【JAZZ】 2017.07.17 (Mon)

遅れて来たコルトレーン青の時代

J・コルトレーン『ブルー・トレイン』

今2017年7月17日は、ジャズ・サックス最大の巨人ジョン・コルトレーンの没後50年です。

膨大な録音、目まぐるしく進化していくスタイルの中でもやっぱり一番好きなのが、

初期の記念碑的傑作 『ブルー・トレイン』! (1957)

天才トランぺッターのリー・モーガンと、少年ジャンプみたいな華々しい超絶拳法を打ち合います。

(ぼくはむしろモーガンのほうがスゲーってなった。当時19歳(!)、モーガンにとっても生涯屈指の名演。)


のちに 「シーツ・オブ・サウンド」 と呼ばれた、とにかく音を 「敷きつめる」 演奏は、

30近くまで芽が出なかったコルトレーンのコンプレックスの裏返しとも言えるでしょう。

ぶきっちょだから美しい音が出ない。しゃべり続けないと間が持たない・・・。

体が小さいから音量より「間」で聴かせるしかなかったマイルスの真逆ってところがおもしろい。


このあとコルトレーンは深遠な精神哲学の海へと沈降していきますが、それは同い年(1926-)の

マイルス・デイヴィスも同様。 自分に満足できない人は変わり続けるしかなかった。


名門レーベル、ブルーノートでの録音は意外とこれ一作だけ。(だからタイトルが「ブルー」なの?)

同社のボス、アルフレッド・ライオンたっての招へいとあって、メンバー選びや内容など

自由にやらせてもらえたそうだ。

気の合う仲間と練りに練った自作披露の場を得て、本作はまだ 「出家前」 の明るいコルトレーン、

輝けるモダンジャズ黄金時代のキラキラした楽しさを聴くことができる。

コルトレーン31歳、遅かりし「青の時代」 と呼ぶにはぜいたくな逸品です。


 『Blue Train』
 ジョン・コルトレーン (tenor sax)
 カーティス・フラー (trombone)
 リー・モーガン (trumpet)
 ケニー・ドリュー (piano)
 ポール・チェンバース (bass)
 フィリー・リー・ジョーンズ (drums)

 1957年、ブルーノート



 ・・・モーガンだけじゃない、他のサイドメンたちも充実した熱演。
 この10年後、コルトレーンは40歳の若さでガンで亡くなるのだから、その衝撃と損失はどのくらいのものだっただろう。

 
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【JAZZ】 2016.09.20 (Tue)

≪JAZZ≫書庫もくじ

  ≪JAZZ≫もくじ (※クリックすると新しいウィンドウで開きます。)

  遅れて来たコルトレーン青の時代
  アート・ファーマー “アート”の秋
  シェルブールの雨傘、ジャズ。

  JAZZスパルタカス/愛のテーマ
  真夏の夜にJAZZ <ウェザー・リポート>
  永遠の親指、ウェス・モンゴメリー
  サッチモでメリクリ
  ハービーの『ウォーターメロン・マン』

  『ムーン・リバー』をジャズ・メッセンジャーズで
  ミルト・ジャクソンの、ルパン三世ふうジャズ
  【追悼】 デイヴ・ブルーベック 『テイク・ファイブ』
  ジミー・スミスのジャズ煮込み
  ○○ & ジョン・コルトレーン

  電子マイルスの『On the Corner』!
  リアル・マッコイ・タイナー
  円熟の『ハウ・ハイ・ザ・ムーン』
  リー・モーガン『クリフォードの想い出』
  マイルスの『いつか王子様が』のコルトレーンが

  ディジー・ガレスピー The Real
  ジャズの風雲児F・ハバード、逝く
  バド・パウエル『クレオパトラの夢』
  マイルスの『枯葉』
  おやすみデビー

  ステファン・グラッペリ~なんにもない休日のジャズ
  ジャズ界のグランマELLA
  かもめのチック・コリア
  ミルト・ジャクソン~ルパン三世ふうジャズ
  フレディ・ハバードの?『処女航海』

 
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【JAZZ】 2016.09.19 (Mon)

アート・ファーマー “アート”の秋

アート・ファーマー『アート』


ジャズ・トランペッター、アート・ファーマー の代表作 『アート』。1960年。


見事にいぶし銀4人がそろったカルテット。

そしてこれまたシブい選曲と音色と。

手持ちのCDは最新のリマスター盤じゃないので、よけいにくすんだ枯れ味が際立ちます。

虚無僧姿で尺八やらせても似合いそう。


それでも、人柄が伝わってきそうな、奇をてらわない誠実な音づくり。

少しだけ体が温まる軽快さと ほっとさせられる歌ごころは、「オレ様」マイルスの真逆を行く味わい。

一番有名な代表作 『モダン・アート(1958)』 よりぼくはこっち派です。


夜の気取ったお酒の店でというより、閑静な、アンティークなカフェで聴きたいな。

秋の昼下がり、べつに天気が良くなくったっていい。

灰色の曇り空にだってしっくりくる音楽があるのです。


でも雨すぎて今日の散歩はおあずけ。 うちの椅子でも磨いとくか。



 アート・ファーマー 『アート』

 アート・ファーマー (tp)
 トミー・フラナガン (p)
 トミー・ウィリアムズ (b)
 アルバート・ヒース (ds)

 アマゾン試聴ページ
 (・・・名パートナーだった”J・Mの仲本工事”ベニー・ゴルソン(sax)は不参加。)


 
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【JAZZ】 2016.04.17 (Sun)

シェルブールの雨傘、ジャズ。

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雨の夜長に、ジャズを聴きました。

ミシェル・ルグランの名曲 『シェルブールの雨傘』。


このフランス映画音楽の巨匠は ジャズ・ピアニストの顔もお持ちだそうで、

ピアノ・トリオで 自身の名曲を縦横無尽に料理しています。

タンゴ風あり、ボサノバ風あり、感極まってのうめき声まで。

少々気張りすぎなのがご愛嬌。

自作自演集 『パリジャン・ブルー』 より。 (Amazon試聴ページ


映画は全編 「歌」で通した異色のミュージカル・オペラ。

雨の港町。時代に引き裂かれた若い恋人たち。

若かりしカトリーヌ・ドヌーヴの可憐さが際立ちます。

雪の夜のラスト・シーンは最高。

世界一美しいガソリン・スタンドでした。


・・・北フランスの港町シェルブールには、一度行ってみたい。

日本でいうなら函館? それとも小樽?

50年前の映画の雰囲気、今も残っているでしょうか。

 
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【JAZZ】 2015.11.03 (Tue)

JAZZスパルタカス/愛のテーマ

ビル・エヴァンス『ホワッツ・ニュー』ジェレミー・スタイグ
ビル・エヴァンス 『ホワッツ・ニュー』 ジェレミー・スタイグ


 秋の夜長に、しっとりとしたジャズをどうぞ――。

 あの歴史超大作映画 『スパルタカス』(1960米)より愛のテーマ。 ・・・と言うとイカツい大スペクタクルな感じですが、これが信じられないくらい甘くせつないジャズに生まれ変わっています。
 人さまの著作物なので、こっそりリンクだけ貼りました。許してね。



  【YouTube】 カルテット・モデルノ 『ecco』版 (検索結果ページへ)

 イタリアでこれ1枚だけ作られた企画盤だそう。1998年。
 個々のセンスやテクニックを競うというより、一定の技量がそろった職人アンサンブルの安心感。

 ぼくにとってこの曲はこの演奏のイメージ。いつどこで聴いていたんだろう・・・?
 街の喧騒の中で聞き流される商用BGMに過ぎないかもしれない。だけど耳に残る好演。



  【YouTube】 ビル・エヴァンス&ジェレミー・スタイグ版

 ジャズ・ピアノの詩人エヴァンスが、フルートのジェレミー・スタイグを迎えて。1969年。(上の写真)
 中盤のアドリブ部、「ジャズ」としておもしろい・上手いのはやはりこっちの方。若いエディ・ゴメス(bass)とマーティー・モレル(ds)を加えた新生トリオで、さすがのエヴァンス節。
 そして尺八のような枯れた味わいを聴かせるスタイグの、静かだがスリルを忘れないエヴァンスとの掛け合い・・・。スタイグにとっても代表作になりました。



  【YouTube】 映画オリジナル版

 『スパルタカス』 オリジナルの作曲は、アレックス・ノースという人。ストリングスがうつくしい!

 映画は、超豪華スタッフ&キャストをそろえて絶対おもしろいはずだったのに、これがあまり印象に残らなかった。つまらないとは言わないけど、スペクタクルも人間描写も、力のかけ方がどこかちぐはぐで中途半端だった。(黒澤明の『影武者』や『乱』に似た印象。)
 でも、当時史上最多というエキストラ1万人を動員した合戦シーンや、感動的な「I'm Spartacus!」 のシーンは今も心に残っています。――この名セリフは、「赤狩り」で仲間を政府に売らなかった脚本家トランボ自身の気概とも言われている――
 
18:36  |  JAZZ  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【JAZZ】 2015.08.14 (Fri)

真夏の夜にJAZZ <ウェザー・リポート>

ウェザー・リポート 『ヘヴィー・ウェザー』
Weather Report 『 Heavy Weather (1977)』


お店にジャズを聴きにいきました。

たまにはボーカル付きが分かりやすくていいということで、初めて行った店。

しっとりとしたバーを想像していたら、にぎやかなビッグバンドのクラブみたいな所だった。


女性の歌手は、セリーヌ・ディオンみたいにゴージャスに歌いあげる人。オーストラリア人。

しかもエレクトリック・フュージョンの名曲 『バードランド』 をやられた日にゃ戸惑いましたが、

もうこうなったら盛り上がらなきゃ損です。 いいぞー、酒もってこーい。


そんなこんなで思いのほか熱くなって、家に帰ってからも 手持ちのCDでしばしの余熱<ほとぼり>

もちろん 『バードランド』 のオリジナル、 ウェザー・リポートのアルバム 『ヘヴィ・ウェザー』 で!


 ”ウェザー・リポート” はウェイン・ショーター(sax)ジョー・ザヴィヌル(key)ジャコ・パストリアス(bass)・・・、まったく個性の違う天才クリエーターたちが才能を競い合った、伝説のジャズ・フュージョン・バンド。
 ぼくは世代的に、「ジャズ・フュージョンなんてダサい」 と思っていたのですが、時代がひと回りして最近は受け入れられるようになりました。(でも、この曲をカバーして有名なマンハッタン・トランスファーだけは今も苦手。)
 ザヴィヌルのシンセ・サウンドにショーターのモード・ジャズが加わり、天才ジャコの華のあるベースとパーカッションの南洋のリズムが彩りを添える――。それぞれが際立ってるので、先の展開が読めないインスピレーションあふれる演奏は今でもスリリング。




・・・お店はなにかと予想外だったけど、静かに聴かなきゃいけない日本の店とちがって、

ピーピーヒューヒュー言い放題のにぎやかな雰囲気もたまにはいいかな。

そんなオーストラリアはアデレードの夜でした。 寒いです。

 
22:07  |  JAZZ  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【JAZZ】 2015.04.14 (Tue)

永遠の親指、ウェス・モンゴメリー

ウェス・モンゴメリー『トゥイステッド・ブルース』
ウェス・モンゴメリー 『トゥイステッド・ブルース』

  このあいだの 『アメトーーク!!』 ギター芸人、おもしろかったです。
 ジミ・ヘンドリクスや押尾コータローさんらスーパーギタリストが紹介されていたけど、ぼくにとってのギターの神様はやっぱり、ジャズ界の 「ミスター親指」 ウェス・モンゴメリー!


  【YouTube検索】 Wes Montgomery Jingles
  (あからさまに動画を貼るのは気が引けるので、リンクだけ)


 曲は 『ジングルス』。ウェスが好きと言うより、この曲この演奏がかっこいい! すべてのジャズ映像の中で一番!
 むかし 『タモリのジャズスタジオ』 というNHKの特番で紹介されていて、クラシックジャズからモダンジャズの世界に引き上げてくれたぼくにとっての記念碑。

 呼びかけに合いの手を入れるスタイル 「コール&レスポンス」 がしびれる。有名な 『モーニン』 『ワークソング』 と並ぶ、いやそれ以上だ。
 ほか、ピアノはハロルド・メイバーンという人。あまり知られていないけど、軽やかな色彩感があってとてもいい演奏です。


 動くウェスの親指が見られる貴重な映像。レコード時代のジャズ・ファンからは、伝説にだけ聞いていた”親指だけ奏法”に、「そうやってたのか」 「やっぱりすごかった」 との声しきり。

 ・・・ちなみにぼくのギターの腕前は、前に練習して、やっとこさボサノバふうが1曲弾けるようになった程度です。「神様」とか「リスペクト」とか、それ以前の次元ですみません。


 ウェス・モンゴメリーの 『ジングルス』 が収録されているライヴCD 『トゥイステッド・ブルース』(上の写真)は、1965年パリ公演 『ソリチュード』 のオマケ盤らしくて、今では廃盤なんだとか。ぼくが販売当時やっと見つけた時にも、企画モノ扱いされていた。

 こんなにかっこいい曲なのに、ほかに 『ジングルス』 の演奏はないのかな?

 『ウェス・モンゴメリー・トリオ』 に収録のバージョンは、オルガン奏者が加わったまったくの別物。スローな演奏でぜんぜんスリル感がなかった。ミルト・ジャクソンと共演した名盤 『バグス・ミーツ・ウェス』 の演奏はよかった。


 
22:51  |  JAZZ  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑