加えるが・・・
 ・・・真澄に撃退される。(やっつける真澄のポーズがカッコよすぎて笑える。)

 ≪吉川みどり (下積み女優)≫
 マヤ売り出しのあおりを受け、大河ドラマ 『天の輝き』 の出番を削られる。
 マヤの衣装のエリにカミソリを入れるが・・・
 ・・・マヤの気高い演技力と、素の無邪気な笑顔に感服 (「不思議な子…負けたわ…」)。

 ≪巴万里 (アイドル歌手) とそのファンクラブ≫
 映画 『白いジャングル』 の初主役をマヤに奪われる。
 ファンが大都芸能の車を破壊し、マヤに抗議文。お手玉の糸を抜く。(バケツは違う)
 ・・・万里、マヤの素直さ (「あたし、お芝居が好き…」) と、お手玉が破れてもミカンでやり抜く舞台度胸に感服 (「あの子なら許せる」)。万里に叱られてファンクラブも謝罪。

 ≪山崎竜子 (大女優)≫
 長年つとめた 「日向電機」 のCMをマヤに奪われる。
 (次15巻) マヤの演技を酷評しようとするが・・・
 ・・・真澄から別の大きなCM出演に誘われてコロッと機嫌を直す。


 しかしまだまだ、「マヤのポスターを破損」 「パイにガラス片(文庫版8巻ラスト)」 「船のマストのネジが抜かれ、あわや転落」 「人力車の踏み板が外れる」 「くしに接着剤」 「タオルにコショウ」 「バケツが落ちて水びたし」・・・
 ・・・「いったい誰のしわざなの…?」

 
22:54  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.10.17 (Thu)

ガラスの仮面第13巻≪華やかな芸能界へ≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第13巻 ≪華やかな迷路(1)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【アカデミー芸術祭、受賞!】

 アカデミー芸術祭・助演女優賞は… 『奇跡の人』 ヘレン・ケラー役の北島マヤに!
 月影、マヤと亜弓のふたりを幻の名作劇 『紅天女』 の主演候補として公式に発表。


 マヤの受賞でひとつのクライマックスを迎え、つづいて本作最大のキーワード 『紅天女』 が胎動のきざし。マヤも物語も…そして亜弓も、次の大きな段階へ成長していくのだろう。



 【大河ドラマ出演】

 マヤ、月影の後押しで宿敵・速水真澄の 「大都芸能」 入り。テレビ大河ドラマ 『天の輝き』 (作者オリジナル)の令嬢 「田沼沙都子」 役に大抜擢される。勝手が違うテレビドラマ撮影に戸惑いながらも役を作り上げていく。
 共演の人気青春スター里美茂が登場! マヤ、気さくな里美に恋心を募らせる (里美 「半分かじりかけだけど、あの子のならいいや」)。それがもとで里美親衛隊に妬まれたり演技が出来なくなったりと、波乱の予感。


 急転直下の展開で読者をやきもきさせた≪華やかな迷路≫の章がスタート。
 恋におちたマヤ、ついに演技ができなくなる! …これまでどんなイジメや試練にも無邪気な本能で乗り越えてきたが、頼みのアイデンティティ(=演技)が揺らぐとは! いつかはその日が来ると分かっていながらショックだった。(娘の思春期…まさに思春期を迎えた父親の気持ち!?…バカな、おれともあろうものが!)
 次14巻からライバルたちのいやがらせが本格化するが、むしろこの「演技ができない」ほうにハラハラさせられた (さらに16巻からは、別の理由で演技ができなくなる!)。
 そして、マヤの高い演技力にも冷淡なテレビマンの一言 「まだ若いのに生意気だねえ」 もグサッときた。もはやマヤひとりを中心に動く物語世界ではないのだ。せめぎあう思春期と大人社会の活断層が、これでもかとばかり描かれていく。



 ≪今週の「紫のバラのひと」≫
 マヤと真澄、受賞パーティでダンス。もののはずみで抱きついた瞬間、長野の別荘での感触(10巻)がよみがえる。(マヤ「あの夏のときの…まさか…?」 真澄「ラブシーンはまだ早いよ、チビちゃん」
 水城秘書、独断で「紫のバラ」をマヤに贈る。口論の末、思わず水城に手をあげる真澄。(「あの子を愛してらっしゃるのね」 「愛しているだと…? 11も年下のあの小さな少女を…」


 ・・・水城秘書の独断のおかげで、「紫のバラのひと」 の正体を伏せたい真澄のアリバイが成立。



 【マヤと亜弓の「恋」】

 一方の亜弓もテレビドラマに進出(オリジナル作 『虹の記憶』 聖子役)。『紅天女』 両候補のTVドラマ競演が世間の話題に。しかし亜弓は、共演者から 「まだ恋をしたことがない」 ことを見抜かれてしまう。
 マヤ「恋してる…?」 亜弓「恋してない…!」


 亜弓、お姫様ロールから大人びたウェーブ・ヘアに。
 巻末、マヤと亜弓の「恋」を並行させ、マヤ「恋してる…?」 亜弓「恋してない…!」 でしめる演出が実にニクイ。完全無欠と思われた亜弓の意外な弱点、そしてふたりがいかに「恋」を芸の肥やしにしていくのか、とても印象的なラストだった。
 恋・・・その果てに紅天女の恋が待っている…! ホッホッホホホ…!(第15巻、月影先生ふう)

 
07:29  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(1)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.09.28 (Sat)

ガラスの仮面第12巻≪マヤ版 『奇跡の人』≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第12巻 ≪炎のエチュード(3)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【マヤ版『奇跡の人』】

 大喝采のうちに終わった亜弓版ヘレン・ケラーに続き、マヤ主演による 『奇跡の人』 開演。
 サリバン役の姫川歌子をも本気にさせるマヤ迫真の演技。予想もつかない舞台上での格闘劇に惹きつけられる観衆。公演は亜弓派とマヤ派に分かれるほどの大成功を収める。
 歌子、カーテンコールでマヤにキス。これに激しく嫉妬する娘の亜弓 (文庫版第7巻ラスト)。

 マヤと亜弓、そろってアカデミー芸術祭・助演女優賞候補にノミネート。そして授賞式の日…。


 正統派の亜弓版ヘレンに対して、マヤ版は 「けれん、ニッチ(すき間)」 な感があるが、'70年代小劇場ブーム(つかこうへい、野田秀樹、鴻上尚史…)の当時は、独創的で斬新なマヤ版のほうが受けたのかもしれない。本作の若い読者ならなおさらだろう。そのことは次13巻、芸術祭授賞式での亜弓がいみじくも言い当てている (「完璧なヘレン」「新鮮なヘレン」)。

 めずらしい亜弓のチャイナ服姿。御用達の紅茶 「クイーン・メリー」 初登場。(トワイニング社の紅茶葉缶ブランド 「クイーンマリー」 は、ティーバッグ紅茶がもっぱらだった戦後日本では庶民のあこがれだった缶入り茶葉の銘柄。当時の少女マンガではあちこちで「上流家庭の御用達」として用いられてイメージ付けられたそうだ。今はもう製造終了らしいが、コラボキャンペーンで復刻したら喜ばれそう。)



 【番外編・たい焼き対決!】
 (前11巻)亜弓版ヘレンに背を向け、ロビーで「たい焼き」をほおばるマヤ。セーターの羊マークは、雑誌掲載された昭和54年正月がひつじ年だから。たい焼きは速水真澄の生い立ち話(第34巻)にも出てくる。
 そしてマヤ版ヘレンの本巻では、亜弓がロビーでたい焼きを…。前11巻の稽古場での「大福もち」といい、亜弓ぽくないおやつのチョイスが逆にぐっとくる (後の『ふたりの王女』編での自炊サンドイッチはかえってガッカリした。片手鍋ラーメンをすするところを見てみたい…)。

 ふたりが持ち込んだ「たい焼き」は、どちらも大きな紙袋に山盛りの量。見た目で確認できる数はマヤ5個、亜弓7個(うちふたつは両手に!)。ひとつを真澄にふるまったマヤに対し(PM5:55)、亜弓は第2幕が始まってもまだ食べている(PM6:30)。「マヤ早食い説」も考えられるだろうが、公式記録としては亜弓の勝ち!



 ≪今週の「紫のバラのひと」≫
 『奇跡の人』開演前、ロビーに特大の「紫のバラ」の花輪。「あなたを見ています」
 終演後、客席から「紫のバラ」が投げこまれる。


 真澄、マヤをからかったり、芸能界の礼儀を厳しく教え諭した(前11巻)かと思えば、倒れてきたオブジェからマヤをかばったり、悪徳スカウトを追い払ったり、演劇に打ちこむマヤに 「うらやましい」 とつぶやいたり(前11巻)…。マヤ、そんな真澄の二面性にそろそろ戸惑い始める。

 
17:02  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.09.08 (Sun)

ガラスの仮面第11巻≪亜弓版 『奇跡の人』≫

美内すずえ 『ガラスの仮面』 第11巻 ≪炎のエチュード(2)≫

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【マヤと亜弓のWキャスト!】

 『奇跡の人』 ヘレン・ケラー役の最終テスト。耳の聞こえないヘレンになりきって、突然の非常ベルにも動じないマヤと亜弓に軍配。サリバン役・姫川歌子の決断で、マヤと亜弓のWキャストに決定。


 「自分を忘れて別人物になりきる」マヤと、「理性的に演技を貫く」亜弓の資質の違いが初めて語られる。マヤを前にして 「どうしようもない不安感」 に駆られる亜弓。彼女が人間的な弱さを見せるのはほぼ初めてで、マヤに並ぶ「ガラかめW主役」として深い人間性を帯びていくのと同時に、後の重要なテーマ 「天才型のマヤ」「努力型の亜弓」 の対比につながっていく。
 一方、逆転で敗れてそれっきりの金谷英美。 「このまま捨てるにはおしい素材だ」 ←作者にそっくり言い返したい。
 (文庫版第6巻おわり)



 【稽古~それぞれの「奇跡の瞬間」】

 稽古場。母娘の情を捨てて迫真の演技をぶつけあう姫川歌子と亜弓。一方、マヤの演技は荒削りで型破りながら、歌子をして 「この子の演技にひきずられる」 と怖れさせる。

 物語のハイライト 「Water!」 の演技を研究するふたり。亜弓は洗濯機での感電で、マヤは顔にぶつかった水ヨーヨーの破裂で、ヘレン・ケラー 「奇跡の瞬間」の表現を獲得する。


  大福もち!


 ≪今週の真澄さま≫
 記者会見の場で敵意をあらわにするマヤに、芸能界の礼儀をきびしく教え諭す。

 ≪今週の桜小路くん≫
 久々登場。マヤとの再会でどぎまぎするふたり。絵には作者の愛情がこめられているようだ(竹宮惠子っぽい)。この頃になると絵に力を入れる場面と力を抜く場面を、のらりくらりと描き分けている。





 【亜弓版 『奇跡の人』】

 いよいよ 『奇跡の人』(ウィリアム・ギブスン原作) 開演。まずは亜弓版。

 あらすじ・・・目、耳、声に障がいを持つ「三重苦」の少女ヘレン・ケラー。その家庭教師としてアニー・サリバンが赴任する。サリバンは指文字や学問を教えるかたわら、野放図に育ったヘレンに厳しいしつけをほどこす。長く苦しい格闘の末、ヘレンは手に「水」がふれた瞬間、「water」 の言葉を発するのだった。


 鼻血のアクシデントも美しく見せる亜弓の舞台センス! これぞ正統派ヘレン・ケラー! 単純に 『奇跡の人』 マンガとして大いに感動した。連載も3年目に入り、マンガ演出の脂がのりにのっている。すべての劇中劇の中でも1、2の「My 亜弓ベスト」。

 なお、本作や映画などで語られているヘレンとサリバンの壮絶な格闘劇は、ほとんど大げさに脚色したものらしい。また本来 「奇跡の人 (The Miracle Worker)」 とは、奇跡を働きかけたサリバンのほうを指すのだそうだ。

 …次12巻はマヤ版 『奇跡の人』 開演。そしてもうひとつの対決?「たい焼き大食い決定戦」を!

 
22:19  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.08.20 (Tue)

ガラスの仮面第10巻≪『奇跡の人』オーディション≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第10巻 ≪炎のエチュード(1)≫
 コミックス表紙はマヤと亜弓。髪をかきあげるマヤが悩ましい~。(どうかしてるぞ、おれともあろ…)

ガラスの仮面10巻

 【別荘での特訓】

 来たるオーディションに向け、『奇跡の人』 ヘレン・ケラーの役作りにはげむ候補者たち。亜弓は養護施設に入り、金谷英美は特別チームを組んで綿密な研究を…。そしてマヤは「紫のバラのひと」の計らいで長野の別荘を貸しきることに。管理人夫婦も驚く壮絶な特訓風景。
 目隠しの生活を続けるマヤの前に、真澄が現れる。あこがれの「紫のバラのひと」に思いの丈をぶつけるマヤと、そっと抱きしめ無言で立ち去る真澄。このときマヤへの恋が芽生え始める。 (「どうかしてるぞ速水真澄。相手は10いくつも年下の少女だぞ。おれともあろう者が…!」


 マヤはもちろん亜弓まで、これまでの「熱血スポ根」描写の集大成のような猛特訓シーンの連続。後にインフレ化していく猛特訓描写は、このあたりが実質的なピークか。
 しかしそこは少女マンガ。マヤ、ついに「紫のバラのひと」と対面! 前巻の「真澄の車中に紫バラ事件」から小出し小出しにされて、女の子読者はもうたまらんだろう。そして、マヤに恋した真澄の定番ゼリフ 「おれともあろうものが!」 初登場! もうたまらん。(なお、「どうかしてるぞ」 「~ともあろうものが」 などのセリフは、真島良や夏江梨子ら『嵐が丘』組にその原型あり。)

 …ストーリーの面白さは加速する反面、絵が不安定に。パーティの女性などは顔と体のバランスが合っていない。一部の巨匠漫画家は顔や瞳だけしか描かないという話だが、本作ではどうか (ハードな雑誌連載、それならそれでもいい。悪いわけではない)



 【オーディション本番】

 オーディション本番。 選ぶ側と選ばれる側、母娘の情を捨てて冷たくすれ違う姫川歌子と亜弓。(記者「芸の上では他人だというのか…」 「なんて母子だ…」

 まずは「ヘレンとしておもちゃで遊ぶ演技」の試験。
金谷・・・「全部のおもちゃをつかって遊ぼうというのか」「退屈させない」「舞台ばえするダイナミックな演技」
亜弓・・・ひたすら爪をはじくだけ。飛んできたボールをまともに顔に受ける。
マヤ・・・いきなり寝る。手に触れた台本を破る。本物のヘレンならおもちゃを知らないはず――
     ――「姫川亜弓といいこの少女といい、たしかに非凡だ…」

 「ヘレンとしての食事」
金谷・・・熱いラーメンも手づかみで。
マヤ・・・においをかいで犬食い。
亜弓・・・カレーライスを吐き出す (「からいと思わなかった」)。

 「母を捜すヘレン」
金谷・・・全身を使ったダイナミックな演技。
亜弓・・・逆さに抱いた人形を用いての巧みな心理表現。 
マヤ・・・(次11巻)実母の面影を重ね合わせた、思わず目を引く表情。


 …ここまで亜弓と金谷が断然リード。自分が作者だったら主人公マヤに勝たせるのか、それともライバル亜弓に勝たせるのか、わくわくしながら次巻に思いをはせた。
 マヤの逆転勝利は、果たして…!?

 
21:04  |  『ガラスの仮面』全巻  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【『ガラスの仮面』全巻】 2019.08.01 (Thu)

ガラスの仮面第9巻≪人形の涙~マヤと亜弓共演≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第9巻 「舞台あらし(3)」
 「舞台あらし」克服を経て 『奇跡の人』 編へと、橋渡しになる話題が盛りだくさん。
 マヤ、そろそろ一目置かれる存在に。

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【人形の涙】

 「つきかげ ぷらす 一角獣」 公演 『石の微笑』 (作者オリジナル)は、向かいの大劇場の客を奪うほどの大盛況。マヤは過酷な人形役を演じ続けている。
 マヤ、「ヒースクリフ」 真島良を振った罪悪感と、自分から離れていく桜小路さびしさ。さらに母の病と行方不明を知り、動揺のあまり舞台上で涙を見せてしまう (月影「仮面がはずれた…人形の仮面が…!」 青木麗 「(自分を押し殺さなければならない。) ガラスの仮面だな…」)。


 マヤ、初めて舞台上で失敗。月影からは(愛のムチで)謹慎処分を下されて後の破門の遠因となるが、観客からは「目が疲れたんじゃない?」で済んだこともあり、致命傷というほどでもない。むしろ母を想う心がいたましい。

 作中で「ガラスの仮面」という言葉が使われるのは、意外にもこの青木麗の言葉だけ。



 【マヤと亜弓の初共演!】

 行方不明の母を捜して街をさまようマヤ。劇場前で偶然真澄の目に留まり、亜弓も出演する舞台 『夢宴桜』(作者オリジナル) 中の代役に急きょ起用される。不義の子「千絵」役。
 たった45分間でセリフを覚え、役になりきるマヤ (真澄 「並の子じゃありませんよ…」 亜弓 「ばかね あの子がふつうの少女だと思ってるの?」)。しかしその才能に嫉妬した共演者のいやがらせで、間違った台本を渡されていた!

 マヤと亜弓が初共演。セリフも展開も分からない舞台上のマヤを亜弓が好リード。みごと手探りのアドリブでやりとげる。お互いの才能を恐れあうふたり。
 亜弓 「互角だったわ…内容をしっているということで、わたしはただ有利だったにすぎない…!」 マヤ 「あの人には勝てない…!」


 マヤと亜弓が初共演! 「舞台あらし」克服のための「相手に合わせる演技」が、図らずも亜弓を相手にして一応の成果を挙げる。
 ピンチのマヤを助けるため舞台に上がる亜弓がかっこいい! 互いの心理を読み合い勝ち負けを争う「対決」ものは山とあるが、同じ舞台・同じ理想のために技量と感情をぶつけ合うスリルは 『ガラかめ』 ならではの面白さ。あらためて「演劇マンガ」というジャンルの奥深さを思った。

 マヤ、この頃になると「舞台あらし」という異名と併せてそこそこ名の通った存在に。そして相変わらず次の芝居に入ると、それまでの苦悩をコロッと忘れる都合のいい性格(…しかしうらやましく思うのはなぜだ? 10いくつも年下の少女に、このおれとしたことが…!)
 亜弓、明治時代の令嬢役に合わせてロングのストレートヘア。以後「お姫さま縦ロール」が次第にゆるやかになり、少しずつ大人びていく (当時15歳)。



 【高校進学~真澄の車中に「紫のバラ」事件】

 マヤ、「紫のバラのひと」の支援で芸能活動が盛んな 「一ツ星学園」 に入学。初めは目立たないながら、「北島マヤ」の名が挙がると周囲がざわめく。
 演劇部の実力派・金谷英美登場。綿密な研究と迫力ある演技でヘレン役候補に。(「わしゃ鬼婆になったんじゃあ!」

 今週の「紫のバラのひと」・・・
 『夢宴桜』 代役出演のあと、マヤに高校進学の用具一式を贈る (手紙 「あれは代役なのですか? にしてはとても千絵役をつかんでいたと思います」)。
 一ツ星学園を訪問した真澄、教室のマヤに「紫のバラ」を贈る。送り主を追いかけるマヤ、真澄の車中に「紫のバラ」を発見! 真澄、「同乗した女優の花束」とごまかす。


 …そして、水城秘書が 「真澄=紫のバラのひと」 に気付いている! (「また紫のバラでも贈ってはげまされたらどうですか?」
 マヤはまだ気付かんか!? (ついに正体がバレるのかとめちゃくちゃ興奮したけど、まさかこのあと40巻以上も引っ張るとは思わなかった。)



 【『奇跡の人』 始動】

 大都劇場のこけら落とし公演 『奇跡の人』 始動。サリバン先生役は亜弓の母・姫川歌子に、ヘレン・ケラー役はオーディションで選ぶことに。
 月影、あえてマヤに破門を宣告してヘレン役を勝ち取るよう仕向ける。一方の亜弓は、母歌子の七光りを嫌って家を出る。かくしてヘレン役をかけ、少女たちの熾烈なオーディションが始まる…!


 本巻の最終話では、マヤの回想という形で第1話からの経緯がごく簡単に説明される (父は故人と明言)。次の 『奇跡の人』 編に向けての総決算といえよう。

 
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【『ガラスの仮面』全巻】 2019.07.13 (Sat)

ガラスの仮面第8巻≪『嵐が丘』『石の微笑』≫

 美内すずえ 『ガラスの仮面』 第8巻 「舞台あらし(2)」

ガラスの仮面~マヤ(白目・光)

 【『嵐が丘』 公演】

 『嵐が丘』公演。マヤの「キャサリン」と真島良の「ヒースクリフ」は、迫真の愛の演技で観客を魅了する。いたたまれず席を立つ桜小路 (真澄「最後までみてやれ。あの子が好きなんだろう?」)。
 公演は成功を収めるが、一部は「舞台あらし」マヤの未熟さに気付きはじめる。


 本来の主演・夏江梨子と加川英明ではなく、その子供時代を演じたマヤと真島ばかりが目立つ舞台・・・。これまでマヤ個人の演技だけに焦点を当ててきたが、芝居は共演者との呼吸やバランスが大事であることに触れはじめる (全体の演出に関してはさらに後)。そのまま人間の成長をなぞっているような、作者の巧みな計算がのぞく。
 壮年期と少年期が交錯する 『嵐が丘』 という作品のチョイスもぴったり! 役者たちが置かれた立場の解説は的確で分かりやすいし、何より劇中劇 『嵐が丘』 のマンガ演出が熱くノッていて目が離せなかった。

 役を引きずりマヤに恋してしまう真島に対し、鏡に向かって 「こんにちわ、あたし」 と冷静に我に帰るマヤの笑顔がちょっと憎たらしい(『キャンディ・キャンディ』っぽい)
 愛していても席を立つ桜小路に対し、愛しているからこそ「最後までみていく」 真澄。決定的な「深み」の差を見せつけたなあ! このあと、マヤとの恋を繰り広げる新しい美少年キャラが続々登場することもあって、立場がかぶる桜小路はお話から退いていく。



 【衝撃の「竹ギプス」!】

 新生「劇団つきかげ」の新しい演目は 『石の微笑』(作者オリジナル)。 「劇団一角獣」のメンバーも合流。
 マヤ、自分を殺して相手に合わせる演技を身につけるため、動きも感情もない人形の役を命じられる。竹棒で体じゅうを縛りつけられるマヤ!
 開演した『石の微笑』は大盛況。粗末だが熱気あふれる地下劇場の客席には亜弓の姿も…。


 衝撃の「大女優養成・竹ギプス」シーン! 連載時はカラー原稿の見開き絵。「熱血スポ根」的演出とはいえ、ちょっと怖い…。15の乙女の服を剥ぎとる真澄もヒドイ!? (「いやがってる場合じゃないだろ!」「いやあ!」
 あと、禅寺で修行も。もったいぶって現れたがこれっきりの、マンガチックな和尚は何だったのか (真澄の「爺や」とか??←違った)。

 よき仲間となる 「劇団一角獣」 が再登場。今の「つきかげ」(および『ガラかめ』)にいない男性の脇役端役セミレギュラーを補充。「二の宮恵子」 「田部はじめ」 などの名前は実在の漫画家や演劇人からの連想か。



今週の月影先生・・・いったん危篤に陥るも、マヤの『紅天女』への情熱が伝わって奇跡的に回復。
            もうひとりの『紅天女』候補がいることを告げる。
            また自身の生い立ちを、「尾崎一連」や「速水英介」の名前とともに簡単に回想。
今週の桜小路くん・・・自分より演劇にのめりこんでいくマヤから距離を置きはじめる。
今週のマヤ母・・・結核を患って地方へ転地。亜弓(4巻)、月影(6巻)、桜小路(7巻)につづく
            「白目」。雑誌の記事で偶然マヤの活躍を知る。
今週の“紫のバラの人”・・・中学を卒業したマヤのために、演劇活動が盛んな「一ツ星学園」への
                 進学を手配。その直前、真澄その人は大都芸能入り&生活援助の
                 申し出をフラれている。(「死んでもいや…か」


 この頃より真澄や桜小路の絵から生気がなくなり、線で描いただけの記号的な二枚目顔になっていく。作者は絵より物語志向なのだろう。ハードな雑誌連載に完璧を求めるのは酷なので、それはそれでいいと思う。むしろそういう志向の多様性にこそ、日本のマンガの面白さがある (事実、時間をかけて描き直したものが面白いとは限らないのは、皆さんもよくご存知のはず)

 なお、亜弓の絵にはまだ力がこめられており、つきかげの劇場に現れた亜弓の顔は、以後しばらくコミックス巻頭の人物紹介に用いられている (第6巻『王子とこじき』でバッサリ切った髪は、カールできる程度に伸びている)。

 
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