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【アメリカ映画】 2021.03.20 (Sat)

ザッツ・エンターテインメント!! 『バンド・ワゴン(1953米)』

『バンド・ワゴン』

 フレッド・アステア主演のミュージカル映画 『バンド・ワゴン』。1953年、アメリカMGM社製作。
 盛りを過ぎたショー・ダンサーが、最後のもうひと花咲かせようと奮闘する物語。アステアにとってキャリアの集大成になった代表作のひとつだ。

 最大の見せ場はやはり、テーマソングの 『ザッツ・エンターテインメント』
 古い芸人気質から抜け出せない主人公に、演出家が「エンターティナーも芸術家たれ」と奮い立たせる。同名の映画('74)の主題歌を経て、すべてのショービジネス讃歌として今日まで歌い継がれる、あの名曲!

 製作はアーサー・フリード。『オズの魔法使 (1939)』 をはじめ 『踊る大紐育』 『雨に唄えば』 『巴里のアメリカ人』・・・、絢爛たるMGMミュージカル黄金時代を築きあげた大プロデューサーだ。


 お話は'50年代MGMミュージカルらしい、ファミリー向けの他愛のない進行。
 相手役の女優シド・チャリシーとは父親ほどの年齢差もあって、恋の展開に行きにくかったのもあろう。ただ、キャストが年寄りばかりなのが気になった。とくに劇中の打ち上げのシーン、スター主人公のように「ホールで優雅にシャンパン」ではなく、車座になってビールをワイワイとあおる劇場スタッフ役の若いエキストラ俳優たちとの「距離感」は、物語の上でのそれ以上に感じた。

 実際、「自分はもう“博物館”入りの古いスターなのか」と気落ちする主人公像は、戦後に現役復帰して第二の黄金時代さなかにあったアステア自身を容易に重ねさせる。 この1950年代、アメリカもハリウッドもMGMミュージカルもアステアもその繁栄を謳歌したが、同時に彼らに取って代わろうとする「次の時代」の足音も確実に聞こえはじめていた。

 それでもアステアは踊る、踊る、踊る!!
 技術とアイデアの限りを尽くし、年齢をまったく感じさせない優雅なステップで、新しい出し物を次から次へとたたみかけていく。

 そして、はじめは 「芸術家たれ」 と歌っていた主題歌 『ザッツ・エンターテインメント』 も、最後は 「いや、エンターテインメントに徹してこそエンターテイナーだ!」 と高らかに宣言して物語は幕を閉じる。
 主要キャストが整列してわれわれ観客に歌いかけるラストは、彼ら古き良きエンターテイナーからの謝辞であり、スクリーン内外の同胞たちへの感謝と敬意を込めたエールでもあるのだろう。


 すでに五十も半ばのアステア、その本格ミュージカル出演は事実上本作が最後。大プロデューサーのA・フリードも、1960年代を待たずして第一線から退く。
 老舗メジャー・スタジオのファミリー向け夢物語は次第に飽きられ、インディーズの硬派社会派ドラマやテレビ放送が台頭。若者の爆発を暴力的なまでに描いたミュージカル革命 『ウェストサイド物語』 の映画化は'61年。さらには黒人音楽やビートルズの大旋風・・・。

 それでもMGMミュージカルは、数々の美しい遺産を残して次世代にバトンを渡した。(性スキャンダル発覚で)何かと晩節を汚したフリードに対し、アステアは温かい尊敬に囲まれたまま優雅で身の丈の芸能生活を送った。
 かのマイケル・ジャクソンも、アステアのステップが自身のルーツだとしていたことは有名。“ザッツ・エンターテインメント”精神はリズムやステップが変わっても、そうやって受け継がれていったのだ。
 
18:41  |  アメリカ映画  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【欧州&世界映画】 2021.01.30 (Sat)

思い出の中の『舞踏会の手帖(1937仏)』

『舞踏会の手帖』

 フランスの名匠ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の古典映画 『舞踏会の手帖』。1937年。
 秋ごろにBS放送を録画したものを、やっとこさ見終わった。

 富豪の夫を亡くした若く美しい未亡人が、古い「舞踏会の手帖」をたよりに少女時代の恋人たちを再訪してまわる・・・
・・・という、相手側にしたらはっきり言って迷惑この上ないお話。


 案の定、「思い出は美化される」とのセリフにあるとおり、彼女は男たちのさまざまな人生の現実や残酷を目の当たりにする。それでも彼女は、生きる目的をなくした「自分のため」だけに、懲りずに次の相手を訪ねてまわるのだ。あの日の舞踏会で彼らを次々と袖にしたように。

 ただしこれは、ヒロインの問題というより、ご丁寧にもヒロインを受け入れ続ける相手の男たち――作り手の男たちの願望なんだろう。あの日のマドンナともう一度会いたい、会いに来てほしい・・・ただし若く美しいままで!
 これが男女の立場が逆だったら、もっとシビアでお話にもならなかったに違いない。


 ヒロインの内面の葛藤は深みに欠け、最後のほうになるとただの傍観者でしかなくなり、彼女なしでお話が進みだす有様。
 セリフや映像ひとつひとつは美しいが、都合が良すぎる展開や人物の動線に無頓着な編集など、作品全体としてはまったくリアリティに欠けるおとぎ話だった。

 ずいぶん昔に観てあまり惹かれなかった記憶だけあったのだが、それは今回も変わらなかった。
 心の中にしまっておけばまだマシだっただろう。それでもぼくの思い出めぐりは続くしかないようだ。

 
23:32  |  欧州&世界映画  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【日本映画】 2020.05.17 (Sun)

【YouTube】 昭和の美人女優を今っぽく

昭和の美人を今風に

ちょっと面白かったので動画拝借します。



【YouTube】 昭和の美人女優を今っぽくしてみました #1


「庶民派」として出てきた人が多め。

高峰秀子さんや吉永小百合さんはすごく分かる!

若尾文子さんは今も昔も小悪魔。 大映映画の船越英二とか川口浩みたいにコロッといてまうわ。

岩下志麻ちゃんと加賀まりこちゃんもかわいい~。往生しまっせ~。(←こだまひびきと間違えた。)



【YouTube】 昭和アイドルの髪型を令和風にしてみた(80年代を現代風に)


これもおもしろかった。

あらためてすごかったんだな、「聖子ちゃんカット」 の影響力と、時代のイメージ。


ただひとつ、動画コメ欄にあふれる「昔は良かった、昔のほうが美人」な単細胞には同意しません。

凝り固まった価値観に縛られて窮屈だったろうし、なにより今の人もみんなきれい。


このあと、若尾文子さんが夫殺しの被告を演じた法廷映画 『妻は告白する』 を観ました。

まさにそういう女の話でした。(・・・そして川口浩はコロッといかされてました。増村保造監督、1961年大映)

 
13:44  |  日本映画  |  コメント(3)  |  EDIT  |  上へ↑

【アメリカ映画】 2020.01.20 (Mon)

≪このアメリカ映画!≫書庫もくじ

  ≪アメリカ映画≫書庫もくじ

  ザッツ・エンターテインメント!! 『バンド・ワゴン(1953米)』
  静かで熱い社会派映画 『インサイダー(1999米)』
  アメリカの良心 『アラバマ物語(1962米)』

  ハルストレムの佳品 『ギルバート・グレイプ('93米)』
  『大いなる西部 (1958米)』、対立の構図
  大女優競演 『何がジェーンに起ったか?』 『ミルドレッド・ピアース』
  世界の 「I am your father!」
  ビリー・ワイルダー作品の脇役おじさんたち

  真のアメリカの悲劇~『陽のあたる場所(1951米)』
  dog day な 『狼たちの午後(1975米)』
  隠れ名作/ポール・ニューマン『暴力脱獄(1967米)』
  『2001年宇宙の旅』ふたたび
  イースターだから 『イースター・パレード(1948米)』

  反戦をこめて・・・『ジョニーは戦場へ行った』
  『大脱走』 吹き替え版!
  ディズニーの 『白雪姫』
  原発と闘え!『チャイナ・シンドローム』
  ジャームッシュの 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』

  吹き替え版 『トータル・リコール(1990)』
  追悼…ホイットニーの 『ボディガード』
  『追憶』のハッピーエンド
  『ブルース・ブラザース』ネ申吹き替え!
  ジョン・バリーの『007』

  『サウンド・オブ・ミュージック』TV吹き替え版
  本物の女 『ジュリア('77米)』
  スピルバーグの『激突!』!!
  吹き替え映画まつり
  『あなただけ今晩は』~それはまた別の話

  デ・ニーロ&ハーマン『タクシー・ドライバー』
  '07-08アカデミー賞授賞式を見て
  『十二人の怒れる男』
  『バック・トゥ・ザ・フューチャー』!!!!
  『スタンド・バイ・ミー』異考

  ワタシが愛した007
  傑作コメディ『ギャラクシー・クエスト』!
  『ターミネーター』とハリーハウゼン
  2006年不眠の旅
  チャップリンのラスト・シーン

 
19:17  |  アメリカ映画  |  EDIT  |  上へ↑

【アメリカ映画】 2020.01.19 (Sun)

静かで熱い社会派映画 『インサイダー (1999米)』

『インサイダー』

 タバコ業界の不正とその告発者の闘いを追った映画 『インサイダー』。1999年アメリカ。
 1996年に実際に起こった事件を、当事者・企業の実名を用いてリアルかつドラマチックに描く。比較的静かな劇調ながら、とても丁寧な描写の積み重ねが秀逸だった。


 主人公は、大手タバコ会社B&Wの不正を告発する前副社長(演ラッセル・クロウ)と、CBSテレビの看板報道番組 『60ミニッツ』 のプロデューサー(アル・パチーノ)
 巨大資本と政治力を振りかざし、タバコによる健康被害を隠蔽する大手タバコ企業群。
 テレビでの告発を決意した副社長のもとに降りかかる、不気味な妨害・脅迫・誹謗中傷の数々。医療や学資の生活保障は打ち切られ、過去の小さな汚点も掘り起こされ、家庭は疲弊し崩壊していく。
 そんな彼を励まし支援するプロデューサーのパチーノとて、困難は人ごとではない。オンエアーを拒む圧力は、局の買収問題にまで発展して現場のテレビマンたちを板挟みにする。それでも彼は屈することなく、世に伝えるべき事実の公表を目指すのだ。

 疲れきった副社長クロウは時に感情的に振る舞い、単純なミスも犯す。しかし世界の修羅場をくぐり抜けてきたパチーノは慣れたもの。
 「彼らは追い詰められた普通の人々。優雅さを求めるのは酷だ」 (1h25m)
 我々だって当事者になれば混乱はこんなものじゃないだろう。彼の冷静な言葉は一番強く心に響いた。


 物語は一般の娯楽サスペンス映画のように、見せ場のヤマを設けて起伏豊かにあつらえたものではない。しかし巨大権力に立ち向かう者に実際に起こるであろうトラブルや事態の細かな積み重ねで、2時間40分の長尺を飽きさせずに見せる。
 ジャーナリズム精神の理想を体現するパチーノの熱いキャラクターが、この一見地味な映画に情熱的な刺激をもたらしてくれた。
 社会派の実力者マイケル・マン監督の面目躍如。

 ・・・あっ、『60ミニッツ』 の司会者マイク・ウォレスを演じたクリストファー・プラマーって、あの 『サウンド・オブ・ミュージック』 のトラップ大佐だ!

 
22:24  |  アメリカ映画  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【アメリカ映画】 2019.09.16 (Mon)

アメリカの良心 『アラバマ物語(1962米)』

『アラバマ物語』(1)

 先日、テレビの映画劇場で 『アラバマ物語』 をやっていた。1962年アメリカ。
 (KKKの発祥地でもある)黒人差別が根強く残る南部アラバマ州の田舎町を舞台に、子供の目線から社会の差別や偏見、その理不尽さを見つめる。

 リベラルのバイブルとも呼ばれる本作、弁護士の父親を名前の「アティカス」で呼ぶ、子供たちのくだけた態度が象徴的。


 町で若い白人女性が暴行され、家に出入りしていた黒人男性が逮捕される。父アティカスはこの黒人容疑者の弁護を請け負うことに。
 たまたま回ってきた頼まれ仕事。アティカスは必ずしも強い政治意識を持っているわけではないだろう (不気味な隣人“ブー”のことを「かわいそうな人だから構うな」で片付ける点からもそう)。子供の手前、難しくは語らないこともあるが、どこにでもいる平凡な、それでも当たり前の良心や「誇り」を持った父親像として描かれていく。

 (以下ネタバレ・・・)アティカスは裁判で健闘するも、白人男性ばかりが揃った陪審員団を取り崩せず、敗訴する。
 起立してアティカスを見送る2階席の黒人たちと、目を合わすことなく退廷するアティカスの後ろ姿は、本作最大の名シーンだ。務めをまっとうできなかった面目なさと、真実が伝わらない、正義が貫けない、人権が守れない・・・、さまざまな悔しさを背負った無言の後ろ姿は、何度見ても胸が詰まるものがあった。


 原題は 『To Kill a Mockingbird (ものまね鳥を殺すこと)』。
 きれいな声で鳴いていたばかりに撃たれたマネシツグミの悲運を歌う、たしか童謡か何かからの一節だったと思う。隣人としての善意が身を滅ぼすことになる社会の歪みは、純朴な子供の瞳にどう映ったか。
 邦題は大ざっぱすぎ。芸も信念もない日本の配給の仕事は今も昔も変わらず。

 しばらくぶりに再見した今では、「卑劣な白人」「誠実な黒人」の構図や演技がステレオタイプすぎるきらいがあった。
 が、アメリカの良心、その代表的名作としての価値が揺らぐことはないだろう。
 
00:08  |  アメリカ映画  |  コメント(1)  |  EDIT  |  上へ↑

【日本映画】 2019.08.28 (Wed)

≪この日本映画!≫書庫もくじ

  ≪日本映画≫書庫もくじ

  【YouTube】 昭和の美人女優を今っぽく
  忘れられた原爆映画 『ひろしま(1953)』

  天才監督・山中貞雄の『丹下左膳』
  小津 『お茶漬けの味('52)』 はお口に合いまして?
  納涼!『東海道四谷怪談(1959)』
  三船と黒澤(前編)~『銀嶺の果て(1947)』
  高峰×成瀬の『女が階段を上る時(1960)』

  『修羅雪姫』~梶芽衣子さまに斬られたい
  『ゴジラ』第1作だけあればいい
  武満徹、映画音楽の旅
  溝口健二 『祇園囃子('53)』 は美しいか
  小津安二郎をみたけれど (1)

  小津安二郎をみたけれど (2)
  おいしい映画 『南極料理人('09)』
  小津とおならと『お早よう』と
  小林正樹×橋本忍『切腹(1962)』
  勅使河原宏・安部公房『他人の顔(1966)』

  日米競演『Shallweダンス?』
  伊丹十三の大傑作『タンポポ』
  高峰×成瀬の『乱れる(1964)』
  小津安二郎『秋刀魚の味』
  時代劇の名悪役トリオ

  【黒澤明】
  クロサワ版マクベス
  黒澤映画の悪女・山田五十鈴
  黒澤映画の原節子
  黒澤明『静かなる決闘』・・・の千石規子
  黒澤明『隠し砦の三悪人…の雪姫』
  黒澤明没後10年『七人の侍』

  【名キャメラマン宮川一夫】
  溝口健二『雨月物語』
  稲垣浩『無法松の一生(1943“阪妻”版)』
  黒澤明『羅生門』
  市川崑『炎上』
  小津安二郎『浮草』
  映像の神様・宮川一夫

  【宮崎駿】
  ポニョと未来少年コナン
  天空の城ラピュタ、みました。
  カリオストロの城、みました。
  風の谷のナウシカ、みました。
 
19:07  |  日本映画  |  EDIT  |  上へ↑