【どうわ】 2006.08.13 (Sun)
どうわ 『ひまわりのしっぽ』

※絵のうまい人、だれかかわりに描いてください・・・。

ながーいふゆがおわり、ようやく雪がとけはじめた、3がつの森のなか・・・
ハムスターのハムちゃんは へろへろ トボトボ、げんきなくあるいていました。
「おなかすいたなぁ・・・。なにかたべるものないかなぁ・・・」
すると、とけた雪のあいだから、ひまわりのたねが山もり でてきたではありませんか。

ハムちゃんは、ひまわりのたねがだーいすき! おおよろこびして、たねにとびつきました。
「いただきまーす! ガツガツガツ!」
ハムちゃんは、いつもおかあさんから 「よくかんでたべなさい」 といわれていたのですが、
おなかがへっているときは、ついつい いそいでたべてしまいます。
「はぐ、はが、はぐ、はが! んが、んご、んが、んご!」

ハムちゃんは、山もりのたねを、あっというまに たべつくしてしまいました。
「あぁ、おいしかった。ごちそうさま!」

ちょっとあたたかい4がつ・・・
ハムちゃんがくらす森にも、はるがやってきました。
くさや花のめが、あたたかいひざしをあびて、にょきにょきと かおをだしはじめています。
ハムちゃんも げんきいっぱい。うーんとせのび。
でもなんだか、おしりのちょうしが おかしいのです。ここ2~3にち、ムズムズして しかたありません。
ハムちゃんは、おしりを いけの水に うつしてみました。
するとどうでしょう、おしりから、花の め がはえているではありませんか!
「ほんげー!」
おどろいたハムちゃんは、すぐにひっこぬこうとしたのですが、おしりのなかの たねがひっかかって、
どうしてもぬけません。
「こまったなぁ・・・」

5がつ・・・
ハムちゃんの おしりからはえてきたのは、ひまわりの め でした。
あの日、ひまわりのたねを ガツガツと たべあさったハムちゃん。
たねのひとつが、かまずに おなかのなかにはいって、くねくねと おしりまで たどりついたのです。
ひまわりの め は、ほんのかすかにさしこむ ひかりにむかって、ハムちゃんのおしりのあなから
ニョキニョキと 出てきたのでした。
そして ハムちゃんのからだにも、かわったことがおきました。それは、すっかり うんち をしなくなったのです。
ハムちゃんが、まいにちたべる ごはん。
その かす が あつまった うんち は、ひまわりの こやし として、め に すいとられていくからでした。

つゆの6がつ・・・
ハムちゃんの おしりからはえてきた ひまわりの め は、日に日に大きくなっていきます。
まるで ひまわりのしっぽ。
ズルズルと ひきずって、ハムちゃんつらそう。

7がつ、いよいよ なつです。
おしりのひまわりは、ぐいーんと あおぞらにむかって たちあがりました。
このころになると、ハムちゃんもすっかりなれて、森のなかで かけっこしても へいきです。
そして、ハムちゃんの あたまの上にひろがる 大きなはっぱ。
あつい日は ひよけのぼうしに、あめの日は かさになって、ハムちゃんを たすけてくれます。
ハムちゃんとひまわりは、すっかりなかよしになりました。

そして、なつ まっさかりの8がつ!
ひまわりは、ちいさなつぼみを つけはじめました。
「がんばれ、がんばれ!」

ハムちゃんにはげまされて、ひまわりは、ついにおおきな花を さかせました!
「やったー!」
あたらしいおともだちに、ハムちゃんはおおよろこび。
ひまわりの花も、お日さまにむかって、げんきよく せのびしています。
ハムちゃんとひまわりは、たこあげをしたり、こままわしをして あそびました。

「たかい、たかーい! 天まであがれー!」

「くるくるくるー!」

「ハイ、ひまわり!」


9がつ。
そろそろ ゆうがたになると、リンリンと あきの虫のこえが きこえてきます。
あめも すっかりつめたくなりました。
さいきんのひまわりは、どうもげんきがないようです。
「ひまわりさん、どうしたの?」

それからというもの、ハムちゃんが たくさんごはんをたべて、水をのんでも、ひまわりは しぼんでいくばかり。
「ひまわりさん、ひまわりさん。いやだよう・・・」
ハムちゃんは、よるになっても あさになっても、ひまわりのことを かんびょうしてあげました。

あき、10がつ。
ひまわりは、とうとう ちゃいろくカサカサに、ひからびてしまいました。
「ひまわりさん、いやだよう・・・。ぼくたち、もう おわかれなの?」
ハムちゃんが、いくら はなしかけても、ひまわりは こたえてくれません。
「いやだよう・・・」

11月の、さむい日のあさ。
ハムちゃんは、大きな ねがえり をうって目をさましました。
ハムちゃんと いつもいっしょだった ひまわりのしっぽ。
あれだけ ひっぱってもぬけなかった しっぽ が、ねもとからプツリときれていたのです。
ひまわりは、花びらのかけらで、「サヨナラ」 の もじをのこしていました。
それは、なかよしだったハムちゃんへの、さいごの おれい と おわかれ の てがみでした。
ハムちゃんは、たくさんたくさん なきました。
ハムちゃんのもとには、ひまわりのたね だけが のこされました。

・・・そして、きせつは さむいふゆ。
どこからか、やさしくはなしかける こえがきこえてきました。
「だいじにたべるよ。だけどすこしだけ、のこしておくね」
どうぶつたちがくらす森は もう、ゆきです。

おしまい。
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