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【このアート!】 2021.01.15 (Fri)

夢を実現した人、『石岡瑛子』展

石岡瑛子


東京都現代美術館の 『石岡瑛子』 展。

資生堂の社員から独立して、ポスター、商業デザイン、映画の衣装など多岐に活躍したデザイナー。


おしゃれとあこがれの最高峰だった、あの懐かしいパルコのポスターの数々!

お飾りでもお茶くみでもない、真の女性の強さや内面を誰よりも先んじて表現した人だった。

みんな知ってる山本海苔店の缶デザインや、コーヒーの『マキシム』もこの人だったのか。


展の最後には、高校時代につくったという絵本を展示。

自身を主人公に、生い立ちや将来の夢をつづったもの。

10代にしてその完成度の高さには、驚きを越えてズドンと撃ち抜かれた。

これだけでも見に行く価値はある。


BSの番組で評論家の山田五郎さんが、ただ夢見る少女だけだったわけじゃない、

「夢を自分自身の才能ですべて実現していった」 ことを強調されていたが、さもありなん。

夢と自信と才能と、研鑽、挑戦そして時代・・・、それらが極限まで研ぎ澄まされてはじめて夢は実現する。

破格の人。


同時に、日本社会はこの人の才能をたいして育てていなかったことも知った。

早くに日本を出たのは正解。


 (展覧会はもうすぐ終了・・・のはずだったけど新型コロナ問題で延長されたとか。ぼくが行ったのは昨年でしたが今ごろ投稿でよかった♡)

 
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【このアート!】 2020.10.03 (Sat)

≪このアート!≫書庫もくじ

  ≪美術≫書庫もくじ

  夢を実現した人、『石岡瑛子』展
  スペイン絵画 ムリーリョの子ども絵
  大空の画家ブーダン
  美人画の巨匠・鏑木清方

  飛び込みトーハク!芸術の秋 (「京都・奈良&和ふう」書庫)
  レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年
  ルーベンス、王の画家にして画家の王
  かわいい『酒を飲むバッカス』(末恐ろしい)
  ルノワールの美少女『イレーヌ嬢』
  
  ぼくの「怖い絵」・・・ドレの神曲
  雨の『運慶』展
  圧巻!『赤ん坊1700人のコラージュ』
  ピカソの陶芸
  バロックの革命児カラヴァッジョ

  ブリューゲルのおしり星人
  光琳の「燕子花」と「紅白梅」
  ウフィツィといえばボッティチェリ
  アンリ・ルソーの 「子ども」 絵
  水墨画の秋

  ソール・バス×Google!!!!
  ウィリアム・モリスはお好き
  ジャクソン・ポロック展
  ジョジョ立ちロダン
  デ・ホーホ・・・明日のフェルメールはきみだ!

  琳派ビッグ・スリー
  酔っぱらいとカンディンスキー
  北斎250歳
  ロートレックと野口久光~仏ポスター展
  阿修羅vsルーヴル

  ジョアン・ミロ展
  ピカソ展とフェルメール展
  『対決-巨匠たちの日本美術』展
  東大寺の四天王
  東大寺法華堂オールスターズ

  新薬師寺の超サイヤ人
  向源寺・官能の菩薩像
  フェルメール『牛乳を注ぐ女』展
  たすけて!小松崎茂
  モネ『日傘の女』
 
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【このアート!】 2020.10.02 (Fri)

スペイン絵画 ムリーリョの子ども絵

 
 17世紀スペインの画家ムリーリョ。
 宗教画や子供の絵を得意とした、エルグレコ~ベラスケスを継ぐスペイン黄金時代の人ですが、ぼくには子供のころ初めて知った 『蚤をとる少年』 が強烈すぎた。

 「日の沈まぬ」黄金時代であろうが、市井の片隅にあふれる子供の貧困という現実。それをなくそうと努力しない限り、いつ、どの国でも変わりありません。大手ルーブル蔵とあって美術全集でよく目にするこの作品が、長くムリーリョのイメージでした。


 ひるがえって、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の 『幼い洗礼者聖ヨハネと子羊』 。1660年代の作。

ムリーリョ『幼い洗礼者聖ヨハネと子羊』
(部分)

 バロック調の重厚さの中にも、愛らしく親しみやすい表情。そんな子供たちの「光」も「影」も平等に見つめた作風からは、ムリーリョという人の市民社会に根差した自然体な人柄が伝わります。彼自身、10人以上の子宝に恵まれながら、その半分以上を病で失った人でした。

 このあとムリーリョは、スペイン・ハプスブルク朝の衰退と、隣りのフランス・ブルボン朝(ルイ14世)の隆盛――その主役交代に合わせるかのように、重厚なバロック調からロココ調を先取ったようなふわりと柔らかい作風に変わっていきます。(代表作 『無原罪のお宿り』 など)。


 なお、作中のヨハネは若きイエスに洗礼をほどこした予言者で、歳の近いイエスとはよく一緒の絵画に登場。羊は彼のトレードマークで、「犠牲」を意味します。ユダヤの王女サロメに首をはねられる壮絶な最期は、G・モローの絵画やO・ワイルドの戯曲で有名ですね。


 東京・国立西洋美術館の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」は、予約制で10月半ばまで。作品数は少なめで物足りなかった。画面を潰す照明も考えもの。コロナ禍で開催が危ぶまれたが、延長してくれたのはありがとう。

 
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【このアート!】 2020.02.02 (Sun)

大空の画家ブーダン

ブーダン『大空と海』
ブーダン 『大空と海』(1860)

今この寒空の下、19世紀フランスの画家ウジェーヌ・ブーダンの風景画に魅せられています。

人呼んで「空の王者」。キャンバスいっぱいに広がる大空を描かせたら、右に出る者はなし。

(その他の作品⇒DuckDuckGo画像検索


画面の下に薄く押し込められた人間の営みなど、プッチンプリンの底のカラメルみたいなもの。

雲の合い間に遠く小さく描かれた鳥になって、そんな下界のひしめきを見下ろしながら、

誰にも邪魔されることのない大空の散歩を楽しんでいます。


産業革命で都市部の環境が汚染され、手つかずの「自然」が再評価され始めた19世紀ヨーロッパ。

緑ゆたかな郊外へのバカンスは、このころ形成された中間所得者層のあこがれとなり、

風景画は手軽な「癒やし」のアイテムになりました。

また画家にとっても、携帯に便利な「チューブ入り」絵の具の発明によって活動範囲が広がったことも、

風景画の発展を後押し。


そんな時代、北フランス・海の玄関口「ル・アーヴル」に生まれたブーダン (1824-1898)は、

パリ中央画壇の出世競争に浸りきることなく、地元ノルマンディーの海岸をのんびりと描き続けました。


ほんとうに誰にも邪魔されることのない、画面いっぱいの快活さと穏やかさ。

同じ風景画でも、写実的なコローやクールベのような堅苦しさはありません。

いっときの空気の移ろいを感覚的にとらえた画風で、続く「印象派」への大きな橋渡しを務めました。


地元ル・アーヴルの港は、かのモネ作 『印象・日の出』 (1872)で有名ですね。

じつはブーダンさん、記念すべき 「第1回印象派展」 にもささやかながら出品。・・・いや、

・・・と言うより、この地で育った少年クロード・モネに風景画を教えた師匠こそ、彼ブーダンその人。

ブーダンがいなければ、風刺漫画ばかり描いていたモネは風景画に目覚めることなく(モネ本人の弁)

当然 『印象・日の出』 もなく、「印象派」 は別の名前で呼ばれていたかもしれません。


「印象派の父」 とすら称される隠れた名匠が、このウジェーヌ・ブーダンなのです。
 
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【このアート!】 2019.11.12 (Tue)

美人画の巨匠・鏑木清方

鏑木清方
(東京国立近代美術館HPより拝借)

東京国立近代美術館の美人にひと目惚れしました。

鏑木清方(かぶらききよかた)作、『築地明石町』。1927年。(画像中央)


見返り美人のやわらかい曲線。その品と色気。

お召しものもすてき。

柵にからみつく朝顔。後方には帆船のマストがうっすらと見える。

楚々としていても深窓の山の手マダムとは違う、朝夕にぎわう商人の街の活きた身のこなしと、

磨きあげた趣味の良さ、センスの新しさを感じます。


近代美人画の第一人者・清方の代表作でありながらしばらく行方不明だったが、

このたび発見されての晴れてお披露目あいなったとか。


上の画像、「三部作」と呼ばれる 『新富町』 の傘を開く芸者、『浜町河岸』 のあどけない少女も、

無理にトリオを組ませるのはもったいない、ソロで売り出せるだろうにの別嬪ぞろい。

(コーディネートが粋でおしゃれ!)


ほか、季節のひとこまを12幅につづった 『明治風俗十二ヶ月』 も、

懐かしさとハイカラ両方の風情にあふれていて、いつまでも見飽きることはなかった。

近代日本画に疎かったぼくには、掛け軸に合わせたタテの構図も新鮮でした。


今までポスターや小説の挿絵など、大衆芸術のイメージくらいしかなかった清方ですが、

大きな感動とともにその真髄を知らしめてくれました。 ルノワールの 『イレーヌ嬢』 以来の恋。

 
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【このアート!】 2019.05.02 (Thu)

レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年

『モナ・リザ』
Mona Lisa (Men have named you)

 2019年はレオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年。(1519年5月2日没、67歳。)

 西洋絵画史における彼の最大の功績は、「スフマート」と呼ばれる輪郭線を「ぼかす」技法と、背景が遠くになるほど靄(もや)がかって見えなくなる「空気遠近法」、そして人体の「解剖学」に通じた科学的視点の導入にあります。

 ぼかしによって絵の輪郭線がなくなることで、単なる「線で描いた絵」からまるで写真のようにリアルな表現の領域――その第一歩へ。(ひと世代前の巨匠ボッティチェッリ作品と比べれば一目瞭然。)
 またぼかした輪郭の、その色と色の境界をミクロまで探ろうとする欲求は、ずっとのちに「光」のかたちを分解・再構成した印象派絵画にまで通じるといっても過言ではありません。

 そして背景がモヤがかる「空気遠近法」。
 従来の「線」遠近法(ある一点に向かって狭まっていく、基本の遠近法)のように、建物の線などに頼らなくても背景の奥行きをよりリアルに描くことができる。
 遠くになるほど青みがかって見えるのは、光の波長の理屈にもかなった表現。レオナルドは500年も前にそれを感覚的・経験的につかんでいるのだから、天才やおそるべしです。


 彼の『モナ・リザ』が西洋絵画史上最大の傑作とされるのは、この「スフマート」と「空気遠近法」の2つが最高の形で示されたから。
 レオナルド以前のルネサンス初期にも、リアルな人体の描写や遠近法など技法の向上が模索されていましたが、科学者としても知られる彼の専門的な医学・科学的視点が加わることによって、世の画家に求められるレベルが格段に高いところへ進化しました。

 飽きっぽい?性格なのか、あれこれ手を出すけど完成品と呼べるものが少ないのが珠にキズ、な生涯でしょうか。だからこそ余計に『モナ・リザ』に価値があると言われています。
 
23:55  |  このアート!  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【このアート!】 2019.01.06 (Sun)

ルーベンス、王の画家にして画家の王

ルーベンス展

 肉が波打つ豊満な裸体、大画面いっぱいに躍動する人間と神々のドラマ・・・。バロック派絵画の頂点に立つオランダの画家ルーベンス。
 巨大工房をかまえてチームによる超大作と大量生産を実現。スケールの大きな作風はヨーロッパ各国の王に愛され、自身はその名声を活かして王室から王室へと股にかける外交官としても活躍した、人呼んで 「王の画家にして画家の王」 だ。

 弟子の手が加わるためもあって、筆の跡も荒々しいものもあれば、写真と見まがうほどの細かい質感描写まで、一枚の絵の中ですら驚くほど豊かなバラエティ。後世のゴッホのような厚塗りを勝手に想像していたのは、そんな二次元には収まりきらない画力と生命力ゆえなのだろう。

 (下の【続き・・・】に彼の人生背景をまとめました。)

 アニメ 『フランダースの犬』で有名なアントウェルペン聖母大聖堂の 『キリスト昇架』。その体を斜めによじる構図は、バチカン蔵のこれも有名なギリシャ彫刻 『ラオコーン』 像に影響されて取り入れたという話は、歴史も宗教も国境も飛び越える彼の柔軟なフットワークの最たる例だ。(リンク先はDuckDuckGo画像検索。なおどちらも来日はムリ。)
 かと思えば、長女 『クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像』 に込めた輝かんばかりの愛情や、兄の子だという 『眠る二人の子供』 (上野で常設)のはちきれそうなプクプクほっぺまで・・・。

 古今「芸術家」といえば、ゴッホやセザンヌのような破滅的・破天荒な人が目立ち、そこに共感が集まってしまうものだが、ルーベンスのあまりに幸福で完璧すぎる人柄と人生に、かえって興味が沸いてしまった次第。

 上野・国立西洋美術館の 『ルーベンス展』。贅をきわめた奇跡の大広間に身を置けるのはあと2週間。
 (同時期の上野の森美術館のフェルメール展がホントひどかった(とにかく大混雑、フェルメール以外の作品の質の低さ、画面をツブすひどい照明、客の動線に無神経すぎるレイアウト演出、職員の運営・理解力の低さ・・・)せいで、余計にありがたみを感じました。
 
10:39  |  このアート!  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑