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【この本!】 2019.06.13 (Thu)

太宰桜桃忌に寄せて

 太宰治(1909.6.19~1948.6.13)の桜桃忌に寄せて・・・。初出記事

「はしょれメロス」
はしょれメロス

     メロスは激怒した。
     /メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。
     メロスとセリヌンティウスは/ひしと抱き合った。
     暴君ディオニスは/顔をあからめて、こう言った。
     「おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
     メロスは、まごついた。
     「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。
     /私は/メロスの裸体を、皆に見られるのが、
     たまらなく口惜しいのだ。」
     勇者は、ひどく赤面した。
 

 
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【この本!】 2019.02.03 (Sun)

≪この本!≫書庫もくじ

  ≪文学≫書庫もくじ (クリックすると新しいページで開きます。)

  太宰桜桃忌に寄せて

  寒い朝の白楽天
  『星の王子さま』 が見つからない
  巷に花粉の降るごとく、わが心にも鼻たれる
  恐怖!短歌で怪談!!
  最後の名探偵ポワロ~『カーテン』

  ワインと月と漢詩と
  乱歩の白昼夢
  谷崎恐怖症 『春琴抄』 (没後50年)
  白居易~秋の漢詩をどうぞ
  シェイクスピアの女たち(生誕450年)

  ハイジ10のなぞ
  リチャード3世の骨
  はじめてのドストエフスキー
  いとしの新明解国語辞典
  陶淵明 『酒を止む』

  仮想・日本版『オリエント急行殺人事件』
  江戸川乱歩のエログロ・ベスト3!
  『砂の器』づくし
  『アルプスの少女ハイジ』 原作
  『源氏物語』 第2部がおもしろい

  『火の鳥・手塚編』が見たい!
  ミステリーの詩人ウールリッチ
  思春期のサロメ
  ボケっぱなしのカフカ
  ゲーテと『ロード・オブ・ザ・リング』

  I LOVE 李白
  李白 『将進酒』
  アガサ・クリスティにだまされて
  オー・ヘンリーのオチ
  少納言の清ちゃんスキスキ、すねないで

  我が青春の龍之介
  かこさとしの絵本
  ぜったい曹操派!
  ダンテと行く、GW地獄めぐりの旅
  手塚治虫全集~手塚後期を語らせて

 
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【この本!】 2019.02.02 (Sat)

寒い朝の白楽天

香炉峰 - Google画像検索
(廬山 ・香炉峰)


 寒い朝に、白居易(白楽天)の漢詩をおひとつ・・・。


 日高睡足猶慵起    日は高く、睡(ねむ)りは足りているのに起きるのが慵(ものう)い。
 小閣重衾不怕寒    小さな我が家は布団を重ねれば寒さも怕(おそ)れることはない。



 寒い朝は布団から出られないのは、中国何千年だろうがいっしょ。

 題して 『香炉峰下 新卜山居 草堂初成 偶題東壁』。「香炉峰のふもとに、適地を占ってもらっていた新居が完成したので、たまたま東の壁に記しておいたもの」 といったところか。白居易が政争に巻き込まれて南方に左遷されていた時期の作。

 香炉峰は中国屈指の名勝 「廬山」 の一角をなす山。 『聖闘士星矢』ファンなら 「廬山昇龍覇!」 でおなじみの廬山です。



 遺愛寺鐘欹枕聴  遺愛寺の鐘を枕を欹(かたむけ)て聴き、
 香炉峰雪撥簾看  香炉峰の雪を簾を撥(はねあげ)て見る。

 匡廬便是逃名地  匡廬は俗世の功名を逃れるにはもってこいの地、
 司馬仍為送老官  司馬は老後を送るにはもってこいの官職だ。



 この詩の影響だろうか、「香炉峰」といえば「雪」というイメージ。漢文の教養深さで知られた清少納言が、すだれを上げる仕草で周囲をうならせたエピソードが有名です(『枕草子』)。

 「超」がつくエリート官僚だった白居易はこうやって強がりながらも、左遷の屈辱・みじめさを数々の名作にぶつけながら、やがて受け入れ達観していく。一度は中央政府に呼び寄せられながらも、みずから地方職を願い出て悠々自適の余生を送った。



 心泰身寧是帰処   心身の休まる所が帰るべきところ。
 故郷何独在長安   故郷とは長安だけをいうものではない。



 玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋が唐王朝を傾けた「安史の乱」。その後遺症も深い当時は、地方の知事に当たる「節度使」が半独立し(「藩鎮」)、それぞれ長安や洛陽に劣らぬ発展を遂げていました。白居易も、廬山や杭州・西湖など暖かい南方の奇観壮観に囲まれ、鶏口牛後を満喫したか。
 (ちなみに日本では「鳴くよウグイス平安京」が造られ、最澄・空海が唐から帰国。そろそろ遣唐使やめようかという時期。)

 たしかに、こんなとこなら左遷されてもいい。ぼくも何か悪いことしちゃおうかな。

 
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【この本!】 2018.12.21 (Fri)

オー・ヘンリーのオチ (再)

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旺文社文庫(絶版)

 パソコン部屋の隅にひっそりとかけてある、もらいもののカレンダーをめくりました。今年も残すところあと1枚。 振り返れば、こうして月の初めに一枚一枚、無造作に破かれていったのですね。まるで、冬の風に頬をはたかれた落葉のよう。
 そこでふと、オー・ヘンリーの短編小説 『最後の一葉』 を思い出しました。

 一枚一枚 散っていく落葉と、自身の消えゆく命を重ねあわせる、病床の少女を描いた有名なお話。その結末は言いませんが、O・ヘンリー作品といえば、ウィットに富んだラストのどんでん返しが最大の魅力。ぼくも高校時代、その巧みな話法にひかれて、よく学校の図書館に通ったものです。
 そこで久しぶりに、わが家の本棚から彼の短編集を取り出し、パラパラとめくってみました・・・。


 『二十年後』 は、再会を誓い合った親友を待つ男の話。 皮肉のきいた人情味がいいですね。
 『自動車が待っているあいだに』 は、公園のベンチで出会った令嬢と青年の恋。 むなしく切ないです。
 『警官と賛美歌』 『赤い酋長の身代金』 などは、とんだ災難話ですが思わず笑ってしまいます。

 そして 『最後の一葉』 と並ぶ代表作 『賢者の贈り物』
 クリスマスの夜、若く貧しい夫婦の、ささやかなプレゼント交換にまつわる心温まるお話。
 「夫は金時計を売って妻のためにクシを買い、妻は髪の毛を売って夫の金時計の鎖を買う」
 という話、どこかで聞いたことはないでしょうか? 彼らのように心のこもったお祝いを贈り、贈られるとしたら、これほど幸せなことはありません。 真心を尽くすという行為は、見栄や金額の問題ではないことを教えてくれます。


 そういえば、季節はちょうどクリスマス。ぼくはこれを機に、O・ヘンリーと出会わせてくれた高校の図書館に、その作品集を寄贈しようかと思っています。以前も母校を訪れた折、何冊か本を持っていきました。 だから今回も、年末に帰省した時にでも・・・。彼の短編集だけだと片手で足りるので、英語版があればそれもつけます。

 ・・・というのも、実はわが母校の図書館には、オー・ヘンリーの本がないのです!
 とても平易で親しみやすい文章とストーリー。 今どきどこの小学校にも置いてある、読書の入門編。 それなのに、かわいい後輩たちが 『最後の一葉』 や 『賢者の贈り物』 に触れることなく3年間を過ごすなんて! 卒業生として、そんな現状を見過ごすわけにはいきません。
 決して、良く思われたいとか、カッコつけたいわけではないことをご理解いただきたい。 ぼくを突き動かすのは、純粋な情熱と崇高な使命感のみ。

 そう、今こうして手にしている読み古されたオー・ヘンリーの本、その裏表紙に貼られたステッカーを目にするたび、わが母校を想う気持ちは ただただ熱く募るばかりなのです。

「返却期限を守りましょう。○○高等学校図書館」

 
22:24  |  この本!  |  コメント(1)  |  EDIT  |  上へ↑

【この本!】 2018.06.19 (Tue)

『星の王子さま』 が見つからない

星の王子さま(ウワバミ)
うわばみ

サン=テグジュペリの名作 『星の王子さま』 の日本語版に異変が起こっているらしい。


作品じたいはパブリック・ドメイン(著作権消滅)になって自由に出版できるようになりましたが、

この日本語タイトルの著作権は翻訳者の内藤濯(あらう)氏と岩波書店にまだ残っていて、

新訳する際には新しいタイトルをつけてほしい、とのこと。


じつは読んだことなくて、そんなえらいことになってるなんて知りませんでした。


 原題は 『Le Petit Prince』。「小さな大公」。
 英仏語の 「Prince」 はいわゆる王の子どもの 「王子」 という意味だけでなく、すでに統治している君主のことも指す (――そういえばモナコ大公もPrinceナントカと呼ばれている)。
 主人公の王子さまは小惑星B-612の君主なので、「Prince」は 「公爵(Duke)」 より上位の 「大公」 と訳すのが正しいらしい・・・



・・・と生かじりの情報。 いったいどうなるんだよ、王子さまの星!?


新訳本のようすをざっと調べてみると、TM(トレードマーク)表示をつけて拝借しているものから、

ネット図書館「青空文庫」には 『あのときの王子くん(大久保ゆう訳)』 と気合の入った新タイトルも。


内藤氏の作だと但し書きをつければ、これまでどおり使っていいとも聞く。

読んだことないとかぬかしている、このうぬぼれの飲んだくれでも知っている名タイトル、

変えるなんてなかなかできないよね。

おとなというものは、いつだってこんなものです。


星の王子さま
20:45  |  この本!  |  コメント(3)  |  EDIT  |  上へ↑

【この本!】 2018.03.06 (Tue)

巷に花粉の降るごとく、わが心にも鼻たれる

ヴェルレーヌ『言葉なき恋歌』
『ヴェルレーヌ詩集』堀口大學
きょうの一冊/『ヴェルレーヌ詩集』 堀口大學訳


いつもよりひと月遅れで花粉症がはじまりました。

昨夏の長雨のおかげで今年の花粉は少ないらしいけど、暖かくなるとそうはいきません。

あわてて薬を飲んだものの、効きはじめるまでつらかった。

薬に慣れるまで眠気や渇きの副作用もあるし。(ちょうど土日だったので峠は越えた。)


 鼻炎薬(抗ヒスタミン薬)には 「効果は強いが副作用も大きい」 第1世代と、その逆の第2世代の薬がある。 「マレイン酸~」とついていたらたいがい第1世代。第2世代は「アレグラ」「アレジオン」「ザジテン」などが有名。
 なりふり構わぬ「第1世代」派としては、飲み始めの数日間はうまく副作用を管理してやりすごすほかない。



一部の市販薬は 「セルフメディケーション税制」とやらで控除の対象らしいけど、

薬代に年間12000円も使うわけないバカ健康体なのがうらめしい。

どっちつかずの寄る辺なき我が身の上を嘆きつ。


  春の日にびょろろんと鼻水の
   身にしみて干からびるにうら悲し ――(平成の)ヴェルレーヌ
 (上田敏訳)
  Les sanglots longs des violons de l'automne, blessent mon cœur d'une langueur monotone.

 
19:11  |  この本!  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【この本!】 2017.08.29 (Tue)

恐怖!短歌で怪談!!

『怪談短歌入門』


『怪談短歌入門』 という本を読みました。雑誌の企画による、怖い短歌コンテストをまとめたもの。

東直子・佐藤弓生・石川美南著、メディアファクトリー刊、2013年。


大賞作 「あたまがころり」 のようなスプラッターあり、

「ママはきれいだ」 「貸出カード」 のようなサイコな怖ろしさもあり。

もちろん、知らない人や知らない世界に迷いこむ王道の怪談ものも。


読者が気軽に投稿した気軽な読み物ですが、

なるほど、「怪談」という縛りがありながら、かえって自由な歌が集まったという指摘が興味深かった。


ぼくは上の作品のほか、「オバQ」がよかった(第1回佳作)。

これは絵が怖いというより、本物のオバQを知ってるナミちゃんの怖さではないかな。

あと、「正しく」 刺し直す 「サボテンの針」 も不気味な怖さがありました。


各回の入選作はネットで公開されているので、(『ダ・ヴィンチニュース』サイト)

この夏最後の納涼がてら、「怪談短歌コンテスト」 で検索してみてはいかが。


↓下の 【続き…】 に、ほんのお耳汚しにぼくも2つ3つ作ってみました。R-18指定、悪趣味です。

霊的なものはピンとこないことが自分でも分かった。
 
21:10  |  この本!  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑