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【JAZZ】 2019.10.31 (Thu)

オーレ!コルトレーン!

J・コルトレーン『オレ!』


 ジャズの哲人ジョン・コルトレーンのアルバム、『オレ!』。1961年。
 文字通りの躍進<ジャイアント・ステップス>を果たしたアトランティック・レコード時代の、その最後を飾る作品。

 前後の作品の集大成的というか、この時期のトレーンのおいしいところを集めたような充実ぶり。単作としてはもちろん、前後を通してみるとさらに楽しい 『スターウォーズ』 の劇場第1作(エピソードⅣ)みたいな感じかな。


 まずはタイトル曲 『Ole!』。スペイン旅行の思い出を音楽にしたのだそうで、アラビアンな味付けがとにかくカッコイイ! 前年の名作 『マイ・フェイバリット・シングス』 を思わせる、モード旋法のスパイラルも心地いい事この上ない。こんな洗濯機の中でいつまでも回っていたい。
 サイドメンたちの演奏がトレーン以上に素晴らしいものだから、「クールだけど熱い」という得がたい魅力を放つ。

 2曲目の 『ダホメ・ダンス』 とは、女戦士軍団が有名だったアフリカの王国のことだそう。といってもアフリカっぽさはなくて、むしろ'50年代ハード・バップと'60年代モード・ジャズのゆるやかなブレンド。過渡期のコルトレーンの自然で無理のない等身大像をよく映している。

 3曲目の 『アイシャ』 は、翌年の人気アルバム 『バラード』 を予告させるかのような親しみやすいメロディ。
 ボーナストラックの 『To Her Ladyship』 もしっとりと大人のバラード。(契約の関係で変名を使用している)エリック・ドルフィーのフルートが全編を通じておしゃれだった。


 この頃から、マッコイ・タイナー(p)やフレディ・ハバード(tp)らひと回り下の新鋭を起用。若い彼らに自由にやらせているから、トレーン自身は円熟を増しつつも、常に次の高みをめざし続けた彼らしい、とどまることを知らない攻めの意欲を感じさせる。
 それでいて東洋哲学にも似た知的で自然体なアプローチには、あらためてうならされた。前後の大傑作群にあってセンターに立つような大作ではないけれど、ふと気づくといいなって思う、「好編」 という言葉がぴったりな一枚。


 【Amazon試聴ページ】

 
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【クラシック音楽】 2019.10.10 (Thu)

新国立劇場オペラ 『トゥーランドット』 中継

プッチーニ『トゥーランドット』新国立劇場
(公式HPから拝借)

 BSでやっていたプッチーニのオペラ 『トゥーランドット』 を録画しました。
 大野和士指揮、バルセロナ交響楽団。この夏の東京公演。

 舞台は中国。求婚する者を次々と殺していく美しくも冷酷な王女が、突如現れた謎の王子の愛と才知に追い詰められ、そして・・・というお話。
 王子が歌うアリア 『誰も寝てはならぬ』 がとにかく有名ですね。ぼくもこの歌は大好き。
 『蝶々夫人』 同様、アジア趣味の音楽や描写はあざといけど、プッチーニ作品でも最大規模の壮大・壮麗さ。また (かの子供番組の名前にもなった)「ピン、ポン、パン」 のコミカルな大臣トリオや、謎解きクイズをからめた恋の駆け引きもおもしろい。


 ・・・んだけど、(ネタバレ) 自分のために死んだ侍女リューもそっちのけで、姫との色恋まっしぐらの薄情王子にどうしても肩入れできなくて、今はもう本気で物語を追う気にはなれません。

 しかも今回録画ぶんを観ていると、だんだん電波が弱ってきて映像がプチプチ途切れはじめた。
 はじめは故障かと思ったけどそうだ! 放送されたのは千葉など関東地方を襲ったあの巨大台風の夜だ! 録画の乱れは最大のハイライト、『誰も寝てはならぬ』 の曲中にも・・・。
 千葉の皆さん、お見舞い申し上げます。(そして1か月後のいま、次の台風が接近中・・・。)


 まぁ、そんなこんなで集中力も途切れて、ずっと「ながら見」していました。

◆トゥーランドット役の人は、巨体と短髪パーマでアジャ・コングみたい。
◆カラフ王子は名優マリオ・デル=モナコしか認めない。今回、名前を探すほどのものはなかった。
◆「リューの死」の場面は、泥だらけのメイクと「下から照明」で怖かった。
◆あれれ? リューの亡きがらは舞台上に残されたまま、感動・壮麗な大フィナーレへ――


 ――その大フィナーレ、「愛よ!太陽よ!生命よ!永遠よ!我らの限りない幸せよ!栄光あれ!」
 その瞬間、トゥーランドット姫が自らノドをかききったところで暗転、終幕!

 これには驚いた。従来の、人でなし同士のハッピーエンドに感じていた疑問とモヤモヤを吹き飛ばしてくれて、一種痛快でした。最後の最後に引きつけられた。


 「トゥーランドットの罪と罰」、じっさいは表面ウケだけで現実味のない演出だったかもしれない。深く考えると言葉足らずでまだ説得力に欠ける。が、しかし、誰も踏みこまなかった新たな視点を持ち込んだ演出家アレックス・オリエさんの提起は、もしかしたら『トゥーランドット』史の新しい一里塚になるかもしれません。これからの上演の進化に期待を抱かせるものがありました。

 日本人客は相変わらず狂ったような「ブラボー」の絶叫で、終演後の余韻を台無しにしてくれた。


 【公式ページ】 トゥーランドット [新制作] 新国立劇場 オペラ
 ハイライト動画では 『誰も寝てはならぬ』 をほぼ聴けます。


 
23:22  |  クラシック音楽  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【全世界音楽】 2019.06.25 (Tue)

ヤフーアバターで 『ウィ・アー・ザ・ワールド』

 2019年6月25日、没後10年のマイケル・ジャクソンを偲んで・・・



 (旧)ヤフーアバターで 『We are the world』 してみました。
 ただ人様の歌詞をまんま貼っつけるのは芸がないので、自分で訳してみました。それではさっそく聴いてください。(1、2、スリー、ホー)


Lionel Richie
01 Rリッチー

There comes a time
When we head a certain call
When the world must come together as one


あの呼びかけに耳を傾ける時が、
世界がひとつになる時が来た



Stevie Wonder
02 Sワンダー

人々が死んでいく今
命という何よりも素晴らしい贈り物に
手をさしのべる時



Tina Turner
03 Tターナー

どこかの誰かが変えてくれるだろうと
知らんぷりすることはできない
みんな偉大な家族のひとり
真実はそう、愛こそが我々に必要なんだ



Bruce Springsteen
07 Bスプリングスティーン

We are the world
We are the children

僕らは明るい未来をつくる者
さあ始めよう



Diana Ross
05 Dロス

行動するのか、自分だけ守ればいいのか選ぶ時
ならば、より良い明日をつくろう
君と僕で



Michael Jackson
04 Mジャクソン

どん底には何の希望もない
めげない気持ちを信じよう



Cyndi Lauper
08 Cローパー

さあ目を覚まして
みんなひとつになって立ち上がれば、
変化は必ず起きる



Quincy Jones
10 Cジョーンズ

We are the world
We are the children
We are the ones who make a brighter day
So let's start giving



Ray Charles
11 Rチャールズ

There's a choice we're making
We're saving our own lives
It's true we'll make a better day
Just you and me




We Are The World(70)


 センキュー。
 今年こそはいい年にしましょう。自分たち自身の力で。


 初出は2011年のYahoo!ブログ。オリジナル歌詞をまんま載せていたので、このFC2引っ越し時には公開を控えていた記事です。このたびヤフーブログがサービス終了ということで、歌詞は一部だけ拝借して再投稿しました。
 ヤフーアバターを知らない人には「だから何だ」かもしれませんが、各方面いろいろ大目に見てね♡

 関連記事 『We are the World』 DVD購入&感想



Bob Dylan    
12 Bディラン(胸)    
まだ開いてますぅ? 

 
00:10  |  全世界音楽  |  コメント(1)  |  EDIT  |  上へ↑

【クラシック音楽】 2019.04.10 (Wed)

≪クラシック音楽≫書庫もくじ

  ≪クラシック音楽≫書庫もくじ

  新国立劇場オペラ 『トゥーランドット』 中継
  ユリアンナ・アヴデーエワのショパン
  ドビュッシーの『前奏曲集』聴き比べ (没後100年)
  バーンスタインvs.グールド協奏曲(生誕100年記念)
  “愛の6度”~あなたの声に私の心は開く~

  夏の終わりのメンデルスゾーン
  ホロヴィッツ plays モーツァルト
  ドボルザークあるある
  ベートーヴェンの 『悲愴ソナタ』 聴き比べ
  カラヤンの『ツァラトゥストラ』聴き比べ

  シャンパン・バッハ
  世界一ヘタクソな『ツァラトゥストラはかく語りき』
  プーランクのピアノ曲集
  立ち上がれ!ブラームス弦楽六重奏曲
  洋食喫茶?ラフマニノフ

  オペラ映画 『リゴレット』 (ヴェルディ生誕200年)
  グルベローヴァの『夜の女王』
  水曜日はワグナーを聴いて♪(生誕200年)
  無限『トリスタンとイゾルデ』
  フィッシャー・ディースカウとわたし

  マリア・カラスの 『夢遊病の女』
  クレンペラー×ベートーヴェン 『荘厳ミサ曲』
  ハチャトゥリアン 『フルート協奏曲』
  衝撃の歌姫 !? フローレンス・フォスター・ジェンキンス!
  わが心のドボルザーク交響曲第8番

  フォーレのピアノ曲全集
  フルトヴェングラーのワーグナー
  レナード・バーンスタイン記念
  『だったん人の踊り』改め・・・?
  チャイコフスキー『交響曲第4番』って何だ!?

  ショパン生誕200周年の『プレリュード』
  マーラーの交響曲≪巨人≫聴きくらべ
  驚異のシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ!
  イ・ムジチの『四季』50周年聴きくらべ
  トスカニーニのワーグナー

  プッチーニの『誰も寝てはならぬ』
  『展覧会の絵』めぐり
  カラヤンのモーツァルト『戴冠式ミサ』
  カラヤン愛憎
  ヴェルディ、怒りのレクイエム

  無伴奏チェロくらべ
  バッハとドラクエ
  バッハを兄弟に例えてみた。
  フルトヴェングラーの『第九』
  とすかにーにカンタービレ

  ブラームス交響曲第1番聴きくらべ
  アマデウス、走る
  さわやかな『皇帝』
  アラウのショパン『前奏曲』
  ショーシャンクのモーツァルト

 
20:01  |  クラシック音楽  |  EDIT  |  上へ↑

【クラシック音楽】 2019.04.09 (Tue)

ユリアンナ・アヴデーエワのショパン

ユリアンナ・アヴデーエワ
ショパン前奏曲集ほか(2CD、2014年)


NHK-BSの早朝にやってるクラシック音楽番組で、いい演奏に出会えました。

ロシアのピアニスト、ユリアンナ・アヴデーエワの来日公演。

アヴデーエワは2010年にショパン・ピアノコンクール優勝。

マルタ・アルゲリッチ以来の女性の優勝者として話題になった人。


番組では、ショパンのマズルカやピアノ・ソナタ第3番などを披露。

ハッとするような若さと華やぎ。力強い自信にあふれていて。

いつもこの番組は録画したものをBGMがわりに聞き流す程度ですが、

たまにあるいい演奏はちがう。

思わず画面に惹きつけられました。耳に釣り針を引っかけられたように。


このあとCDで、同じショパンの前奏曲集や『葬送』ソナタを聴きましたが、

深い表現はまだまだって印象。

それでも大きな肩書きにたがわぬ大器の片鱗を感じさせてくれました。

シューベルトやプロコフィエフは、鍵盤の上で踊るような文字どおりの躍動感が素晴らしかった。


たびたび来日しているそうで、放送はつい先日の公演ぶん。

次、秋の来日は企画ものみたいなので行くのやめた。もっと早く知っておけばよかったな。

 
21:53  |  クラシック音楽  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【JAZZ】 2019.03.11 (Mon)

≪JAZZ≫書庫もくじ

  ≪JAZZ≫もくじ

  オーレ!コルトレーン!
  『パンゲア』マイルス・デイヴィス『アガルタ』
  ミンガス・ビッグバンド~ゴージャスなジャズをクリプレ!
  真夏の夜にJAZZ<ボビー・ハッチャーソン>

  これぞ'70年代ファンク! ハービーの『マン・チャイルド』
  キース・ジャレットのスタンダードなジャズをどうぞ
  遅れて来たコルトレーン青の時代~没後50年
  アート・ファーマー “アート”の秋
  シェルブールの雨傘、ジャズ。

  JAZZスパルタカス/愛のテーマ
  真夏の夜にJAZZ <ウェザー・リポート>
  永遠の親指、ウェス・モンゴメリー
  サッチモでメリクリ
  ハービーの『ウォーターメロン・マン』

  『ムーン・リバー』をジャズ・メッセンジャーズで
  ミルト・ジャクソンの、ルパン三世ふうジャズ
  【追悼】 デイヴ・ブルーベック 『テイク・ファイブ』
  ジミー・スミスのジャズ煮込み
  ○○ & ジョン・コルトレーン

  電子マイルスの『On the Corner』!
  リアル・マッコイ・タイナー
  円熟の『ハウ・ハイ・ザ・ムーン』
  リー・モーガン『クリフォードの想い出』
  マイルスの『いつか王子様が』のコルトレーンが

  ディジー・ガレスピー The Real
  ジャズの風雲児F・ハバード、逝く
  バド・パウエル『クレオパトラの夢』
  マイルスの『枯葉』
  おやすみデビー

  ステファン・グラッペリ~なんにもない休日のジャズ
  ジャズ界のグランマELLA
  かもめのチック・コリア
  ミルト・ジャクソン~ルパン三世ふうジャズ
  フレディ・ハバードの?『処女航海』

 
23:12  |  JAZZ  |  EDIT  |  上へ↑

【JAZZ】 2019.03.10 (Sun)

『パンゲア』マイルス・デイヴィス『アガルタ』

『アガルタ』
『アガルタ (1975)』

 1975年2月1日、大阪――。昼夜2部のライブを2作に分けて録音した、“ジャズの帝王”マイルス・デイヴィスのアルバム 『パンゲア』『アガルタ』

 当時としては画期的な、編集のハサミが入らない「ノーカット」でライブの高揚と熱狂を完全収録。電子楽器を取り入れて過激に進化した(――同時に多くのファンを戸惑わせた――)「エレクトリック・マイルス」時代の集大成となった。


 ぼくは 『デコイ('84)』 や 『TUTU('86)』 などもっと後の作品からマイルスに入ったはずなのに、これら「電子マイルス」に親しめるようになったのはごく最近のこと。パンゲア&アガルタも、CDを買ったはいいが棚に眠ること幾年月・・・。

 ・・・晴れて今回、冒頭の力強いドラムのリズムに一発で引き込まれた。電子マイルスがやりたかったのはリズムではないという指摘(下記の参考文献)もあるようだが、やっぱりリズムのカッコよさ、サイドを固める若手たちの荒れ狂う――しかし意外と計算された――新しい音の洪水だ。

 マイルスご本人の演奏はというと、交通事故の後遺症や麻薬中毒、来日時の風邪引きなどでコンディションは最悪。そのトランペットは「ワウ・ペダル」で音色を増幅させてはいるが力はなく、これならむしろ無いほうがいいくらい。(なお、この日はオルガンも演奏。)

 それより音楽全体の指揮者として前人未踏、「ジャズ」の枠を飛び出して「ファンク」「フュージョン」そして「ヒップホップ」誕生へと今まさに道を切り拓いていく、その一歩一歩にこそ不朽の価値があるというものだ。


 満身創痍のマイルスは、本作を最後にしばらく半引退状態に追い込まれてしまう。
 '80年代に復活を遂げたエレクトリック・マイルス晩年の作品群は、時代がひと回りした今聴くと、ことのほか落ち着いて聴けるから不思議。マイルスの播いた種がようやく実り、新しい音楽への違和感やアレルギーを払拭してくれたのだろう。

 ぼくが 『パンゲア』 『アガルタ』 という巨大な“地殻変動”を本当に理解するには、もう少し時間がかかりそうだ。それでも今、音のマグマに身をまかせて忘我の境地で楽しめたのは、ひとつ進化したってところか。
 
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