【  NBA】 2017.03.24 (Fri)

NBAスパーズ'16-17②≪バックコート陣≫

SAスパーズ

 NBA2016-17シーズンのサンアントニオ・スパーズ。世代交代を迫られているガード陣について。



 ≪バックコート陣≫
 ◆キャリアの最晩期にある“生ける伝説(リビング・レジェンド)トニ・パーカーマヌ・ジノビリは、衰えが目に見えて分かるように。それでも出場時間をセーブしつつ、ピンチ時にはさすがの手綱さばき。「主砲」から「チームの1ピース、ロールプレイヤー」にうまく転身しているので、衰えを悲観・非難するほどでもない。
 むしろ問題は、その後継者がまだ見つからないことだ。以前ラプターズに出したコーリー・ジョセフを買い戻すなんてウマイ話ないかな??

 ◆第2司令塔のパティ・ミルズは、3p長距離砲の好調もあっていつでもパーカーの代わりができるが、守備力はパーカーとどっこいどっこいなので、今までどおり控えのシックスマン役が合ってるようだ。
 ◆今季のドラフト29位、20歳の新人デジョンテ・マーレーはまったく粗削りだが、おじさん軍団にはない元気の良さは見ていて気持ちいい。パーカー欠場時には先発PGに大抜擢され、キレのいい突破力を見せている。
 スパーズは控えの“セカンド・ユニット”が充実しているので、彼ら若手はむしろ先発で自由にやらせてもらっている、テストされている感じ。本気で彼に「パーカー後」を託すようには見えないが、とにかく経験の場を与え続けてあげてほしい。

 ◆ともに2年目、雑草スラッシャーのジョナソン・シモンズと若き頭脳派カイル・アンダーソンは、悪くはないけど期待されていたほど目立っていない。シモンズは良くも悪くもプレイに大ざっぱなところがあり、カイルは将来いい指導者になりそうだが個人成績に無頓着。大器晩成型だからもう少しかかるのかな。
 ◆ドラフト外の新人シューター、ダニエル・フォーブスはまだ1軍の当落線上。
 ◆ユタ・ジャズから24歳のカナダ人ガード、オリヴィエ・ハンランの交渉権を獲得。(年俸枠を空けるため)B・ディアウをトレードに出してまで得たその対価は、よほどの逸材なんだろうか? 入団は来々季くらい。

 ◆なお、今季限りで引退と思われるジノビリの年俸が昨280万ドルから1400万ドルに大幅アップしたのは、シクサーズから高額で引き抜かれそうになって上げざるを得なくなったため (本人はカネは二の次で、スパーズに骨を埋めるつもりでいる)。思わぬ出費で巨人B・マリヤノビッチ(⇒ピストンズ)を手放すことになったのは誤算だが、長年の功労者だけに仕方ない。


 得失点差は8点ほどで首位GSウォーリアーズ(2ケタ!)に次ぐ2位。イケイケの得点力で稼ぐウォリアーズと違って、スパーズは攻守ともに上位なのはさすが。また、3ポイント長距離砲は数こそ平均的だが、フリーを生む組織力で効率よく決めてリーグトップの成功率。
 いっぽう弱点は、R・ウェストブルックやJ・ハーデンなど規格外の点取り屋を止める「個」の守備力の高齢化。プレイオフまでに「組織」を磨くか? レナードやグリーンに負担させるしかないのか?

 次回ラストは、その新時代を担うエースたち――レナード、オルドリッジ、グリーンについて。See you!


 
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20:27  |    NBA  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【  NBA】 2017.03.21 (Tue)

NBAスパーズ'16-17①≪新加入のフロントコート陣≫

SAスパーズ

 米プロバスケNBA、わが応援するサンアントニオ・スパーズは、20年来の大黒柱ティム・ダンカンが引退しながら変わらぬ強さだが、他にも入れ替わりが多く、各人の契約内容なども細かく見るとやはり「再編期・過渡期」な印象。(再編期でこれだけ強いのはさすがだが。)
 彼らの目標は「優勝」あるのみ。だからこういう地味な戦い方でも高く支持されている。しかし今季はその迫力や威圧感を感じず、今季の優勝を望むには頼りない。



 ≪新加入のフロントコート陣≫
 ◆ダンカンの後釜として入ったベテランのパウ・ガソルは及第点(年俸10ナン億円にしてはヌルいが)。2月のチーム恒例 “ロデオ・ロード・トリップ(敵地連戦)” 時に負傷欠場したが、無名の新加入ドウェイン・デドモンがしっかり後を守った。掘り出し物のデドモンはスパーズ好みの地道な肉体労働型。(ちなみにこの2月は敵地8連戦にもかかわらずポポヴィッチHCが月間監督MVP。)
 後半戦から復帰したガソルはもっぱらベンチからの出場。守備ができないわけではないが、スパーズレベルの堅守を求めるのは酷なので、控えのほうがおあつらえ向き。攻撃面でのびのびとやってる印象だ。(ただし今度は、先発に定着したデドモンがバタバタと乱調ぎみになった。)

 ◆同じくインサイドの新加入デヴィッド・リーは、元オールスター選手ながら破格の低年俸で黙々と献身。ふだんの出場時間が抑えられているので、先発陣の欠場時にはがっつりと働いてくれる。このガソルとリーがベンチに控えているのは頼もしいことこの上ない。

 ◆「スモール・ラインナップ」のご時勢とはいえ、今季はインサイドの層が薄い。
 ラトビア代表の新加入デイヴィス・バータンズ(ダヴィス・ベルタンズ)は、先に引退した赤毛のマット・ボナーと重ね合わせてマニアなファンのアイドルに。ヨーロッパ系らしく器用な万能手だが、PFにしては弱くSFにしては遅いというヨーロッパ系の悪い典型も受け継いでいる。3p長距離砲はじゅぶん武器になるので、組織戦術への適応力でカバーしてほしい。ヒザじん帯を2度も切っているのが不安。
 ◆なおガソル欠場時に、MIAヒート2連覇時の控えセンターだったジョエル・アンソニーと契約。通常は出番のない非常時用の戦力。


 平均失点はユタ・ジャズに次ぐ2位。2ケタ台に抑えているのも彼らのみ。お家芸の堅守は健在。「小型化」のご時勢なので、このインサイドは優位を保てるだろう。ただ主力は軒並み30歳代で替えもきかないので、くれぐれもケガだけはないよう。あまり休ませすぎても昨プレイオフのように乗り損ねてしまうので難しいところだ。

 3連投稿の次回はバックコート陣(パーカー、ジノビリ、若手組)、その次はエース陣(レナード、オルドリッジ、グリーン)について。好きな人だけつきあって。See you!


 
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18:56  |    NBA  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【アカデミー賞全作品】 2017.03.20 (Mon)

≪アカデミー賞全作品≫書庫もくじ

  ≪アカデミー作品賞レビュー≫もくじ

  『ムーンライト('16米)』
  『スポットライト 世紀のスクープ('15米)』
  『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)('14米)』
  『それでも夜は明ける ('13英米)』
  『アルゴ ('12米)』
  『アーティスト ('11仏)』
  『英国王のスピーチ ('10英豪)』

  『ハート・ロッカー('08米)』
  『スラムドッグ$ミリオネア ('08英印)』
80 『ノーカントリー ('07米)』 ('07-08アカデミー賞授賞式を見て)
  『ディパーテッド ('06米)』
  『クラッシュ (’05米)』
  『ミリオンダラー・ベイビー ('04米)』
  『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 ('03米)』
  『シカゴ ('02米)』
  『ビューティフル・マインド ('01米)』
  『グラディエーター ('00米)』

  『アメリカン・ビューティー ('99米)』
  『恋におちたシェイクスピア ('98米)』
70 『タイタニック ('97米)』
  『イングリッシュ・ペイシェント ('96米)』
  『ブレイブハート ('95米)』
  『フォレスト・ガンプ/一期一会 ('94米)』
  『シンドラーのリスト ('93米)』
  『許されざる者 ('92米)』
  『羊たちの沈黙 ('91米)』
  『ダンス・ウィズ・ウルブス ('90米)』

  『ドライビング・MISS・デイジー ('89米)』
  『レインマン ('88米)』
60 『ラストエンペラー ('87伊英中)』
  『プラトーン ('86米)』
  『愛と哀しみの果て ('85米)』
  『アマデウス ('84米)』
  『愛と追憶の日々 ('83米)』
  『ガンジー ('82英印)』
  『炎のランナー ('81英)』
  『普通の人々 ('80米)』

  『クレイマー、クレイマー ('79米)』
  『ディア・ハンター ('78米)』
50 『アニー・ホール ('77米)』
  『ロッキー ('76米)』
  『カッコーの巣の上で ('75米)』
  『ゴッドファーザーPARTⅡ ('74米)』
  『スティング ('73米)』
  『ゴッドファーザー ('72米)』
  『フレンチ・コネクション ('71米)』
  『パットン大戦車軍団 ('70米)』

  『真夜中のカーボーイ ('69米)』
  『オリバー! ('68英)』
40 『夜の大捜査線 ('67米)』
  『わが命つきるとも ('66米英)』
  『サウンド・オブ・ミュージック ('65米)』
  『マイ・フェア・レディ ('64米)』
  『トム・ジョーンズの華麗な冒険 ('63英)』 (※未見なので後日)
  『アラビアのロレンス ('62米英)』
  『ウェストサイド物語 ('61米)』
  『アパートの鍵貸します ('60米)』

  『ベン・ハー ('59米)』
  『恋の手ほどき ('58米)』
30 『戦場にかける橋 ('57英米)』
  『80日間世界一周 ('56米)』
  『マーティ ('55米)』
  『波止場 ('54米)』
  『地上より永遠に <ここよりとわに> ('53米)』
  『地上最大のショウ ('52米)』
  『巴里のアメリカ人 ('51米)』
  『イヴの総て ('50米)』

  『オール・ザ・キングスメン ('49米)』
  『ハムレット ('48英)』
20 『紳士協定 ('47米)』
  『我等の生涯の最良の年 ('46米)』
  『失われた週末 ('45米)』
  『我が道を往く ('44米)』
  『カサブランカ ('42米)』
  『ミニヴァー夫人 ('42米)』
  『わが谷は緑なりき ('41米)』
  『レベッカ ('40米)』

  『風と共に去りぬ ('39米)』
  『我が家の楽園 ('38米)』
10 『ゾラの生涯 ('37米)』
  『巨星ジーグフェルド ('36米)』
  『戦艦バウンティ号の叛乱 ('35米)』
  『或る夜の出来事 ('34米)』
  『カヴァルケード ('33米)』
  『グランド・ホテル ('32米)』
  『シマロン ('31米)』
  『西部戦線異状なし ('30米)』

  『ブロードウェイ・メロディ ('29米)』
 1『つばさ ('27米)』

 
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【アカデミー賞全作品】 2017.03.14 (Tue)

『ディパーテッド (2006米)』

第79回アカデミー作品賞~~お情けのオスカー

79 ディパーテッド

 ≪感想≫
 ただの荒唐無稽な商業娯楽アクション。脚本はお子様向け(脚色賞だって!?)。娯楽作でもかまわないが、香港のオリジナルのように自分たちの「今」を切り取ったわけでもない。無冠の人気監督への同情だけで、その年の最高賞を取った。アカデミー会員のいい加減な投票は、ハリウッドの低迷と比例して今後も続くだろう。
 受賞の瞬間、下品に指笛を鳴らす若い関係者の醜態が、すべてを象徴していた。

 オスカー度/★☆☆
    満足度/★☆☆



 『ディパーテッド (2006米)』

 監督/マーティン・スコセッシ
 主演/レオナルド・ディカプリオ (ビリー・コスティガン刑事)
      マット・デイモン (コリン・サリヴァン)
      ジャック・ニコルソン (コステロ)
      ベラ・ファミーガ (マドリン)
      マーク・ウォールバーグ (ディグナム刑事)
      マーティン・シーン (クイーナン警部)

 ≪あらすじ≫
 犯罪者一家に生まれた過去を振り払うように優秀な刑事となったビリー。かたやマフィアのボス・コステロに育てられ、その忠実な片腕となったコリン。
 ふたりは警察とマフィア、それぞれ互いの組織に潜入して重きを成すが、やがて対決の時を迎える。

 ≪解説≫
 香港のサスペンス・アクション 『インファナル・アフェア('02)』 をリメイクした娯楽作。香港返還の時代性をからめ、逃れられぬ宿命を大仰に描いたオリジナル版に比べ、これはティーン向けのギャングものに終わっている。製作に人気俳優B・ピッドやJ・アニストンが名を連ねている。



 ≪受賞≫
 アカデミー作品、監督、脚色賞の計3部門受賞。
 (他の作品賞候補 『バベル』 『硫黄島からの手紙』 『リトル・ミス・サンシャイン』 『クィーン』)

 またも本命不在の中、過去5度候補で無冠そして『ギャング・オブ・ニューヨーク('02)』では10部門全敗など不運だったスコセッシ監督に同情のオスカー。大手ワーナー社による後押しがあり、彼らには身近で理解しやすい内容だったせいもあるが、リメイクの商業娯楽作品の受賞はきわめて異例 (『ベン・ハー』などは時代が離れていた)。新企画を創造できないハリウッドの低落が、あらためて明白になった。
 なお、これまでスコセッシと組んでオスカー獲りに励んできた主演のL・ディカプリオは、同年 『ブラッド・ダイヤモンド』 のほうで主演賞候補になったが、またも残念(3度目)。



 『THE DEPARTED』

 製作/マーティン・スコセッシ、ジェニファー・アニストン、ブラッド・グレイ、グレアム・キング、ブラッド・ピット
     (候補者登録は1部門2名までのため、G・キングのみが受賞。)
 監督/マーティン・スコセッシ
 脚本/ウィリアム・モナハン
 原作/アラン・マック、フェリックス・チョン
 撮影/マイケル・バウハウス
 音楽/ハワード・ショア

 プランB、イニシャル・エンタ、バーティゴ・エンタ=ワーナー/152分
 
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23:45  |  アカデミー賞全作品  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【この本!】 2017.03.09 (Thu)

最後の名探偵ポワロ~『カーテン』

クリスティー『カーテン』


 英ドラマ 『名探偵ポワロ』 シリーズの最終話、『カーテン』 を観ました。NHKで再放送。

 「ポワロ最後の事件」 と銘打たれた本作は、原作のアガサ・クリスティにとっても遺作になったが、亡くなる30年前に書かれながら長く出版を許さなかったがゆえの、いわくつきの「遺作」。(1975年刊、翌'76年クリスティ没。)


 “灰色の脳細胞” エルキュール・ポワロ、その鮮烈デビューの舞台となった「スタイルズ荘」で再会したポワロとヘイスティングス大尉――
 ホームズとワトソンに比肩する、軽妙なやりとりで親しまれてきた名コンビも今は昔。それぞれ身体に、家庭に問題を抱えるふたりの老いが痛々しい。 『ポワロ』ものの執筆にうんざりし、お世辞にも家庭に恵まれたとは言えなかったクリスティ自身による、残酷な皮肉なのだろうか。


 物語は、シェイクスピアが生んだ大悪役、『オテロ』のイアーゴーのような狡猾さで殺人が行われていく。
 それはまるで、戦争を始める人間のやり方にも似る。本作と2度の大戦を重ね合わせる指摘は、ハヤカワ文庫あとがきにもあるとおり。クリスティが本作を執筆したのも、まさに第二次大戦中の1943年だった。
 イアーゴーのセリフのひとつ 「嫉妬は緑色の目をした怪物」 も劇中で引用される。ポワロもまた緑色の瞳をしていたのだがそれはさておき・・・


 この幕引きはやっぱり受け入れられない。
 それでもポワロとヘイスティングス、ふたりの友情と絆は当の作者の仕打ちにもめげず、深くあたたかく強い。独り歩きを始めたキャラクターの、ひとつの完成形と言えるか。
 ホームズやルパンにはない、複雑に濁った余韻と感傷を残した。


 このあと、ずっと後回しにして避けてきた原作小説をはじめて読んだ。「助手ヘイスティングスの手記」 というおなじみの体裁は罪深いくらい、よりストレートに痛みが伝わってきた。余計な予備知識が耳に入る前に読んでおきたかった。この記事も、ネタばらしはしたくないので核心に触れなくてごめんなさい。

 とにもかくにも、ファンが求めるポワロ像を見事に体現してくれた主演のデヴィッド・スーシェさん、そしてこれもハマリ役、日本語吹き替えの故・熊倉一雄さん、25年間おつかれさまでした。

 
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20:58  |  この本!  |  コメント(0)  |  EDIT  |  上へ↑

【どうわ】 2017.03.03 (Fri)

吾輩は赤ちゃんである (第4話)

夏目漱石イラスト

 わがままで思い出したから、ちょっと吾輩の父がこのわがままで失敗した話をしよう。
 元来この父は何といって人に勝(すぐ)れて出来る事もないが、何にでもよく手を出したがる。ブログをやってFC2へ投稿したり、名作文学をパクったり、間違いだらけのアカデミー賞映画批評を書いたり、時によるとNBAに凝ったり、ジャズを習ったり、またあるときはヴァイオリン曲などをブーブー論じたりするが、気の毒な事にはどれもこれも物になっておらん。その癖やり出すと胃弱のくせにいやに熱心だ。
 後架(=便所)の中でラップをうたって、近所で便所先生とあだ名をつけられているにも関せずいっこう平気なもので、ペパポだYo!を繰り返している。みんながそらMCバカーだと吹き出すくらいである。

 この父がどういう考えになったものか、吾輩が生まれてから一月ばかり後のある月の月給日に、大きな包みを提げてあわただしく帰って来た。何を買って来たのかと思うと一眼レフカメラとハイビジョン・ビデオカメラで、今日からブログやツィッターをやめてインスタグラムを始める決心と見えた。果たして翌日から当分の間というものは、毎日毎日書斎で昼寝もしないで写真ばかり撮っている。しかしその撮り上げたものを見ると、何を撮ったものやら誰にも鑑定がつかない。

 当人もあまり甘くないと思ったものか、ある日その友人で美術とかをやっている人が来た時に下のような話をしているのを聞いた。
 「どうも甘く撮れないものだね。人のを見ると何でもないようだが、自らカメラをとってみると今更のようにむずかしく感ずる」
 これは父の述懐である。なるほど詐(いつわ)りのないところだ。彼の友は金ぶちの眼鏡越しに父の顔を見ながら、
 「そう初めから上手には撮れないさ。第一、室内の想像ばかりで写真が撮れる訳のものではない。昔イタリーの大家アレッサンドロ・デル・ピエロが言った事がある。絵をかくなら何でも自然その物を写せ。――天に星辰あり。地に露華あり。飛ぶに禽あり。走るに獣あり。池に金魚あり。枯木に寒鴉あり。自然はこれ一幅の大活画なり――と。どうだ君も写真らしい写真を撮ろうと思うなら、ちと写生をしたら」
 「へえアレッサンドロ・デル・ピエロがそんな事をいった事があるかい。ちっとも知らなかった。なるほどこりゃもっともだ。実にその通りだ」
 と父はむやみに感心している。金ぶちの裏には嘲(あざ)けるような笑いが見えた。

 つづく

 
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18:54  |  どうわ  |  コメント(1)  |  EDIT  |  上へ↑

【  NBA】 2017.02.26 (Sun)

NBA2016-17前半戦!

NBAロゴ
 米プロバスケNBAは、大味きわまるオールスター戦を終えて後半戦へ。日本時間2月24日にはトレード期限(デッドライン)を迎えました。簡単に前半戦をふり返ります。


 ≪優勝候補の歴代3王者≫
 一昨季の王者にして今季も大本命、ゴールデンステート・ウォーリアーズが全体首位をひた走る。昨季ほどの神がかりはないにしても、唯一の勝率8割台。
 ケヴィン・デュラントの電撃入団により、大エースのステフィン・カリーは例年よりおとなしめ。出ずっぱりで疲弊した昨季のカイゼンと言うには、ぜいたくが過ぎる戦力補強だ。
 縁の下の力持ちドレイモンド・グリーンが 「得点部門抜きのトリプルダブル達成」 という珍・快挙も、勢いに乗ってる証し。

 昨季の王者にしてイースト首位クリーヴランド・キャヴァリアーズは、3ポイント職人カイル・コーヴァーを加えたりと飽くことなくカネをばらまいているが、やっぱり“キング”レブロン・ジェームズ頼み。あれこれ口を出すレブロンを苦々しく思う声もあるようだが、この球団フロントはカネにまかせてカネ出すしか能がないということ。アメリカ型経営の嫌なほうの典型に映る。

 一方、前の前の王者サンアントニオ・スパーズは、20年来の大黒柱ティム・ダンカンが引退したものの、新世代クワイ・レナードを軸に変わらぬ強さを維持(しかも球団史上3位の成績)。経営陣およびグレッグ・ポポヴィッチ監督の長期戦略・運営はさすがとうならせている。「雇われ」経営者ではない、一時の株主・スポンサーの利益や顔色に左右されない、非アメリカ型経営のいいほうの典型だ。
 20年連続勝率5割超え(確定)はNBA新記録。今季もウォリアーズに次ぐ全体2位。



 ≪台風の目≫
 東はボストン・セルティックス(東2位)が、西はヒューストン・ロケッツ(西3位)が爆発的な超攻撃力で急浮上。アイザイア・トーマスジェームズ・ハーデンのそれぞれ両エースは、得点王レースでも2位・3位を争う。こういう攻撃偏重タイプがプレイオフでどこまでやれるかは別だが、盛り上げ役がいるのは面白い。

 得点王レースの首位を独走するのがラッセル・ウェストブルック(OKCサンダー)。連夜のトリプルダブルでアシストとリバウンド部門も2ケタ成績。かのオスカー・ロバートソン以来の「シーズン・トリプルダブル」達成なるかが期待されている。盟友デュラントを失いながらもプレイオフ出場圏内は立派だが、あまりに常識外の孤軍奮闘すぎて気の毒にすら感じる。
 (・・・先のオールスター戦では、デュラントとの久々コンビプレイを見せて一番の盛り上がりに。移籍騒動で不仲もささやかれているが、そこまで深刻じゃないのでは? ウェストブルックだっていずれ、実行力に欠く球団を出ていくかもしれないから。)

 ほか、地方小球団ユタ・ジャズの健闘も特筆もの。持ち前の堅守(失点1位)にジョージ・ヒル(ペイサーズ⇒)ら実力派が加わって、西の上位4強シードに食い込んでいる。この醜いだけの格差社会、彼らのようなチームが頑張ってほしいなあ。



 ≪大型トレード≫
 キングスの若き大黒柱デマーカス・カズンズニューオリンズ・ペリカンズにトレードされる。才能は申し分ないが公私のトラブルが多く、チームを勝たせられないタイプに見切りをつけた格好だ。
 新天地ペリカンズでは、先の地元オールスターでMVPを獲ったばかりの優等生アンソニー・デイヴィスと得点4位&5位の超強力フロントラインを結成。ただし役割の似た問題児の加入が上手くいくかは未知数。彼らが補強すべきは故障が多く不安定なバックコート陣ではなかったか。

 ほか球団史上最悪の低迷にあえぐ名門ロサンゼルス・レイカーズのリストラが加速。オーナーのバス家やGMら重役を刷新するのは当然だが、新しい球団社長がマジック・ジョンソンって。名選手は必ずしも名経営・指導者にあらず。ずっと昔の監督就任もガラじゃなかった。冷めた目で見ている。
 控え出場ながら得点リーダーのルー・ウィリアムズを放出(⇒ロケッツ)


 ・・・次は公式戦終了後、プレイオフにお会いしましょう。See you!

 
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